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ぬいぐるみ作り 13

「早速なんですが、ぬいぐるみ作りの為に必要な物があるんですけど……」

「布や糸の他にですか?」

「はい。ぬいぐるみを作る準備のために必要な物って言いますか……」


 せっかくレンヴィーゴ様に会えたので、ぬいぐるみ作りに必要な物の使用許可を貰えるようにおねだりする事にして、簡単にぬいぐるみ作りの手順とその為に必要になる物を説明する。

 わたしは、こちらの世界での一般的なぬいぐるみの作り方は知らないし、レンヴィーゴ様がぬいぐるみの作り方を知っているのかも分からないので、「このくらいは分かるよね」なんて考えないように、順序立てて全部説明する事にした。

 後々になってから、そんな事は聞いていないとか言われてトラブルになると困るからね。まぁ、レンヴィーゴ様はそんな理不尽な事は言わないと思うけど、念のため。


「なるほど。今まで考えた事がありませんでしたが、いくつも工程が必要なんですね」


 レンヴィーゴ様は、感心したようにウンウンと頷く。


 この世界のぬいぐるみは、平べったい人型のクッションみたいなものだ。厚みのある二次元とでも言おうか。

 わたしが作ろうとしている三次元のぬいぐるみとは根本的に違うんだよね。当然手間や工程も変わってくる。


「とりあえず小麦粉や塩でしたか? それは明日までに用意するのでそれを使ってください。ヘラなどの工作に使う道具については、専用の物が必要ですか?」

「陶器などを作るのに使う物があるなら、それが代用できるかもしれません。見てみないと分からないですけど」

「ふむ。では、これからすぐに手配するので、それが使えるか確認してみてください。駄目なようだったら、職人に作らせましょう」


 え。わざわざ作ってもらうの? そこまでやっちゃう?

 わざわざお金と手間暇をかけて作って貰ったりすると、なんだか申し訳ないような気がするんだけど。実際、それほど重要アイテムって訳じゃ無いし。


「あの、ヘラとかはそんなに、絶対必要な道具って訳じゃ無いので、無ければ無いで大丈夫です」

「ですが、あれば便利なのでしょう?」

「あれば便利ですけど、今回は使う程でもないですし……、いずれ揃えられればって感じなので……」

「……そうですか、それでは職人に聞いてみて、今ある物が使えるようなら用意する、使えないようなら今回は見送るという事で良いですか?」

「はい、それでお願いします」


 無ければ無いでどうにかなる。っていうか、ほとんど使わないからね。


 それよりも、自分のためにあんまりあれこれやって貰ったりすると、なんとなく後ろめたいというか、気が咎めるというか。


 そんな感じの話し合いがあった翌日。

 レンヴィーゴ様が早速、小麦粉粘土の材料になる素材を集めてくれたというので、わたしとポリーちゃん、レンヴィーゴ様の三人で集まる事になった。

 レンヴィーゴ様は、純粋にわたしがどんな風にぬいぐるみを作るのか興味があるので同席したいという申し出だった。もちろん、ぬいぐるみにも興味があるんだろうけど、実際には、この世界とわたしが居た世界の違いに興味があるらしい。


「それじゃ最初に、昨日書いた設計図を確認してみようか」


 ポリーちゃんに向かってそう言うと、レンヴィーゴ様の方が先に反応してきた。


「設計図というのは? それに確認? ですか?」

「あー、はい。昨日、わたしとポリーちゃんでぬいぐるみの設計図を描いたんですよ」


 わたしがポリーちゃんに合図すると、ポリーちゃんが隠しておいた設計図を取り出してきて、片方だけをレンヴィーゴ様の前に差し出す。


 ん? なんで片方だけ?

 不思議に思ってポリーちゃんからレンヴィーゴ様に渡された設計図を覗き込んでみると、昨日、わたしが描いた奴だった。つまり、ポリーちゃんの手に残っているのはポリーちゃんが描いた設計図。


 あー。気持ちはちょっと分かる。

 最初の頃はわたしもそうだったな~。なんか自分が描いたり作ったりした物を他の人に見せるのが恥ずかしいんだよね。

 見て貰いたいけど見られたくないというか。


 まぁ、一緒に作業しているわたしには見せてくれてるので、ここはスルーしておいてあげよう。


「これに合わせて作っていくんですね。……ですが、数値が入っていないようですが?」


 レンヴィーゴ様のいう数値というのは、たぶん全高とか全幅の事だよね?


「細かい数字はあんまり意味が無いですから。これからの工程で、また変化するかもしれないですし」

「なるほど。それでは先ほどの確認というのは?」

「それは、描いてから時間をおいて見直すと下手になってるという摩訶不思議な現象に対応するための確認ですね」


 そう答えながらレンヴィーゴ様から設計図を返してもらい、テーブルの上に広げる。


「昨日描いた時には上手に描けているように見えてても、今日になったら微妙な感じになっちゃう事があるんです」


 説明しながら設計図を見直してみる。全体的なシルエットとか、つじつまが合ってない場所が無いかなんて事を確認していく。人型のぬいぐるみはそれなりに作っているので、今更致命的な失敗とかは無いとは思うんだけどね。


 ちょっと離してみたり、薄目にしてみたり、上下を逆さまにしてみたり、裏側から見たりなんて試しながら一通り見直してみたけど、おかしな所は見つからない。これなら次の工程に進めても問題なし。


 自分の分が見終わったタイミングでチラリとポリーちゃんの方を窺い見ると、わたしとレンヴィーゴ様からは見えない様に、胸のあたりに抱えるようにしながら確認作業をしてた。


 ……恥ずかしがってる様子がかわいい。


「ポリーちゃんの方はどう? おかしいなって思う所はあった?」

「あ、えっと、たぶん大丈夫……です」


 わたしが昨日、チラチラと覗き見てた限りだとおかしな部分なんて無かったので、たぶんホントに大丈夫だとは思う。


「それじゃ次の工程に移ろうか」


 わたしはそう言うと、レンヴィーゴ様の方に視線を向ける。

 レンヴィーゴ様は心得たとばかりに一度頷くと、足元に用意してあった木箱から二つの小袋と一つの小瓶、何本かの棒状の金属を取り出した。


「こちらが、依頼されていた小麦粉と塩と食用油です。廃却するような物でも良いという事だったので、粉ひき小屋で床に落ちてしまっていた物を集めさせたのですが、これで足りますか?」

「はい、十分です」


 パッと見た感じ、小麦粉は1キロは無いかな。それでも十分な量だ。食用油と塩なんてホント少しで大丈夫だしね。


「こちらが職人が使っているヘラらしいのですが、こちらは使えそうですか?」


 そういって棒状の金属をまとめて差し出してくるレンヴィーゴ様。ありがたく受け取って確認してみると、まさしく欲しかったタイプの物ばかりだ。

 先端が尖っていたり、斜めにカットされてたり、平型だったり丸型だったり、鉤爪状になっていたりと種類も豊富。サイズも手ごろな感じだ。

 使い込まれた感じがないから、もしかしたら予備として準備してあったものなのかな。


「はい、これで大丈夫です。ずっと使い続けるわけじゃないので、ポリーちゃんと二人で使わせていただきます」

「はい、そのようにお願いします。他に何か必要な物はありますか?」

「あー、今日の所はこれで十分です。次の工程の時にまたお願いします」


 次の工程には次の工程なりに必要な物があるから、今からお願いしておく。次の工程だと厨房をお借りする事になる予定だ。


 レンヴィーゴ様から「なんなりと」ってお返事をもらえたので、笑顔でお礼を言ってから、さっそく作業を始める事にする。


 レンヴィーゴ様とは別にポリーちゃんに準備してもらったボールにバサッと小麦粉を投入、そこにお塩と食用油を入れてグリグリとこねる様にかき混ぜる。小麦粉と塩、食用油が混ざってきたら、あとは様子を見ながら部屋にもともと用意してあった水差しから水を足し入れて、ひたすら捏ねれば小麦粉粘土の完成だ。


 粘土遊びをするのなら食紅とかで色を付けても良いんだけど、型紙取りの為に立体フィギアを作るだけなので、正直、色なんて何色でも良いので今回は無しだ。


 机の上に要らない紙を二枚敷いて、それぞれに小麦粉粘土の塊を半分に割ったものをのせる。


「これで、小麦粉粘土の完成です」

「これが粘土……ですか?」

「あー、えっと、粘土という名前だし粘土の様に使えますけど、粘土じゃ無いですね。元は見て貰った通り小麦粉と塩と食用油と水ですから。粘土の代用品って考えれば良いと思います」

「ルミさんの所では、これを何に使っていたんですか? まさかこれで食器や壺なんかを作っていた訳では無いですよね?」

「違いますね。これは子供の遊び道具なので、何か実用的な物を作るのに使うわけじゃありません」

「子供の遊びですか……どうやって遊ぶのですか?」

「子供に与えて、好きな物を作らせるのが一般的です。好きな動物の形にしたり、お店屋さんごっこをしたりですね」


 残念ながらこの世界だと粘土で遊ぶという文化なんて無いだろうし、情操教育なんて考え方も無いから、説明するとなるとなんとも難しいね。


「昨日の説明では、これで元になる粘土型を作るとおっしゃってましたね」

「はい。ですが、全部を小麦粉粘土で作ると重いし粘土も足りなくなっちゃうので、芯になる部分には、こういった要らなくなった紙を使います」


 そう説明しながら、あらかじめ用意しておいた紙を手に取る。書き損じをして、もう使えない紙だ。いや、正確には火種を大きくする為に使ったりするらしいけど。


 わたしはレンヴィーゴ様とポリーちゃんに説明をしながら、|反故紙≪ほごがみ≫を両手で丸めていく。

 最初に作るのは、ぬいぐるみの頭部になる部分だ。

 適当な大きさになるように上から枚数を被せるようにして、できるだけ滑らかな球形になるように形を整えていく。

 そうして、ひとつ球形の芯が出来たところで二人に見せる。


「こんな感じで芯材を作って、この上に粘土をのせていきます」


 説明しながら小麦粉粘土で芯材を包む。

 ホントだったら、粘土を再利用しやすくするために食品用ラップフィルムで芯材をくるんで、粘土が直接芯材に触れないようにしたいんだけど、残念ながらこの世界にそんな便利な物はない。いや、似たような物ならあるかもしれないけど、少なくとも今すぐに用意できる物じゃない。

 なので、あとの事は考えずに粘土を被せていく。表面はそこそこに平らになるようにして、真ん丸の球体じゃなく、ちょっと人の頭を意識した卵型だ。

 指のおなかの部分で表面を均して、ヘラを使って目や口なんかの部分を盛ったり削ったり。

 実際には目や口なんかは型紙に起こすときには分からなくなっちゃうんだけど、二次元の三面図で描かれたイメージが三次元である立体像になっても再現できるかを確認する為に、この段階で目鼻や口などを付けてみるのだ。


 そうして粘土を弄繰り回すことしばらく。ある程度、納得がいく形になった所で手を止めて二人に見せる。


「実際の手順としては、全体の芯材を作ってから粘土をくっつけていくんですけど、説明のために頭の部分だけを作ってみました。……見ててどうでしたか?」

「実に面白いですね。人が何かを作る様子を見るというのは、それだけでも、とても興味深いです。……姉上のもっている人形とは、作り方が違うんですよね?」

「ええ。実際に作っているところを見たわけでは無いので断定できませんけど……。エルミーユ様の持っていた人形は、こんな手間は掛けていないでしょうね」


 エルミーユ様が持っていた人形は、型紙を利用してるかどうかも怪しいからね。


「ポリーちゃんはどうだった? できそうかな?」

「えっと、……頑張ってみます」


 そう言って、早速反故紙に手を伸ばしたポリーちゃんは小さな手で、クシャっと丸め始める。

 なんだかんだで楽しんでくれてるみたいだ。


 このまま、もっとぬいぐるみ作りに興味を持ってもらって、ぬいぐるみ友達になってくれると嬉しいんだけどなぁ~。


今日はツインテールの日らしいです。

ウルトラ怪獣の方じゃないです。たぶん。


私が思いついたのは、あずにゃんと、かがみん。あと真紅と初音〇クとド□ッセルお嬢様くらいだったので

他にツインテールキャラって誰がいたかなー? と検索してみたら、ズラーっと一杯出てきました……。


私も、ツインテールキャラ出した方が良いんでしょうか……。


そういえば、ふるたんなんて女の子もいましたね (*‘ω‘ *)

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