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異世界生活のはじまり 6

「それでは、次は覚えてもらう魔法についてですが……、さっきの魔法の分類の話は覚えてますか?」


 マールが体内魔法と体外魔法について一人で考え込んじゃってて帰ってくる様子が無いので、そのまま放置して話を進めるレンヴィーゴ様。

 

「体内魔法と体外魔法……ですよね?」

「はい。それも分類方法の一つです。そして、他にも分類方法が様々にあります。そのひとつが、生得魔法と習得魔法とに分ける方法です」

「せいとくと、しゅうとく……先天的なものと後天的なものって事ですか?」

「正解です。流石は迷い人ですね。察しが良い」


 褒められても何も出ません! っていうか、せっかく褒めてもらったけど、わたしの頭は爆発寸前だよっ!


「これから覚えてもらうのは、当然、習得魔法です。それで、この習得魔法って分類されてる物も、幾つかに分類できます」


 またぁ!? もう泣きそうだよ。

 でも、レンヴィーゴ様はノリノリで、「そんな説明いらないです」とか言える雰囲気じゃないし……。


 それから体感でたっぷり一時間にわたって魔法の分類についての講義を受けた。

 学校の授業みたいだったよ。しかも、休み時間なし。アクビを何回噛み殺したことか……。

 さっきまで一人で考え込んでいたマールも、いつの間にか寝ちゃってるし。寝付きが良すぎだよ! まさか猫のくせに狸寝入りじゃないよね!?


 レンヴィーゴ様の講義によれば、わたしがこれから覚えるのは、言霊魔法という物らしい。

 

「他にも色々あるんですよ? できればルミさんとマール君には一通り勉強して欲しいくらいです」


 つまり、他の系統の魔法も勉強して領地の為に役立てろって事ですか?


 無理です!

 って、言いたいところだけど……。冷静に考えると、元の世界に帰るためには、魔法を覚えなきゃいけない気がするんだよね。


 仮に、この世界のどこか特定のワープポイント的な場所から元の世界に帰れるのだとしたら。

 その場所へ行くために、わたしには魔法という武器が必要だと思う。

 もし体力的に貧弱なわたしがピクニック気分で辿り着けるような場所がワープポイントだったら、これまでにも大勢の人が辿り着いてるはずで、日本に異世界人が溢れててもおかしくない。

 つまり、日本で異世界人が発見されたなんて話を聞いたことが無いってことは、それは、そう簡単には辿り着けない場所である可能性が高いって事だ。


 そんな、簡単には辿り付けないような場所へ向かうのに、何故、身を守る為の手段として剣や槍を選ぶ必要があるのか。

 運動神経とか反射神経とかが人並みよりほんのちょっと(・・・・・・・)低いわたしが、剣とか槍の修行をしたからと言って、それで人並み以上になれるのかって話だ。

 更に、元の世界に帰る条件は、魔王を倒すことです! なんてものだったら、目も当てられない。

 わたしがどれだけ剣の修業をしても、魔王なんて呼ばれるボスキャラを倒せるわけないし!

 そう考えれば、魔法一択というか、魔法に賭けるしかないと思う。


 そして、もう一つ。

 可能性の話でしかないけど、魔法で元の世界に戻れるんじゃないかってのがある。

 これはゲームとかラノベだとお馴染みだよね。所謂、召喚魔法ってやつだ。

 フィクションの世界だと、異世界から勇者になる運命の人を呼び出す事が出来るってパターンが多いかな?

 そういう呼び出すための魔法があるなら、逆に送り出す魔法があっても不思議じゃない。


 もう一つ、転移魔法というのもあり得るかもしれない。

 同じくフィクションだと、町から町へとか、ダンジョンの奥深くから入り口までとかを、瞬間的に移動できる魔法ってのが多いかな。


 そういう召喚魔法とか転移魔法とかが有るのかは分からないけど、他に思いつく有力そうな手段も無いんだよね。

 少なくとも剣や槍の修行をするよりは、魔法の勉強をする方が方向性としては近いと思う。

 どんなに剣の修行をしても、剣を振り回しただけで世界の壁を超えるような転移が出来るようになるとは思えないし。もしかしたら、剣をプロペラみたいにグルングルン回せば、空くらい飛べるようになるかもしれないけど、空を飛べたからって元の世界に帰れるかっていえば、可能性は限りなく低いと思う。


 そういうわけで、魔法の勉強をするのは、むしろ必須。


 問題は、どういう魔法を覚えて、使えるようになれば良いのか分からないという点だ。

 魔法って覚えて使えるようになるまで、どのくらい時間が掛るんだろ?

 ……気が遠くなるよ。


「あの……質問なんですけど、一瞬で離れた場所に移動できる魔法ってありますか?」


 もし、この世界に転移魔法ってものが有るなら、まずはそれに挑戦したいよね。

 炎系とか雷系なんていう攻撃のための魔法より、ゴールに近い気がするもん。


「そういう魔法は聞いたことが……。あ、待ってください。そういえば神話の中に、神々が突然現れたという描写があったような気がします。アレはそういう魔法だったのかもしれませんね。残念ながら人が使ったっていう話も、誰かが研究しているという話も聞いた事が無いですが。……あぁ、なるほど。そういう魔法があれば、元の世界に戻れるんじゃないかって事ですね?」


 わたしの質問の意図を読み取ってくれたみたい。


「今は、そうゆう魔法は無いですが、これからルミさんが魔法の勉強すれば、新しい魔法として組み上げれることも出来るかもしれません。挑戦してみるのも良いかも知れませんね。……それにしても、流石は迷い人ですね。発想が面白い」


 なんだか嬉しそうなレンヴィーゴ様。

 わたしとしては、元々そう簡単に帰れるようになるとは思ってなかったからね! だからショックは小さいよっ! ちょっとガッカリしただけだよっ!


残念!

この世界には、異世界から勇者を召喚するような魔法は存在してなかった!


実は私、勇者召喚系のお話ってあんまり読んでないんですけど

その理由の一つが、バトル展開があんまり好きじゃ無いから。

一回でもあったらダメってほど嫌いな訳じゃ無いですけど、バトルバトルバトルーって戦闘ばっかり続く話は苦手です。

それなら、無双系主人公がサクッと敵を倒しちゃう方が好き。


そういうわけなので、このお話もバトル展開はあんまり無いです。

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