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ポーション作りのお手伝い 21

「種から育てられた導魔樹はないって事は、最初の一本? あれ? 一本で良いのかな? 一人? 良く分からないですけど、最初の導魔樹は何処から来て、どうやって導魔樹になったんでしょう?」


 普通に考えれば、元になった植物が進化したって事になるのかな?

 元々は、普通の樹木でしかなかった植物が、何かのきっかけで進化して今の人面樹のような姿になったなんて事もあるのかもしれない。なにしろファンタジー世界だし。


「最初の導魔樹……ですか。アリシア師匠はご存じですか?」

「私も知らないわね。神話で読んだ記憶も無いわよ?」

「そういえば、魔導書が魔導書としてあるのは、わが国だけという話を聞いた事があるのですが……」

「それはちょっと違うわね。他の国にも一応魔導書はあるのよ。ただ、アルテジーナ王国以外の国にある魔導書は、魔力で出来ているわけじゃ無いって言うだけで」


 レンヴィーゴ様とアリシアさんの二人は、気になる話をしているけど、今はそんな事よりも大事な事がある。

 

「えっと、導魔樹がどこから出てきたのか分からないのは仕方ないとしてですね、コレ、このままだとリンゴはならないって事でしょうか?」


 わたしがそう質問すると、レンヴィーゴ様もアリシアさんも難しい顔で振り返った。


「それは、そうかもしれません。この状態からどうすれば果実がなるようになるのか、僕には想像もつきませんね」

「魔導書を作るときみたいにリンゴを埋めてみる? 今の時期にリンゴが手に入れば、だけど」


 季節は春。残念ながらリンゴの季節じゃない。それはこの世界でも同じみたいだ。

 つまり、魔導書の代わりにリンゴを入れたくても、今の時期には不可能って事だ。


「それじゃ、どうしましょう? リンゴが無ければミックスジュースも作れないんですけど」


 ミックスジュースが作れないという事は、せっかく育てた導魔樹も無駄になってしまうって事だ。


 わたしの知っているリンゴだったら、たぶんおそらく何もしなくても花が咲くはずだ。

 花が咲いて、そこに雄しべとか雌しべがあって、それを昆虫とかが運ぶことで他のリンゴの樹の花粉を授粉して、それによって実がなるはず。……maybe。


 つまり、花が咲かないって状態がもう良く分かんないんだよ。

 

 頭を抱えてうんうんと呻りながら悩んでいると、部屋の外に人の気配に気づいた。

 誰かの足音が近づいてくる感じだ。


 レンヴィーゴ様とアリシアさん、いつのまにかウトウトしているマールも足音には気が付いたみたいで、みんなが扉の方に視線を向ける。


 コンコンコンと扉がノックされてレンヴィーゴ様が誰何をすると、自分の名前を告げる男性の声が聞こえた。

 レンヴィーゴ様は少し残念そうに眉を八の字に下げつつもすぐに表情を取り繕い、すぐに扉を開けた。


 レンヴィーゴ様は扉の向こうの男性を部屋の中に招き入れる事なく戸口で対応して何事か言葉を交わしている。

 話の内容は上手く聞き取れないけど、「到着した」とか聞こえるね。何かの報告を受けてるみたいだ。


 レンヴィーゴ様は扉の向こうの男性に「ご苦労様」と声を掛けてそのまま下がらせると、こちらを振り返って小さくため息をつく。


「ルミさん達とこうして議論をするのは楽しかったのですが……、残念ながら仕事のようです」

「何かあったんですか?」

「森で討伐した魔物を村まで運び終わったようですね」

「あー、たしかミノタウロスでしたっけ……」


 直接は見ていないけど話を聞いた限りでは、森で討伐した魔物は牛頭の巨人という事だった。


 牛頭の巨人といえば、わたしの頭に浮かぶのは神話に出てくるモンスターだ。

 デザイン的にイメージしやすいからなのかサブカル界隈では登場頻度が高くて、作品ごとに多少のバラツキはあるものの中ボスクラスに設定されている事が多いかな。


 なので、ゴブリンとかエルフとかドワーフとかスライムとかドラゴンとかには及ばないものの、かなりの有名モンスターで、有名であるが故に、この世界にも普通に存在して知られている存在だと思い込んでしまった。


 ……だけど、失言だったっぽい。


「えっ!? 知っているんですか?」


 詰め寄ってくるレンヴィーゴ様。その目は驚きっていうより、溢れる好奇心で輝いている様に見えた。


 ミノタウロスなんて、元の世界じゃ空想上の怪物だったんだから、知ってるけど知らないよ!

ムッチャ体調不良のため、ムッチャ短いです。

夏は大好きなんですが、大の苦手です (´・ω・`)

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