ももちゃんは俺のマネージャー
「あーあ、今日も部活か、だりぃな」
引退まで1ヶ月もあるなんて気が狂いそうだ。俺は陸上部に入っているが、賞をもらえるような実力はない。たとえ頑張って練習したとしても、早くもない自己ベストを更新できるくらいだろう。
そんな諦めモードの俺が、毎日部活に来る理由は、ただ1つ。最近入部した、2個下のマネージャー、「ももちゃん」に会うためだ。ももちゃんこと桃井雪那ちゃんは、我ら陸上部の天使。透き通った肌、うるっとした目、ぷるぷるした唇に、小さな顔。そのかわいさで、「おつかれさまでふっ」(ももちゃんは滑舌が悪くて噛んでしまう)と言われたら、思わず抱きしめたくなる。他の女と違って、控えめなところも良い。
だが、そのかわいさに惹かれている人が多いのも事実だ。俺の友達である、バスケ部キャプテンの佐藤春輝も、ももちゃんの虜になってしまった。まぁ、春輝は恋愛に関してチキンだから、告白はまだ無理だろう。
(春輝にすきって言われたら、ももちゃん断れないだろうな…。そうなれば、もたもたしている暇はない。今日の練習が終わったら告ってみようかな。)
そんな事を考えながら、学校に向かっている時だった。
ーーガシャン!!!
地面に鉄の塊が落ちたような音と同時に、俺の意識は遠のいていった。