安心
「小夜立てるか?」
「ごめん、無理っぽい‥」
あの女は倒したけど内容的にはほぼ相打ちだ。黒焦げになったあの女を見た。
「なぁ小夜、あいつって死んだのか?」
「どうだろ?私にもわからない、ただもうこいつとは2度と戦いたくないわね‥‥それにせっかく同族同士出会えたのに殺し合いを挑んでくるなんてバカみたい」
そうだよな、あいつと俺らは違う。本来は助け合っていかなきゃならないのにあいつは俺たち2人を殺そうとしていた。
「小夜で良かったよ」
「え?」
「最初に出会えたのが」
そう言うと小夜は少し驚いたような表情になっていた。
「最初私も宗を殺そうとしちゃったけどね」
小夜は照れたように言う。それは小夜が精神的に不安定だったからだ。
「まぁ出会いは最悪だったけどな」
「でも宗は今は大切な私の仲間よ?無事で本当に良かった」
「そりゃこっちのセリフだ」
「ほれ、行くぞ」
俺は小夜をおんぶした。
「なんだかいつもと逆だね」
「たまにはこんな事もあるさ」
「父さんが昨日から出張に行ってるし明日から土曜だ。しばらく小夜の家で看病してやるよ」
「ありがとう。私が怪我してるからって襲おうとしないでね?」
「お前って本当に失礼な奴だなぁ。それにまたこんなに怪我しやがって」
「だね。自分でもおかしくなるよ」
そして小夜の家に着いた。俺は小夜ほど速く動けるわけないので小夜の家まで着くのに相当時間がかかった。
気付くと小夜は俺の背中で寝ていた。リビングに行き軽い治療をして小夜を2階の寝室に連れて行く。
本当はもっとちゃんとした治療をした方が良いのだが小夜や俺は病院にも行けないし仕方ない。もし病院でバレたらモルモットにされそうだ。
今日は小夜の家のリビングのソファで寝よう。
そして朝になり起きると小夜は俺の寝てるソファの横で寝ていた。
こいつわざわざ起きてきてここで寝たのか?
「おい、小夜。起きろ、なんでお前ここで寝てんだよ?」
「んあ、おはよう、宗。ちゃんと宗がいるのかな?って思ったら宗が寝てて安心して私もここで寝ちゃったわ」
「なんだよ?それ」
「ちゃんと助けられて良かったってことよ!」
「はぁ〜、早くこの火傷治らないかしら?美人が台無し‥‥お嫁に行けないじゃない、これじゃあ」
とは言うもののもう治ってきてるから相変わらず怪我の治りの早さはすごいな。
「宗、朝ご飯作ってあげる。宗も私をおんぶしてここまでら連れてくるの疲れたでしょ?」
「え?もうそんな事して大丈夫なのか?」
「大丈夫だから言ってるんじゃない、じゃあ作るわね」
なんだか不思議な光景だ。




