再開
とにかく走れ!
走って時間を稼がないと!
そうだ!防火ドアを閉めれば!
よし、手動で行ける。すると反対側の1番奥の廊下から化物が見えた。
「こっちかよ!?」
急いで戻り反対の防火ドアを閉める。
そうしている間にももう反対側から来た。
こっちも閉めなければ!
あれ?俺自ら逃げ場塞いでね?
病室はある。窓もある。でもここは3階だ。落ちたらもし死ななくても骨折する。俺の治りの速度にもよるがこの状況じゃどっちにしろ助からない。
「死ぬかもな俺‥」
すでに防火ドアに化物は辿り着きドカドカと叩いている。破られるのも時間の問題だ。
俺は覚悟して片手剣を構える。俺の力であいつらの体を斬り裂けるかもわからない。
小夜なら楽勝なんなんだろな?こんな奴らクソ!
ついに防火ドアが片方破られ化物が入ってきた。
病室に逃げついに窓に追い詰められた。
この化物どもは小さいし若干人型だ‥
勝てるかもしれない。俺は勢いよく剣を振り上げ化物に振りかぶる。
ガキィィインと音がして化物の体の半分くらいまで切れた。
硬い‥でも切れる!
俺は僅かな希望が見えてきて必死に剣を振り回す。
「来るな!来るな!」
だが多勢に無勢、化物たちはもう俺を完全に包囲した。
終わった‥そう思った瞬間俺の後ろから空を切る音が聞こえ化物の頭を貫いた。
「宗ッ!」
後ろを向くと汗まみれで顔を濡らした小夜が窓から息を荒くして叫んでいた。
小夜が神様に見えた。
「宗!私に抱きついて!」
「は?」
「早く!」
急いで俺は小夜に抱きついた。服もびっしょり濡れていた。どんだけ走ってきたんだ?
「飛び降りるよ?」
そう言い小夜は窓から窓に着地し病院の外に出た。
「宗、良かった!無事なのね?」
「あ、ああ、ダメかと思ったけどな、探してくれたのか?」
「当たり前じゃない!?」
小夜が安心しきった顔で微笑んだ。
だがすぐに真剣な表情になった。
「あの女は?」
「俺に化物と戦えって言ったっきり姿を消したよ」
「逃げたのかしら?」
「いーえ?ずっと見てたわよ?あーあ、汗まみれで醜い姿だこと。小夜ちゃん」
「あんた‥人間を化物にさせたわね?こんな数あり得ない。でもそのお陰で私はここを見つけることが出来た。あんたバカなの?」
「失礼ね。暇だからやっただけよ?あなたなんか私の障害にもなりそうにないってさっき戦ってわかったし。勾玉は勿体無いけど使っちゃった。消費した勾玉回収するからちょっと待っててくれる?」
「逃げる気?」
「まさか。それはこっちのセリフ。まぁあなたたちがこのまま逃げてもすぐ殺せるわ?大人しく私の機嫌を損ねないように待ってなさい」
そして女は病院の中に消えたいった。
病院の中からは化物の断末魔が聞こえる。凄まじい速さで狩っているのだろう。
「小夜‥あいつ相当強そうだけど」
「うん、強いよ。だけどこのままじゃ私たちもいずれ殺される。だからここでやるしかない。宗は見てて、後は私がやる!」




