暗い部屋
事の発端はレンタルショップにゲームを買いに行こうとしていたところだ。
通り慣れた道の電柱に不思議な赤い色の勾玉が落ちていた。綺麗な色だなぁ、もしかして掘り出し物?
後で調べてみようと思いポケットに入れた。
その瞬間黒ずくめ?いや、黒いセーラー服のような服を着た女が俺の正面から歩いてきた。
「それに触れたの?」
「うん?」
「それに触れたの?って聞いてるの。って持ってポケットに入れたんだから触れたのよね?」
「それが何か?」
「残念だけど君には死んでもらうわ」
そして追いかけられて殺されそうになって今に至る。
いや、今も生かされてるのか殺されるのか分からないけど。
「で?私は小夜。君は?何度も言わせないで」
「宗。日向 宗 (ひむかい しゅう)」
「ふーん、で何で宗は人間のままなの?」
「何でって俺は元から人間だよ!」
「これはね、人の悪意をそのまま形にする勾玉なの。これに触れると人間はその人間の悪意のままの形になるの。宗はどうしてそうならないの?人間に悪意がないわけないのに」
確かに悪意がないわけはない。ただそんな理不尽な事言われたって俺には何も分からない。
「まぁいいわ。もしかするとしばらくしたら化物になるかもしれないしその時は私が殺してあげる。それまで宗は監視しておく」
そう言うと小夜は夜道に消えた。
すると周囲の様子も変わった。さっきまで人っ子ひとりいないようだった住宅街に何故か人の気配がするしさっきまで車も通らなかった道路に車も走っている。
一体何が何やらわからない。わかるのは小夜が普通じゃないって事くらいだ。
何もわからないまま俺はその日は家に帰った。とりあえず生きて戻れたことに喜ぶべきか‥
ベッドにつき体を寝かせさっきの事を思い出す。よくよく考えると小夜が人間かどうか怪しい。
俺が走り回って逃げている時塀や家の屋根など伝って俺を追いかけ回し7メートルの距離を一気に詰められる運動神経。どう見ても人間じゃない。
それに何より俺を平気で殺そうとしてきた。一体何なんだ?
ダメだ、全然理解できない。それに小夜はあの勾玉を狙っていた?なんのために?てか何であんなところに落ちていた?俺が触っても平気?
考えてもしょうがないので俺は目を閉じた。するとあの小夜って女の気配が感じビックリしてベッドから飛び上がる。
なんだ?いないじゃないか。俺は暗い部屋を見渡しいないのを確認した。
「宗、君の事はしっかり監視しているよ?おやすみなさい」




