不利
うーん、迂闊に動けないなぁ。
化物相手なら慣れてるけど同じ同族と戦うなんて初めてだし何か私の知らない能力もあって私の能力は既にバレてて私の戦い方も知っている。
一方で私は相手のことを何も知らない。わかってる事と言えば相手の武器が握り手の部分が大きめなナイフという事。
そして私は鎖鎌、リーチなら私が圧倒的上。仮に相手の方が身体能力が高くてもカバーできる。
あんな武器で化物を狩れるのだろうか?
もしかして私との同族との戦いは向こうには初めてじゃないかもしれない。
挑んできたのだから。
狡猾に私たちを観察して勝てると思ったから出てきたんだ。その可能性は十分ある。
でも引き下がれない。私を殺しておまけな宗を貰う?ここまでバカにされて大人しくしてるほど我慢強くない。
「ねぇ?来ないの?威勢の割にはやっぱりビビっちゃった?」
「そっちこそ来ないの?私の事は分析済みなんでしょ?」
「じゃあ遠慮なく」
その瞬間彼女は一瞬で視界から消えた。
速い!スピードじゃ敵わない。
どこ?
「キョロキョロ探しちゃって。上よ」
その言葉に反応し急いで回避する。
なんでわざわざ教えるの?バカにしてる?
「バカにしてる?って顔に書いてあるわよ。そうね、私の方が身体能力は上よって余裕かな?」
「へぇ、伊達にそんなリーチの短い武器使ってるわけじゃないのね」
だったら近寄らせなきゃ良いだけ。
私は自分の周りに鎖を高速回転させた。そして相手に突っ込む。これならどう?
「ふーん、凄い器用に回転させるのね?それで突っ込んで来ようとか思ってる?」
予想済みか。でも突っ込む!
その瞬間彼女は罠にかかった獲物を見るような目で私を見た。
やっぱり何かある!
彼女はナイフをこちらに向け刃先を発射した。
スペツナズナイフ!?
擦り抜ける?ダメだ、それを狙ってるような気がする。あえて受ける?それもダメ!毒ナイフかもしれない。
私は鎖鎌の軌道を変えナイフを弾いた。だがそのせいで回転は止まった。危なかった‥‥
「んー、防いじゃったかぁ。やっぱり器用に使うのねそれ。能力使って避けるのかと思ったけど」
「あんた私をバカにしすぎじゃない?これでも結構修羅場をくぐってきてるのよ?」
「あーあ、片方のナイフなくなっちゃったぁ」
「どうせ装填できるんでしょ?だからそんなに大掛かりな持ち手してるはずだし」
「ふぅん、わかっちゃった?初めて仲間と戦うのにね。やっぱり実戦をこなしてきたから洞察力はあるようね」
「それくらいわかってて挑んできてるんでしょ?」
「そうよ?だから大人しく殺されてくれない?」
「嫌よ、あんたみたいなのは気にくわない!コソコソしたやり方もね!もしいき化物に会ったらあんたみたいなやり方通用しないよ!」
「一理あるけど私とあなたはタイプが違うようだから話にならないわね」
こいつ本当に強い‥‥
性格も悪い、宗くらいわかりやすかったら楽だったのに‥
私の能力は使ったら終わりだ。使った瞬間、次の発動までに一気に畳み掛けるつもりだ。私の能力ってほんと使えない。精々びっくりさせるくらいだ。
バレれば尚更‥
つまり能力なしで勝たないといけない。相手は能力を残していていまだに使ってない。
どうすればいいんだろう‥
「おーい!小夜!」
「え?」
「あら?」
「宗!出てきちゃダメ!」
その瞬間隙をついて彼女がナイフを飛ばしてきた。私はそれをなんとか弾いたがもう遅かった。
「グガッ」
彼女はその隙に宗を殴り気絶させた。
「このペット貰っていくわね」
「宗!待ちなさい!!」
するとまた彼女はナイフを飛ばした。
「時間差で2発!?」
時間差で2発を発射し、かわすのに手こずった私の目の前にはもう彼女はいなかった。
「宗ーー!!」
虚しく木霊するだけだった。




