回復
そして2週間余り過ぎた頃、小夜の怪我は全快し夜間に狩りにきていた。
「なんだか久しぶりな気がするねぇ!」
「ああ、お前に担がれるのも久しぶりな気がするよ」
相変わらず小夜におんぶに抱っこな状態の俺である。
「それにしても宗ってまだ何もこれといった変化ないのよね」
「まぁそうだな。でも少し小夜に鍛えられて強くなったような気がするぞ」
「担がれて言われると説得力ないよ?それ」
「お!いたいた」
「治って早々に治療コースとか洒落になんねぇから気をつけろよ?」
「ちょっとぉ!私これでも結構強いと思うんですけど!見てなさい、あんなの瞬殺よ!」
今回の敵はミミズのような相手だ。マジでキモいわ‥‥
頼むから早く倒してくれよ、小夜。
正面に立つとミミズが口のようなものを開きゲロをかけてきた。
小夜が俺を担いで避ける。汚ねぇ、小夜に感謝だわ。
するとゲロがかかった地面が解けている。エイリアンみたいだな‥
「宗、チャチャっと済ますからここにいてね!」
小夜は俺を安全な場所に見事な鎖捌きで鎌を次々と突き立てていく。
そして赤い光の中心に鎌を突き立て余裕で勝ってしまった。
こう見ると小夜って強いんだなぁと感じる。だけど化物が最後にゲロを吐いた。
だが小夜は軽くかわした。アーメン。
「あーん、スカートに少しかかっちゃったよぉ!」
「油断大敵だな!」
「隠れてた宗がドヤ顔で何言ってんのよ!」
「あ、はい!これ」
「えぇ?さすがに3個目だぞ、これで。いいのかよ?」
「うん、なんか最近安定してるのかあんまし使わなくても持つかなぁって」
「小夜もよく分かってないのに大丈夫なのか?」
「私は本当に大丈夫なんだって!凄く調子いいよ?」
「まぁ小夜がそう言うなら貰っておくか」
てか俺も使うほど精神的に不安定になったことないけどな。どれくらい取らないとヤバくなるかは個人差があるようだし。
「宗もなかなか調子いいようだし節約出来るね!でもまだ何があるかわからないから今後の事を考えてどんどん回収しようね?」
「もしかすると宗の力を引き出すきっかけみたいなのもそのうちあるかもしれないし」
「まぁそんな時が来ればいいけどな。小夜ばっかりだもんな、戦うの」
「そうよー、少しはかっこいいところ見せてね!でも死んじゃやーよ」
「小夜こそな?」
「まぁ私が死んじゃったら宗も確実に死ぬからいいプレッシャーになってるよ、アハハッ」
「今日は少し遅いから宗の家に直接送ってあげるね!」
そして瞬く間に俺の家に着いた。いい仕事だ運ちゃん。とか言ったらヤバそうなのでありがとうと言っておいた。
「あれ?」
「どうした?」
「うーん、気のせいかなぁ?宗の目が一瞬青くなったような気が‥」
「気のせいだろ?」
「‥そうだね!じゃあまた明日」
そうして久しぶりに小夜と狩りに出た夜は無事に終わった。




