謝罪
誰かにおぶられている。
とても疲れているようだ。
はぁはぁと荒い息遣いが聞こえる。
でも暖かい。心地いい。
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「目は覚めたかよ?」
「ここは‥」
「お前の家だよ」
「血まみれの私をここまで運んできたの?どうやって?」
「そりゃあ辺り一辺封鎖してな、ありゃしんどかった。お前もあの怪我でよく出来ててたな?」
「慣れれば息吐くのと同じ要領だよ。でも宗は全然慣れてないからとても疲れたでしょ?」
「俺より自分の怪我を心配しろよ」
「大丈夫、骨折とかでも1週間あれば治っちゃうんだから」
「は?お前それじゃあこの前の肋折れたままで戦ってたのかよ?」
「あ‥‥そーともいう」
「呆れた‥‥」
「でもまぁ、俺のせいでもあるし‥今回はごめんな、小夜が生きててよかったよ」
「私の方こそ守ってあげるとか言っておいて危険な目に合わせてごめんなさい」
「あのね、あの時宗に少し怒ってたんだ、せっかくのチャンスを台無しにされて‥でも本当はそうじゃないの。
宗は化物になる前のあの人を庇ってた。でも私にはそんな余裕もなかった。いままであいつらと戦ってきてどんどん人間らしさってのが消えていった気がしたの」
「それで私は醜い化物と一緒なんだと思ったらなんだかやるせなくて‥」
「俺と小夜のどっちが正しいのかはわかんないけどさ。どれが正しくても他人にとっては違うからさ。小夜は小夜の考えで行動すればいいよ。ただ今回は俺が招いたミスだ、小夜がそこまで考える必要はない」
「はぁー、年下にこんなこと言われるなんて思わなかった!でもせっかく宗と一緒に行動してるんだし私も宗のそんな優しさを見習ってみようかしらね」
「貶したり褒めたり忙しい奴だな、あ!」
「え?」
「今頃クラスで騒ぎになってるかもな。俺たちが消えたんだから」
「あー、そうだねぇ。一緒に消えてラブラブだねぇとか思われたりしてね」
「お前って緊張感ないよなぁ。大体あんだけ辺り一面お前が血まみれにして気絶して俺が掃除してきたからよかったものの‥」
「ああ、そんなん私が生理で大量出血にしとけば?」
「バカかよ!?恥じらいもクソもねぇな、小夜は?それに俺も一緒になって消えてたらますます怪しいじゃねぇか!」
「冗談冗談、あんなの生理で通用するわけないじゃない、あはははッ」
「まったくよくわかんねぇな小夜って」
「まぁ2人とも無事なんだし結果オーライって事で!ん?」
「どうした?」
小夜の表情が少し険しくなった。
「どうして私のポケットにこれがあるのかなぁー?」
あー、もうバレたか。小夜のポケットに入れてた勾玉。
「いや、今回は本当に悪いと思ってさ。
受け取れなかったんだ」
「へぇー?自惚れないでくれる?私は宗の勾玉のためにあんなに戦ったの!それに今回私の雑な戦いでああなったんだからそれは私の落ち度!こんなこと言わせないでくれる?恥ずかしいじゃない!」
そして俺の頭にバシッと勾玉を投げつける。痛い‥
「でもね、あの時のトドメ刺す時宗に少しドキッとしちゃった」
小夜が顔を赤らめて言う。
「はぁー?」
「あははッ、照れた?わかりやすいなぁ、さすがドーテー」
まぁこんなに軽口叩けるんならもう大丈夫かもしれない。




