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仮面の少女

作者: 春巻きとまほ

このお話を見つけてくださったそこのあなた!!本当にありがとうございます。 まだまだ稚拙な文章ですが、読んでいただけたら幸いです。それから、ぜひご意見ご感想を一文字でも良いのでお願いします!

 他の子となんら遜色のない平凡な少女でした。少しばかり背が大きいような気もしましたが、似たような背丈の子は何度か見かけていますし、さして特別なことではありませんでした。

  少女は人と面を向かって話すのが好きではありませんでした。話すこと自体は好きだったのですが、自分の内面を見透かすような相手の視線が嫌だったのです。そういうわけで友達もいませんでしたし、家族ともあまり話すことのない、暗くて静かな子、でした。そのことで自分のことも好きではありませんでした。

  ある日、少女は家の物置で一枚の不思議な仮面を見つけました。

  少女そっくりの仮面。

  少し気味が悪かったのですが、ものは試しと、少女は仮面をつけてみることにしました。これまた不思議なことに仮面の中は息苦しくなく、何かに守られているような、包み込まれているような、そんな安心感さえありました。そこで、少女はしばらくの間、仮面をつけていることにしました。

 仮面は少女の顔そっくりだったので他人にも、家族にさえも何も言われませんでした。それだけではありません。仮面という鎧をつけた少女は人とおしゃべりをするようになっていきました。もともと話すことは好きだったので、次第に少女は、明るいおしゃべりな子、へと変わっていきました。

 その日の夜、そろそろ眠ろう、と仮面をはずすと……はず、すと……はずれない??

 なんということでしょう仮面は少女の顔にべたりと張り付き、離れなくなっているではありませんか。どうして、どうして⁈ 少女は焦ります。ですが、いっこうにはずれる気配はありません。油を塗ったり、お湯につけたりと色々試してみましたがどれも期待はずれでした。

 一時間ほど経ったくらいでしょうか。少女はこのままでもいいかも知れない、と思うようになりました。少女にとって他人の視線を気にすることなく生きることは、それだけで仮面の生活を受け入れるくらいには嬉しいことだったからです。

 仮面をつけてからというもの、少女の世界は大きく変わりました。

 明るい子になったため、たくさんの友達に恵まれ、他人との喧嘩もなく、だれからもいい人だ、と思われるようになったのです。

 それからのことです。すっかり仮面の暮らしにも慣れた少女の前にそれはそれは素敵な男性が現れました。少女はその男性に恋心を覚え、なんとか距離を縮めようと、それはもう必死にアプローチをしました。少女の努力が実ったのかその男性とデートに行くことになりました。これは大チャンス、あとはタイミングをみて想いを伝えるだけです。デートが進み、そろそろいい頃合だろう、と少女は勇気を出して告白をしました。

 答えは、ノー。

 どうしてでしょう。二人きりでデートに行くほどの仲で、いい雰囲気にもなっていました。少女は彼に尋ねました。どうして、私ではダメなのか、と。

『なぜかって? それは君が本物じゃないからだ。 偽りの存在なんだよ、君は。』

 そう彼は言いました。

 そうです、彼は気づいたのです。少女が仮面を被っていることに。

 誰に対してもいい人である、あろうとする少女は、誰に対しても偽っていたのでした。相手に合わせるように自分を偽り、他人の目も偽っていたのです。少女は仮面を被ったことで表面上の友達を得ることができました。ですが、もっと深い関係の恋人を得ることはできなかったのです。

 仮面は少女が自分のほんとうの姿を受け入れるまで、はずれることはないでしょう。自分自身を受け入れる、単純で、だからこそ難しい。いったい、少女の仮面がはずれるのはいつになるのでしょうか。


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