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盗賊と同族?

お待たせしました。

いつも読んでくださる皆様にはごっつぅ感謝しております。ありがたやーー。

「ぎゃぁぁぁぁ!!」


 静寂を破る絶叫が洞窟に木霊する。

 ━━━とは言っても、これが最初の絶叫では無いのだ。既に30人程の絶叫が洞窟に木霊している。


 絶叫を上げているのは、エクセリア領を縄張りにしている[黒い鎌]と呼ばれる盗賊団の構成員だ。


 アウルとオルファは、偶然盗賊に襲われた馬車を発見し、偶然盗賊を生け捕りにし、偶然アジトを突き止めた。

 現在アジトのあった洞窟を襲撃中である。誠意で。


「はい、はい。降参する人は手を頭の上に置いて伏せるんだわよー。じゃないと、その筋肉ゴリラが頭かち割っちゃうんだわよー。」


 アウルは今だ洞窟の奥で抵抗する、健気な盗賊達に呼び掛ける。

 手を赤く染めたオルファは呆れたような表情を浮かべる。


「いや、筋肉ゴリラってお前。・・・てか、どっちが盗賊だか分かんねぇな。お前、俺が来る前もこんな事してたのか?」


「する訳無いんだわ。こちとらか弱い少女なんだわよ?あんたみたいな筋肉ゴリラがいるから有効活用しているだけなんだわよ。自分の食費分位、自分で稼ぐんだわね。」


「・・・んーーーー。まぁ、そうか。そうか?」


 オルファは頭を傾げる。

 そんなオルファをよそに、アウルは上機嫌で伏せる盗賊達に奴隷用の首輪を装着していく。


 この奴隷用の首輪は、主人登録された者命令一つで、距離に関係無く装備者に拘束と絞殺を行える魔道具だ。

 上級の首輪になれば、拘束や絞殺だけでなく、もっと複雑な命令を下せるようになるのだが、所詮直ぐに売ってしまう奴隷なので、今回は使う予定はない。


 奴隷を増やしながら、嬉しそうに奴隷の勘定を始めるアウル。

 そんなアウルを見ながら、こんな奴を主人にして良かったのだろうかと、今更ながら不安に思うオルファ。


 オルファ自信、盗賊をほふる事には全然抵抗は無い。

 異世界から勝手に呼び出された当初ならまだしも、長らく戦争で嫌と言う程に人を殺しているのだ。今更、殺す事には大した思い入れも無い。

 オルファは思う。仮にも、勇者と呼ばれた自分がこう考えるのは、少しアレだなぁ、と。それと同時に、まぁ、仕方が無いとも思う。当時の権力者達がオルファに教えこんだ勇者の姿は、誰かを救う者では無く、国の為にただ戦う者だった。

 主こそ代わってしまったが、仕える者の為にただ戦う今の自分の姿は、ある意味正しいのだ。当時の権力者的は、だが。


 しかし、こうも一方的な蹂躙だと何とも言えない気持ちになる事も事実だった。

 例えるなら、やりたくもない害虫駆除を延々とやらされるような気持ちだ。つけ加えるなら、害虫をちまちま指で潰しているよいうな、そんな気持ちだ。


 オルファは今だ抵抗を続ける盗賊を見つめながら、大きく溜息をついた。


「なぁアウル。やるなら、全部殺っちゃわないか?」


「駄目だわよ。一人、5千ギル、絶対無駄に出来ないんだわ!」



 オルファは再び溜息をつき、洞窟の奥へと視線を向け歩きだした。



 ◇━━━━━━◇



 悲鳴が木霊する洞窟の奥。

 盗賊団のボス、アグロは弓を構えたまま動けずにいた。




 襲撃を受けたと部下が飛び込んできた時、アグロは鼻で笑っていた。なにせ、襲撃者は二人きり、その内の一人は子供だと言うのだ。

 アグロは部下に命じた。出来るだけ生け捕りをするようにと。

 向かわせた部下は十五人。本来なら、二人相手程度直ぐに捕らえられる人数だ。多すぎると言ってもいい。


 しかし、部下は一向に帰って来ない。


 アグロはランプにうっすら照らされた砂時計を見た。

 砂は落ちきっている所を見ると、既に三十分以上が経過している。


 アグロの額に一筋の汗が流れた。


 実のところ、この盗賊団は戦力的な面でみれば、大した事のない集団だった。それなりの実力者、騎士団や上級冒険者であれば、盗賊団を蹂躙するのはそう難しくない。


 なぜなら、この盗賊団のメンバーの殆んどが、町のチンピラや冒険者にも成れない落ちこぼれの集まりで、個々の実力はたかが知れているのだ。

 それ故に集団で行動する事を徹底した。数による優位性を活かし行動してきた。そのお陰で、盗賊団は今まで大した損害も無く、幾多の成果を上げてきたのだ。


 とは言え、それだけ、と言う訳でも無いのだが。


「ヘッグ、これを例の場所に入れて置いてくれ。」


 そう言うと、アグロは懐から一枚の手紙を取り出した。


「へい。━っ!?ボスこれって例の奴等からのじゃねぇすか?いいんすかこれ大事なもんじゃ。」


「だからだ。襲撃者の奴等が誰だか知らねぇが、これを見られるのは不味い。もしこれが公になってみろ、殺されるなんて生易しいもんじゃ済まねぇぞ。」


「なら焼いちまえば・・・。」


「馬鹿言え。いざとなったらコレは必要になる。いけ!」


 アグロに追い立てられ部下か走りだした。

 その後ろ姿が洞窟の闇に消えるまで見送った後、アグロはゆっくり息を吐き、愛用の弓を握った。


 今この洞窟を襲撃してきている者に心当たりは無かったが、二つ分かっている事もあった。

 洞窟を襲撃してきている者は、少なくとも中級冒険者以上の実力を持っている事。そしてこのエクセリア領に関わりの無い者だ、と言う事だ。


「さて、鬼が来るか、蛇が来るか。」


 そう呟いたアグロの前に、灯りに照された大きな影が現れた。

 アグロは息を飲み、弓を構えたまま動けなくなった。

 見た瞬間に死期を悟る程、その影から強者の気配を感じたからだ。身動き一つでも取れば殺されかねない。アグロの頭の中から抵抗の二文字は消え去った。


 呆けていると、その影の後ろにいた、灯りを持った一人の少女と目があった。

 少女は嬉しそうに口元を歪め言った。


「抵抗する気が無ければ、両の手を頭の後ろに、地べたに伏せるんだわよ。死にたいなら、そのまま構えたままでいいんだわ。」


 アグロは弓を手放すと、ゆっくりと両の手を頭の後ろに置いた。



 ◇━━━━━━◇



 盗賊団を根こそぎ捕らえたアウル達は、盗賊団のボス、アグロを従え洞窟を物色していた。


「さてさて、宝物庫は何があるんだわね?アグロ?」


 名前を呼ばれたアグロは虚ろな目でアウルを見つめる。


「はい。強奪した金品が置かれています。ただ、量はあまりありません。先日、団の食料や装備を整える為に、大分使ってしまいましたので。残りは10万ギル程度かと。」


 素直に語るアグロの首に、赤黒く輝く首輪が付けられていた。

 上級の隷属首輪[スレイブチョーカー]である。

 装着者は自我を封印され、首輪に登録されている主に対し、絶対服従の洗脳を掛ける魔道具だ。お値段は一個ポッキリで20万ギルの高級品である。


「10万ギル・・・・・はぁ。まぁ、何にも無いよりはマシ、だわね。いくんだわよ。━━━あ、それよりあんた、盗賊団メンバーはこれで全部なわけ?」


「はい。先程、アウル様の従者の方が捕らえた男が最後です。」


「あんたの部屋にいた奴だわね。ふぅん・・・・、オルファ!奴隷を縛り上げたら、あんたは寝てるかなんかして動くんじゃ無いんだわよ。」


「まじか。腹減ったんだが。」


「じゃぁ、飯食うだけだわよ!あんたが生気バンバン吸うから、疲れるったら無いんだわ。」


 オルファに、パンと干し肉を一袋叩きつけ、アグロを引き連れたアウルは、宝物庫へと向かった。


 宝物庫はアグロの言う通り、金銀財宝の山、と言う事も無く寂しい状態になっていた。

 アウルは宝物庫を見渡し、金の燭台を手に取った。


「・・・・はぁ。これメッキだわよ?10万ギルは期待出来ない、だわね。」


 アウルは溜息をつき、アグロに視線を向ける。


「他になんか無い?これじゃ録な稼ぎにやらないんだわね。」


「稼ぎ、になるか分かりませんが。アウル様がご興味を持たれる物がごさいます。」


「ん?何だわね?」


「俺の私室に隠してあります。手紙です。」


 それを聞いたアウルはニッと笑う。


「取り合えず見せて貰うんだわ。」



 ◇━━━━━━◇



 アウルが去った後、そうそうに奴隷達を縛り上げたオルファは、固い干し肉にかじりついていた。


「おい、あんた。」


 不意にオルファは声を掛けられた。

 声の方へと顔を向けると、そこにいたのは最後に捕らえた盗賊だった。


 少し盗賊を見つめ、オルファは何事も無かったかのように、干し肉をかじり始める。


「あんただよ、つか今こっち見たろ、なぁおい。」


「うるせぇ。」


「なぁ、何であんなチビに従ってんだよ。あんたならあんなチビどうとでも出来るだろ。」


「・・・・何だ、命乞いか?悪ぃが応えられねぇぞ。」


「い、いや。そうじゃねんだけどよ。・・・・俺この後どうなんだ?」


「あーーーー。・・・アウルが言うには奴隷だそうだが。まぁ、観念しろよ。」


「はぁーー。だよな。あぁ、いいんだ、別にそれがどうって訳じゃないんだ。ただどうなんのかな、って気になってよ。今までやってきた事のツケを返す時が来たんだろうし。」


 オルファは苦笑いを浮かべる。


「・・・ツケね。俺も返し切れてりゃいいけどなぁ。300年じゃ足りねぇか?随分やったからな。」


「・・・あんたも何かしてたのか。」


 オルファは干し肉を置く。


「まぁ、話す程の事じゃ無いんだけどな。昔、戦争に参加してたんだよ。正直、お前等より酷い事してると思うぞ。俺は。」


「はぁ。戦争って、ここ数十年起きて無いよな。あんたなん歳なんだよ。」


「300と37歳。」


「はは。そりゃとんだ爺さんだ。」


 男の渇いた笑いが静寂な洞窟に響く。


 オルファは300年前、激動の時を思い出した。

 あらゆる国があらゆる国と争いだした、あの激動の時代。

 召喚された直後、オルファはまだ17歳で、戦争どころかケンカすらした事の無い、普通の子供だった。いや、オルファですらなかった。


 オルファのいた世界は地球と呼ばれ、故郷は日本と言う島国だった。


 高校生の時、オルファは突然この世界に召喚された。

 オルファの記憶が確かならば、登校の最中にだ。

 突然召喚されたオルファは、勇者としての力と、神から祝福[怠惰の大罪]をその身に宿した、化け物へと変わっていた。

 怠惰により、召喚された驚きも、身勝手に喚び出した者達への怒りも、何一つ感じ無かった。あるのはただ、怠いと、面倒だと、そう言った感情だけであった。


 気がつけば、偉そうな老人に名を与えられ、契約を施された。そして言われるがまま、オルファは戦争に参加した。命令があれば、向こうを殺し、あっちを殺した。砦を崩し、城を砕き、町を潰した。

 どれだけ殺したのか、どれだけ壊したのか、オルファには分からない。それでも、それが途方もない数だと言う事だけは、しっかりと理解していた。


 そして、それでも、心は何一つ感じ無かった。一つの感情を除いては。






「オルファーーーーー!!!!」


 洞窟の奥から喧しいアウルの声が響いてきた。

 オルファは溜息をつく。あの様子だと、のんびり食べている時間は無さそうだと。


「なぁ、盗賊。・・・・何であのチビに従ってるか、そう聞いたよな?」


 オルファの言葉に盗賊は頷いた。


「面白い、そう、思ったからだ。」


「随分と酔狂な事で。」


「生憎、それが一番大事なんだ。」


 オルファは洞窟から駆けてくる少女を見つめる。

 その少女の満面の笑みを見て、面倒な事になりそうだと、再び溜息をついた。

アグロ

人族 男

身長 170センチ

体重 62キロ


好きな物 女 葉巻 仲間 強者

嫌いな物 金持ち 貴族


黒い鎌の盗賊


好きな物 ボス 女 酒

嫌いな物 金持ち 貴族



◇━━━━━◇


アウル「お宝、こんだけ?がっかりだわ」


アグロ「いえ、まだありますよ。アウル様。」


アウル「それを先に言うんだわね、どこ?!」


アグロ「俺の股に黄金の━━━」


アウル「━━━━溶かして、のへ棒にしてやるんだわよ。出せ。」


アグロ「oh」


アウル「出せよ。」


アグロ「oh」





オルファ「ナニコレ。」

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