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◇怠惰な勇者と守銭奴少女の異世界お買上げ物語◇  作者: 赤金えんた
それが二人の始まりなんだわよ
1/7

金だわよ

どうも、どうも。

初めての人もそうじゃない人も、始めまして。

素人丸出し、へたっぴ作者な赤金えんたです。


少しでも、面白い作品になるように努力していきますので、誤字脱字、気になる点は突っ込んでやってください。


では、皆さんが楽しめる作品になりますように。

気合い、気合い、気合いだぁぁぁ。


・・・・ではまた!

「金、金、金だわよ。世の中は。」


 少女は赤に染まる大地で一人声を上げる。

 誰かに聞いて欲しいわけではない。

 ただそうしなければ、自分の中の何かが壊れてしまいそうだったのだ。


 少女は声を上げる。

 何度も、何度も、何度も。

 言い聞かせるように、それが正しい事であるように。


 手に握りしめたくすんだ銀貨は、鈍い赤の輝きを見せる。

 それがどれ程の価値があるのか少女は知らない。

 でもそれが、誰かを救い、誰かを殺す。

 そんな力を持っている事を少女は理解している。


 少女は握りしめたその手を高く翳した。

 空の彼方、誰もが信じる神の楽園に向けて。

 その目に紅蓮の炎を宿し、空を鋭く睨み付けた。


「その空の彼方でせいぜい笑っていろ!あたしを笑え!人を笑え!世界を笑え!その馬鹿面のまま、お前等を残らず引き摺り落としてやる!あたしは、あたしを見下ろす全てを許さないんだわ!!地の底に、海の底に、闇の底に、必ず引き摺り落としてやるんだわよ!!」


 少女は掲げたその手を、さらに強く、強く握りしめる。

 握りしめたその手から血が滴り、少女の顔に赤い雫が落ちていく。


「あたしは世界を買い占める!必ずだっ!!」








「━━━━━っ。」


「━━━━━━━━ま。」



「アウル・ゴールド様。」


 パチン。間抜けな音が、自分の鼻先で鳴るのを少女は耳にした。

 重い瞼を開け、少女は辺りを見渡す。

 冴えない男の顔が御者台から覗いている。

 くぁ~、と可愛らしい欠伸をかいた後、両手を上げ伸びをする。辺りにあったクッションを抱き上げる。軽くギュッギュッと抱き締め、気持ちを切り替え男に向き直る。

 クッションを抱き締めた事に深い意味は無い。なんとなく目覚めが良くなる気がするからやっているだけだ。


「ここは何処?目的地はこんな田舎臭い所じゃ無かったと思うんだわね?」


 少女アウルが訊ねた相手は、自分の小間使いフリンクと言う冴えない男である。

 フリンクはぼさぼさの髪をかきむしる。


 それを見たアウルは眉を潜める。

 幾度となく彼のその癖とも呼ぶべき行動を見てきた。

 よくない吉兆だ。

 少女は心の中で舌打ちをする。


「すいません。何分ここいらは道に疎くてですね。道に迷ってしまいました。」


 フリンクが苦笑いを浮かべる。


「別にいいだわよ。次の取り引きに間に合わなければ、お前の給料で補填するんだわ。当分はタダ働きを覚悟するんだわね。」


「は、はい。申し訳ございません・・・。」


 それだけ言うと、男は再び前を向き手綱を取る。

 男が前に向き直る時、その男の口の動きをアウルは見逃さなかった。


「クソガキが。」


 それは耳にはしない筈の、フリンクの小さい呟き。

 それを見た瞬間、アウルは行動を開始する。

 悟られぬよう近場にある金目の物をマジックボックスにしまい込む。嵩張る物は持っていくつもりは無い。身動きを取られれば命まで取られかねないからだ。


 恐らく盗賊がそう遠くない内に襲撃に来る。

 アウルは今までの経験から予想する。

 考えるまでもなく、フリンクが情報を売ったのだ。その上、完全に結託して根こそぎ奪うつもりなのだろう。ここまで私を生かしているのが良い証拠だ。

 私が所持しているマジックボックスは、私にしか開けられない特別製。その中には私の全財産が入っているのだ。


 まったく、子供がてらの商売は難儀する事ばかりだ。必要以上に足元見られるし、値切られるし、馬鹿な取り引きぶっかけてくる。

 騙し方も知らない、三流ばかりが寄ってくのだ。やってやれないと思う事もあるが、まぁ例外もある事だし良しとしよう。


 アウルは幌から顔を覗かせ周囲を伺う。

 馬車が林の近くに来た時を見計らい、アウルは馬車から飛び降りた。

 落下の衝撃を和らげる為、転がるように着地する。


「なぁっーーー!?」


 御者台からフリンクが声を上げる。

 アウルはその声を気にも掛けず、林に向け走り出した。


 ◇━━━━━━◇



「やってられんだわ。」


 アウルは悪態をつきながら草木を掻き分け進む。

 現在の場所は鉱山都市ドルクとメルクルナ村の間、新樹の森と呼ばれる場所だろう。

 新樹の森は約300年前、当時の勇者が最後の時を過ごした場所とされており、近隣の者達にとって神聖視されている。人がこの森に入る事はほとんどなく、草木が鬱蒼と生い茂っていた。


 森を進んでいくと、不意に野太い声が背後から響いてきた。


「クソガキィ!!出てこい!」


 アウルは息を潜め、茂みに身を預ける。


 ざっざっざつ、と複数の音が此方に向っている。

 随分と早い到着だ、とアウルは舌打ちをする。


 音の数から人数は5~6人程。

 走って逃げ切るのも現実的では無いが、このままこの場所にいても助かる可能性は低いだろう。

 なら、どうするか。


 アウルはマジックボックスに手を入れた。

 取り出したのは小さい筒状の物だ。筒の両端を魔術式が刻まれた金色の栓で蓋をしている。


 アウルは筒に魔力を込め、それを静かに放った。勿論、音のする方へ向けてだ。


 筒は放物線を描き、声の主の足先に落ちた。


「はぁ?」

 訝しげに筒を見た男は、次の瞬間に光に包まれる。


 アウルの放った筒は[白金短管筒(プラチナスパイプ)]と言う、使い捨ての魔道具である。魔法式の閃光手榴弾である。

 効果は閃光による目眩ましであるが、一定時間混乱状態に陥る魔法付加もかかっている優れものでもある。


 ただ、一発5万ギルとお高い代物でもある。日本円にして約50万円に相当する代物であるのだから、今現在、苦虫を潰すような少女の顔も仕方がないのだろう。


 男達の呻く声を聞いたアウルは、再び草木を掻き分け進む。

 してやったと笑みを浮かべ。


 しかし、その小さな後ろ姿を見つめる一つの視線がある事を、アウルはまだ気づいていなかった。


 ◇━━━━━━━◇



 そこは深い森の奥。

 人の立ち入らぬそこには、かつて勇者と呼ばれた者が最後を迎えた場所があった。

 樹齢300年のアクラントの木が聳える小さな泉、神秘的な雰囲気に包まれるそこが、勇者が最後を迎えた場所である。


 そう伝承が語り継がれていた。



 しかし、それには一つ根本的な間違いがあった。


 その間違いは場所か?嫌、違う。

 ならば年月が?嫌、違う。


 勇者は確かにここに来た。

 そして、最後を迎えたのだ。

 だが、その最後が誰にとっての最後だったのか。


 ただそれだけが、今世紀に伝わっていなかったのだ。




 ゴゴッ、と苔に覆われた地面が静かに揺れた。




 ◇━━━━━◇



「きやぁぁぁぁ!」


 それが久しぶりに聞いた人の声であった。

 男はゆっくりと目を開けた。

 しかし、その瞳は闇を見るばかりで、男の得たかった情報、声の正体は掴めなかった。


 欠伸をかこうと口を開けるが、土が口に溢れ落ちてきて、ジャリジャリとした感触が口に広がる。

 息もままならないほど息苦しく、男は呼吸をする事を手放しかけた。


 ドシャッ。

 男のすぐ近くに何か倒れる音がした。


「ったく。まったく持ってついてないんだわよ。あんたみたいな厄介者、盗賊如きが雇っているなんてね!」


 女の声だ。

 恐らくは幼い、十と少しって所だ。

 男は耳を澄ませる。


「猟犬のプライドは無いのかしらねぃ?」


 随分と挑発的な話し方だ。

 話し相手は仲間では無さそうだ。


「我ら猟犬にプライドか、面白い事を言う物だ。我らは我らの頂く者の為に在るだけよ。それに一つ勘違いをしているな、小娘。盗賊に雇われていたのでは無い。我らが盗賊を雇っているのだ。」


 声からして、成人した男だろう。

 野太い声から、ガタイのよさを連想させる。


 ドッ。


 何かが刺さる音が聞こえた。

 前方に倒れているであろう、女の近くにだ。


「ぎぃっ!クソが!」


 女が悪態をつく。


「次は脅しでは済まんぞ。小娘。さっさとマジックボックスを開けろ。持っている事は知っている。今、持っている物全てを差し出せ、そうすれば命だけは助けてやろう。」


 殺気の籠った男の声が辺りに響いた。


「・・・今持っている物全てを差し出せ?命だけは助ける?はん!ちゃんちゃら可笑しい。」


「はぁ?何を言っている。」


 男の殺気を物ともせず、女は再び悪態をつく。


「命と引き換えに、あたしのマジックボックスの全てを交換だぁ?ふざけるな、全然足りないんだわよ。欲しけりゃ金を持ってくるんだわ!紅白金貨で1千万枚っ、1千億ギル!!!」


 紅白金貨、そう聞いた男は口元を緩める。

 今だ身動きを取らないその男の知識があっていれば、その金額は度しがたい額だ。小国であれば国家予算に匹敵する金額。大国であれ到底支払える金額では無い。


 日本円にして約1兆円。途方もない額である。


 それを堂々と提示する目の前にいるはずの女に、男は興味が沸いた。

 顔が見てみたい。

 男は今だ重たい体に力を込めた。


「1千億ギルだと?何を馬鹿な事を。金狂いか?それともそんなに死にたいか。たかだか金だ、命と天秤にかけるまでも無かろう。」


 声を荒らげる男がジャリっと地面を擦る。


「くくく。そんなんだからお前は犬なんだわね。」


「何・・・?」


 カチリ、小さな金属音が女から聞こえる。


「今の際で全てを手放す者は例外なく愚か者だわ。あたしは命を惜しむし、金も手放したくない。なら、答えは決まってるんだわ。くたばれ犬野郎。」


 女が言い終わると同時に轟音が鳴り響く。

 土の隙間から青い光が差し込む。

 聞き覚えのある、懐かしい爆撃音を発したその光を、男は見つめた。


 放たれたのは火属性魔法、それも高位の火炎魔法、[蒼炎柱(ブルーフレア)]。全てを焼きつくす断罪の炎は勢いが衰える事は無い。対象を灰とかすまで。


 煌々と光る火柱を前に、女が呟く。


赤銅短管筒(カッパースパイプ)、6万ギルの特注魔道具の味はどうかしらねぇ。お前が鼻で笑った、たかだかな金で買った力だわよ。」


 火柱が静かに消えていく、後に残るのは黒く汚れた地面だけだ。


 ドスンっと、俺の上に何かが乗った。

 大した重さでは無いから、さっきの女だろう。


「やっぱり、世の中は金だわよ。」


 俺に腰掛けた女が最後にそう、小さく呟いた。

アウル・ゴールド

人族 女

身長142センチ

体重、聞くな!

スリーサイズ、聞くな!


好きな物、金。

嫌いな物、辛いもの、???。



猟犬

人族 男

身長178センチ

体重75キロ


好きな物、肉、骨、主人。

嫌いな物、猫。


フラなんとか

人族 男

身長165センチ

体重72キロ


好きな物、金、おっぱい

嫌いな物、ガキ、金持ち

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