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月初めの七瀬さん 2

ごくっ……ごくっ……。


「ぷはぁっ……五臓六腑に染み渡りはしないけど、気分は少し良くなったわ」


コップに水を注いで飲む私、少しだけだけど顔色が良くなった気がする。

気分的にも少しだけスッキリしたわ。


さて……水も飲んだし行きましょう。

あっ、その前に着替えなきゃいけない。

流石に昨日着た服のまま、2人には出会いたくないもの、と言う訳で着替えましょう。



ーーはい、服を着替えたわ。

髪も何時もの様に三つ編みポニーテールにした。


2人の様子を見に行くだけだから、服装は地味めのにしたのだけど……大丈夫よね?


「戸締まりは……うん、大丈夫」


扉に鍵を掛けてるか確認した後は、2人の部屋へと向かう。

……廊下の窓を見てみると、まだ辺りは薄暗い、太陽出てないわね。

早く起きすぎたかも知れない、と言うか私……今、何時か確認していない。


「……二日酔いでそれ所じゃなかったもの、仕方ない」


そう、あの時は本当に辛かった。

今は少しマシなのだけど、二日酔いの頭痛の痛さは経験していない人には分からない辛さがあるの。


……ほんと、改めて思うけど、お酒は程々にしないとダメね。


とことこと廊下を歩く、今思ったけど……とても静かね。

まっ、ここは私達の部屋がある階だし、騒ぐのはマナー違反、静かなのは当たり前ね。

それに、今は朝早いもの。


「……まずは、胡桃の部屋から行こ」


そんな事を思いながら行動を口にする。

長門の部屋からでも良いのだけど、長門の部屋は最上階、別に先に行っても構わないのだけど、胡桃の部屋は私の部屋の近くにあるから、そこに行く。


そう決意して、歩く速さを速める私、速いところ行ってあげて安全を確認しないと……今行くからね、胡桃。



心配で胸が張り裂けそうになったので、途中から小走りになってしまった。

でもそのお陰で、早く胡桃の部屋の前に辿り着いたわ。

メガネをくいっと少しだけ上に持ち上げて深呼吸する。


あぁ……こんな朝早くから女性の部屋の前にいる。

なんだか分からないけど、とってもいけない気分になっちゃうわね、ふふふふ……。


「じゃ、まずはピンポンをならしましょう」


扉近くにあるインターホンを指差して、ボタンをプッシュ。

きっと中では、ピンポーンと鳴ってる筈、そして玄関モニターの画面に私が映ってる筈。


胡桃が起きたのなら、直ぐにモニターを確認して、直ぐに扉を開けてくれる。

きっとそうなるわ……だって、胡桃は真面目な女性だもの。


朝はきちんと起きて、身だしなみもきちんと出来る女性……まさに私好みっ!

あっ、勿論だらしない女性も好きよ? 朝起きて「あぁ……うぅ……」って呻いちゃう女性がいたら速攻で抱き締めるわ。


おっと……つい興奮してしまった。

今のでメガネが少しズレた、直さなきゃ……。


メガネを掛け直しながら扉を見る私、この間に胡桃は扉を開けてくれる。

そう思ったのだけど、私の思惑は外れ扉は開かない。


「眠たくて動きが鈍くなってるのかしら……」


胡桃も人間だもの、朝は弱くて当たり前、むしろ鈍い動きを見せる胡桃をこの目で確かめてみたいくらいだわ!


「あぁぁっ、やっべぇ興奮して来たぁぁ……おっと、いけない、口調が……けふんけふんっ」


こっ興奮しすぎて、粗暴な口調になっちゃったわ。

私、興奮するとこうなっちゃうから気を付けないとダメね。


…………と、自己嫌悪してるのだけど、一行に扉が開かないわね。

いつもの胡桃なら、直ぐに「はぁい、誰ですか?」と言って返事をしてくれるのだけど……その様子は全く無い。


こっこれは……これはもしかしたら!


「部屋の中で何かが起きたのかしら……」


そんな心配が頭を過る。

そして、冷や汗が私の頬を伝う。


……昨日はお酒を呑んだもの、なにが起きても不思議ではない。

胡桃はお酒を呑んだのか知らないのだけど、返事が無いと言う事は、あの時胡桃もお酒を呑んでいて、今……二日酔いが原因で返事が出来ない状況に陥ってる。


そう考えるしかないわね……。


「と言う事は二日酔いの胡桃が見られるチャンス……」


そう、普段は真面目な胡桃が二日酔いで弱ってる姿が……みっ見られる。


きっきっと、服をはだけさせて「ぁぁぁぁっ、ちゅらいれしゅぅぅ」なんて言って呻いてるのよっ、くっはぁぁぁっ、昂るわぁぁぁっ。


…………って! なに考えてるの私っ! 不謹慎よ、弱った人を想像して昂るなんてっ、恥を知りなさいっ。


でも、見たい! 本能には逆らえないのよ! じゃなくて……えと、その、あの……そう!


「心配だから扉を開けないとダメね」


私は、顔をペチペチと叩いて気合いをいれる。

二日酔いで酷い事になってるのなら見てあげないといけないもの。


いわばこれは看病、やましい事なんて何一つない医療行為、誰がなんと言おうと医療行為の何物でもない。


だから今からする私の行為も仕方のない事、きっと医療行為の名の元に許される筈よ。


持論を思い浮かべながら真剣な顔付きで、ポケットの中に手をいれる。

そこには固い物があった、これは、ある日長門に「何か大変な事が起きたら困るから」と言って作って私にくれた物が入っている。


それは……。


「マスターキー……これで扉を開ける」


そう、このビルの全ての部屋の扉を開けられる鍵、私が長門に頼んで作って貰ったものよ。

実は私、これを毎日持ち歩いてるの。


お陰で、楽に長門や胡桃、恵の部屋に勝手に……ごほんごほんっ、自由に入る事が出来る。

これも、皆が心配だから故の行動……決してあわよくば風呂上がりの姿を見たいからの行動じゃない。

そこの所は勘違いしないでね?


「よしっ、開いた」


ガチャンっーー

鍵を回して扉を解錠する。

ガチャリっーー

扉を開けていざ玄関に向かう、そしたら目に写ったのは2人分の靴……。


「……え?」


それを見て、私は硬直した。

そして変な汗をかき始める。

え、いや……ちょっ、ちょっと待って、この靴……1つは胡桃ので……もっもう1つのは、なっ長門のよね?


私、そう言うのはしっかり見てるから間違える筈がない。

これは間違いなく、胡桃と長門の靴よ。


「なっなんで長門の靴がここに……はっ!」


いや、まさか……あっありえない! だって胡桃は真面目な女性だ。

そんな事する訳がない!


玄関で焦りと戸惑いを隠せない私は頭を押さえる。

とっ取り合えず、なっ中に入りましょうか……リビングに行けばハッキリする。


汗を拭いながら靴を脱ぎ、揃える。

そして沸き上がる、ある考えからか、更なる焦りが生まれ、呼吸が荒くなる。


はぁ……はぁ……。

はぁ……はぁ……。

かっ考えすぎよ、そう、これは私の考えすぎ。

胡桃が、まさか……すっするわけない。

真面目な上に純情な娘……まさかね?


色々な思いが脳内をめぐるなか、ゆっくりゆっくり確実にリビングへと向かう扉へと歩いて行く。


ぎしっ、ぎしっ……。

廊下を歩く度に鳴る音、その感覚が徐々にではあるのだけど狭まっていく。

きっと、無意識に早歩きになってるのね。


……そのせいか、リビングの扉の前にやって来た。


「すぅ……はぁ……」


また深呼吸をして、息をのみ、目を見開いて勢い良く扉を開ける。


さぁ……真実はどうなのかしら? 扉の先には何があるのっ!


……そこに見えたのは、綺麗にされた部屋の奥にある大きいベットで、2人仲良く眠りについてる光景だった。


そのベットに寝てるのは勿論、胡桃と長門……。

あぁ、私の考えは当たっていた。


「胡桃は長門をお持ち帰りした、そして一晩よろしくしたの……ね」


その確たる事実が私の目に焼き付いていくのであった……。

不法侵入ダメ絶対。

そして、変な勘違いダメ絶対。

皆さんも気を付けて下さいね。


今回も読んでいただきありがとうございます!

次回の投稿日は明日ですよー。

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