きたる金髪、荒ぶる私 5
「ごめんなさい!」
「ごめんなさい!」
休憩時間の休憩室、頭を下げあう私と恵さん、原因は私の嫉妬です、その性で恵さんを怖がらせてしまいました。
「よしっ、お互い謝ったんだからこの話はもうするな」
と、反省してる時でした。
長門さんが私と恵さんの間に入って笑顔を見せます。
「長門の言う通り、もう謝っちゃダメ」
「長門さん、七瀬さん」
七瀬さんは椅子に静かに座ってました、その静かな言葉は私の表情を笑顔にしてくれました。
でも恵さんの表情は沈んだままです、そうとう気にやんでるみたいです。
「あの、恵さん?」
「あっあたしってさ、思った事は直ぐ言っちゃって……ダメだよね」
あっあれぇ? 泣いてる? まだ泣いてるんですね、こっこれも私の威圧のせいですよね。
あっ長門さんが近付いてきました。
「恵、笑え」
むにぃっと頬を軽くつまんで無理矢理笑顔を作ります、なっ長門さん何をしてるんですか。
「てんちょ、ひたひ……」
「学生がそんな顔したらダメだ、反省したら切り替えて直ぐ笑え、引きずるな」
ちょっぴり涙を流している恵に構わず、むにむに引っ張ったり押し付けたりする長門さん……なんか良い事言ってます。
「そっそうですよっ、さっきの事はもう怒ってません!」
これは本当です、でっでも恵さんの胸には嫉妬したままなんですけど。
と、そんな事は今はいいんです! ここは長門さんだけに任せてはダメです、原因を作ったの私ですから私も元気つけます!
「ですから笑って下さい、綺麗な顔が台無しですよ?」
「ひゃっ、ひれいっ!?」
「はっはっはっ、少女漫画のイケメンが言う台詞を言ったな」
恵さん少し黙ってて下さい、あと七瀬さん? なんで机にうつ伏せになって悶絶してるんですか? 何やってるんですか!
「もう、こんな時に何可笑しな事言ってるんですか」
「こんな時だからだ、私は雰囲気が堅苦しくなれば空気読まずに冗談をぶちこむ、そんな女だ」
「場合によっては迷惑な人ですね……」
陽気に「はっはっはっ」って笑った長門さんは恵さんの頬から手を離し次は、ぽむっ……と頭に手を置きました。
「それで相手をキレさせた事もしばしばあるぞ」
「なに胸はって言ってるんですか……そんなので誇っちゃダメですよ」
「はっはっはっ、胡桃は手厳しいなっ」
どこまでも陽気な人、このやり取りでそう思っちゃいました、でもお陰で重苦しい空気が和らいだ気がします。
「恵さん、何度も言う様ですが私はもう大丈夫です、さっきの事は水に流しました!」
「……ほんと?」
うるうるした目でこっちを見てきます、あっ……ちょっと可愛いですね。
「本当です、でももう胸については触れないで下さいね?」
「うっ……わっわかった」
伏せめで喋る恵さん、まだ声に元気がありません、笑顔が素敵な娘なんですから笑って欲しいですね。
「じゃ、仲直りの印に今度私とお買い物に行ってくれますか?」
「…………え?」
「長門さんとも行ったんですけどまだこの辺知らなくて……ですので、教えてくれるとありがたいです」
東京は広いですからね……1回歩いただけじゃ分かりませんよ。
ですので覚えるのもかねて恵さんに案内してもらいます、次はこの街を見てみたいですね。
「だったら私も着いていこう、長門の時は着いていけなかったからな」
「私も行く」
長門さん、七瀬さんもそう言います。
すると、恵さんは私を見てきました、あれ? 余計に目がうるうるしてないですか?
「わっ……わがった……案内ずる」
あら……また泣いちゃいましたね、仕方ありませんね。
ふぅ……、かるーくため息を着いて恵さんに近づきます、そのまま私は優しく抱きつきました。
「むっ……ハグとは中々やるな」
「きっキマシ? キマシ?」
長門さんと七瀬さんが訳が分からない事を口走ってますね。
恵さんは驚いた様子で私を見てきます、近くで見るとより可愛いですね、いけない物に目覚めてしまいそうです。
とっと言うか恵さんの胸、大きくて柔らかい……これはあれです、触れたら怒りすら沸いてこない包容力のあるおっぱいです。
っ、なっ何を考えてるんですか私は!
「くっ胡桃……さん?」
あっ、困惑した顔になりましたね、直ぐに声を掛けなければダメですね。
「恵さん、これから仲良くしましょう」
優しく耳元に呟きます、にょっぴり恥ずかしいですが、これで恵さんの沈んだ気持ちが吹っ飛ぶ事間違いないです。
「えっちょっ……えぇっ!」
ほらっ、吹っ飛んだでしょう? これをやられると考えてる事が吹き飛びますからね……七瀬さんにやられて学びました。
「ぁ……ぅ……ぇぇぇ」
あら? 顔が真っ赤ですね……私とおんなじ反応をとってます。
誰だってそんな反応取りますよね、ではそろそろ離しましょうか……ずっと抱き締めてる訳にもいきませんしね。
「……ぁ」
と、私が離れると恵さんは寂しげな表情をしました。
そして、熱のこもった視線で私を見て……「うん……こっちこそ、よろしく」そう言ってくれました。
「じゃぁ、もう泣かないで下さい、笑顔ですよっ笑顔っ」
にぃっと笑顔を見せてぽむっと恵さんの頭に手を乗せます、そしたら恵さんの顔がリンゴの様に真っ赤になっり、暫くしてから微かではありますが笑顔になってくれました。
「仲直りはしたようだな、ふぅ……初っぱなから仲違いしたらどうしようかと思ったぞ」
「そうね……長門の言う通り、でもそうはならなかった、それにしても逸材ね、あれを素でやってるとしたら素質ありだわ」
少しピリピリした雰囲気も今は暖かな物になりました、まだ顔の赤い恵さんは私を見て「あははは……」小声ではありますが声に出して笑いました。
あぁ良かったです、無事恵さんを笑顔に出来ました、今後の恵さんとの付き合い、どうやら上手くいけそうです。
まぁ胸の事はまだ根に持ってるんですが、そこはあれです……おいおい考えていきましょう。
「胡桃さん」
「はい、なんですか?」
「しっ仕事終わったら、どこ行きたいか教えて、あたし……計画経てるから」
「あぁはい、分かりました」
若干照れながら喋る恵さん、その様子を見て微笑む長門さんと顔に手を当てて震える七瀬さん……えと、眼鏡ずれてますよ?
「さて、一件落着と言う事で……そろそろ休憩は終わりだ、午後からも頑張ろう」
「「はいっ」」
長門かんの気合いのこもった言葉に返事する、ふふふ……さて、言われた通り頑張りましょう!
この後私達は、騒がしくお仕事をしました、それはそれはいつも通りの仕事風景……とはちょっと違って、長門さんが男性客にちょっかいをかけたら恵さんがチョップして静止すると言う光景が見れました。
なるほど、長門さんはそうやって止めるんですね……次やったら私も真似してみましょう。
と、そんな感じで仕事が続きました。
恵さんは活発で頑張り屋でとっても明るい女子高生……まぁ、ツンデレではなかったので七瀬さんが言った事に疑問を抱いてるんですけど……そこはスルーしましょうか。
「恵さんは恵さんですからね」
「ん、胡桃さん、なんか言った?」
「いいえ、何も言ってないですよー」
「そう?」
だって、胸が大きくともこんなに良い娘なんです、細かい事は言ってはいけません! これからも仲良くお付き合いして行きますよっ、と言う事で改めてよろしくお願いしますねっ、恵さん!
と言うわけで仲直りしました。
今回も読んで頂きありがとうございます、次の話の投稿日は6月24日0時です。




