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もし、乙女ゲームの世界にヒロイン転生してしまったら

ある日、通り過ぎるイケメン君を見て、私は気付いた。



あ、ここは乙女ゲームの世界だ。



親の都合で転校してきたヒロインが悩み多き青少年たちとキャッキャウフフの恋愛騒動を巻き起こす、王道の乙女ゲームだ。


もしかして、あれもゲーム通り?


今さっき通り過ぎた木下鎌足が現実ではあり得ない青い髪だったから、きっとそうなんだろう。


あ~あ、メンドーだな~。


転校初日にしてテンションが一気にダダ下がり。

なんでこんな世界に生まれ変わっちゃったんだろう。

orz




◆◇



今、私は学校の階段の踊り場にいる。

そして生徒会長を階段から突き落として逃げるところ。勿論、背中を押したから犯人だと気付かれる筈もない。


何があったかって?


何もない。

ただ、初代(・・)の羽柴道長の性格は俺様何様仕事しない様なだけ。

だから、こうやって性格を変えてあげなきゃいけない。

顔や外見が好みじゃなかったからってわけじゃないよ(遠い目)。


私が転生した乙女ゲームは気に入った外見と性格になるまで攻略対象を殺していく、殺人系乙女ゲーム『change!~あなたを特別指名~』。


このゲームの攻略対象キャラは名前と役職だけ引き継いで、記憶も性格も引き継がない。


そして、気に入った攻略対象キャラになったら、そこからイベントを回収していくのだ。


ゲームで重要なのはキャラチェンジの際に犯行を目撃されていないこと。被害者に気付かれていたらイベントの回収はできない。


他に目撃者がいても、上手くいかなくなるけど、被害者に気付かれたらまず無理。

ヒロインの良心が痛むからかもしれない。


黒髪俺様羽柴が銀髪紳士羽柴になるといいな~とは思うけど、これはランダムだから、出るまで殺し続けないといけない。


これ以上、しないけどね。


羽柴は初代黒髪が一番最低のクズだから、このゲームを知っている私が何とかしないといけない。

誰かが不幸になる未来なら、それを知っているなら、変えないのは人としてどうかと思う。


え?

話せばわかってくれたんじゃないかって?!


それは初代羽柴を知らないから言えること。

奴はこれから全女生徒を自分のハーレムに入るように強制する、ギャルゲーの悪役みたいな真似をするクズなのだ。




イケメンだからって、何でも許されていいわけあるか!!




自分の欲望を満たしたいが為に仄かな想いや憧れ、初恋を踏み潰す所業を許すわけにはいかない。


女の子の敵ってだけじゃなくて、彼氏もNTRて泣き寝入りしたりして、いくつものカップルが別れるのだ。泣き寝入りしなかった彼氏もいたけど、学校を去る羽目に追いやられる。


なんであんな悲惨な結末があるんだろう、と思った。


たかが乙女ゲームだよ?

ゲームの中でイケメンにチヤホヤされる恋愛を楽しむのが、これじゃ、重すぎるよ!


何はともあれ、ゲームの世界だからといって、殺人を正当化できない私はゲーム内で最低最悪なクズの排除だけをしておく。

もう二度としたくない。

いくらゲームの世界でも、今はモニター越しじゃなくて現実だから。



私の名前?

私のことは少女Aってことで。




◇◆




翌日、何事もなかったか振りをして学校に向かう。


本当は休みたかった。


あの後、羽柴の死亡が養護教諭に確認されていたが、念の為、救急車で病院に運ばれて行った。


警察沙汰にはならなかったけど、これがゲームと違って羽柴がキャラチェンジしなかったら、私はただの電波な妄想に駆られた人殺しだ。


でも、学校では羽柴が死んだという話題もなく、平穏な時間が流れている。



もしかしたら、ゲーム通りキャラチェンジしたのだろうか?



放課後、思い切って生徒会室まで行ってみることにした。


決心はしても、生徒会室付近でウロウロしているばかりで、肝心の羽柴の姿を求めて乗り込む勇気までは出ない。


ああ、私ってチキン。


私が殺したのに、その結果や責任が持てないなんて・・・。


それに生徒会役員も誰も通らない。


なんで今日に限って通らないの?

あ、ここには昨日転校してきたばかりだった。

校内はゲームで知っていたから迷わなくて忘れてた・・・。


前の学校は生徒会が忙しく活動していたからここもそうだと思っていたけど、この学校の生徒会は仕事ないの?

名ばかり生徒会なの?


生徒会室のドアが開かれ、頭の中が疑問符だらけの私の目の前に探し人である羽柴道長が現れた。


「ぎ、」

「お前はっ!」


銀髪だ~!

銀髪紳士羽柴だ!

良かった、ゲーム通りだった!

人殺しだけど無駄な人殺しをせずにすんだ~!


ん?


私は昨日、転校して来たばかりだから、羽柴が知っているわけない、よね?

あれ?

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