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チェンジ 〜From heaven Till hell〜  作者: 井上陽介
第一部
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第4話

 灰色の階段を登り二階まで上がる。速人は仁科と共に教室に向かっていた。周りにはたくさんの人間が同じように階段を登っている。話し声はあまりしない。笑い声は皆無だ。日本人はこういう新しい場所で知らない人間の群れになった場合、目の前の事に集中する。つまり〝教室に向かう〟のだ。速人も流石に知り合ったばかりの仁科と大笑いしながら歩いてはいない。


 すぐにA-二〇五に着いた。五十個ほどの机と椅子が整然とならべられていて、一番前の壁にはお決まりの黒板が設置されている。部屋の外の壁に一枚の貼り紙があり、部屋の一覧図があった。席ごとに氏名が書かれており、速人は自分の席を確認した。よし、窓際だ。窓際族という言葉があるらしいが、速人は昔から窓際が大好きだった。学生時代は常に窓際に座っていたものだ。


 とりあえず席に着く。周りも段々と席が埋まっていくようだ。入口近くをボンヤリと眺めていると速人の眼に一人の女性が入ってきた。百六十五センチくらいだろうか。女性にしては背が高めで肌は色白にはほど遠い。髪はショートカットで薄く茶色がかかっていた。そんなに美人というわけではないが、なんとなく健康美というか、可愛さがあった。スーツを着て長い靴下を履いている。速人は何となくその女性に見とれてしまった。記憶のどこかが刺激される。


 そのうちにドアが勢いよく開けられた。研修の担当員が教室に入ってきたのだ。すぐに雰囲気が引き締まる。その担当はまだ四十代だろうか。小柄だが意志の強そうな男で、はっきりとした声で話し始めた。


「皆さん、はじめまして。これから皆さんの研修を担当します。逸見と言います。よろしく」


 型どおりの挨拶。これからの研修の日程、内容などが書かれた書類が前列から後ろに回される。書類を貰い、一枚取って後ろの人間に手渡す。学生の頃に戻ったような錯覚を感じさせる。さしずめこの逸見という教官は担任の先生と言ったところか。彼の自己紹介が話さる。神奈川、埼玉と勤務し営業部長まで出世して、この研修所に勤務になったそうだ。話し方が段々と変わってきた。最初の頃はいかにもサラリーマンのきちんとした話し方だったが、結局のところ、彼の前に座っているのは彼よりもずっと若く経験もない青二才どもなのだ。それにどちらかと言うと体育系なのかもしれない。どんどんとくだけた話し方に変わっていった。究極の体育系である軍隊組織に所属していた速人にとってはお馴染みの感じだった。


「さて、みんな当然、自分の会社がどんなことをやっているか知ってるよね?」と全員に向けて質問する。さあ、出でよ、勇者と速人は心で思った。こういう時に挙手して点数稼ぎする輩とはあまり懇意にはなりたくない。幸いにも勇者は今は現れなかった。


 もちろん知っていて当然の質問なので逸見がすぐに話を続ける。


「知っての通り我が社は、新しい企業です。まだ創業して二十年しか経っていません。しかし今では金融、保険、セキュリティなどあらゆる部門に進出してます。これからの高齢化社会に向けて介護や老人ホームなどの事業も展開しつつあります。そこで、みんなに質問。これからどのような商品、サービスが必要とされるか? どのような事業が会社を発展させるか? みんなの意見を聞かせて欲しい」


 みんな一様に難しい顔をして考えはじめる。考えているのか指されないようにと呪文を心中で唱えているのか微妙なところではあるが。


 すると一人の勇者が現れた。静かに手を挙げたその男は濃い眉毛をした大柄な男で、逸見に促されると話し始めた。


「やはりこれからの高齢化社会を考えると介護などの事業が一番発展していくと思います」


 おいおい、それはさっきこの人が言ってたことじゃないかと速人はツッコミをいれる。もちろん心の中だけであったが。


 ただそれが起爆剤になったらしく、その後、続々と発言が続いた。


「お金が価値の物差しである以上、金融部門の強化が一番利益を産むと思います」


「子供の数が減ってきていますが、逆に一人の子供にたくさんのお金を使う家庭が増えていることから教育などの事業が成長する可能性は高いのではないでしょうか」


 色々な意見が飛び交うようになる。


 多種多様な意見の中で一つだけ速人の興味を誘うものがあった。


「クラブ戦役以降、銃器の密輸、密売などが飛躍的に増加しました。これは銃器の扱いに長けた帰還兵たちがなかなか社会復帰できないことと関連していると思います。彼らには色々なつながりがあるようですし。実際、犯罪に銃が使われることが以前と比べても何倍も増えているとの統計もあります。このことからセキュリティ部門の強化、それの一環として帰還兵をその部門で雇用することが彼らの社会復帰の助けとなり、会社の発展にもつながってくると思います」


 この意見を述べた女性の名前をさっき貰った書類の中にある席の一覧表、外の壁に貼ってあるのと同じやつ、を見て調べる。竹本久美子。速人が先ほど、見とれてしまったショートカットの女性の前の席に座っている。小柄な美人。少し気が強そうだが知性に溢れた顔つきをしていた。


 正直、速人には耳の痛い意見だった。確かにそうなのだ。速人の昔の仲間にも思うように社会復帰できないやつがたくさんいる。そして絶望しかかった時に、彼らは自分の持っているものに気付くのだ。そして戦時のツテを使い銃を手に入れる。ある者はそれを使い犯罪をおかし、ある者はそれを売ることで犯罪をおかす。戦う技術を持ち、銃のメンテナンスや目利きはお手の物なので既存の密売組織にスカウトされる者も多い。実際、速人自身も銃を手に入れる気になれば、電話一本で手に入れることは可能だった。別に欲しくはないが。しかし、その一部の人間のせいで帰還兵全体が一括りにアウトロー視されることには抵抗があった。それ以上に普通に生活してる人間だって存在している。俺だってちゃんと就職できた、とそこまで考えてあることに気付く。これで俺がセキュリティ部門とやらに配属されたら彼女の意見そのままじゃないか。何にせよ、会社の発展だけでなく帰還兵の社会復帰にまで言及したその意見は速人の心に残った。


「うん、素晴らしい意見だ。実際、我が社でも採用試験において一定数を帰還兵に割り当てていることは知ってるよね。まあ、この問題は難しい側面をたくさん持っているんだけど」


 ほとんどの意見は聞き流していた逸見も、この意見には流石にコメントした。その後も幾つかの発言があったが、ほとんどがどこかで聞いたことのあるようなもので、自然と場は収束していく。


「そろそろ出尽くしたかな。色々意見が聞けてよかったよ。とりあえず今日は研修はここまで。食事や洗濯などはさっき渡した書類に全部書いてあるから、そこを読んで自分でやってください。それでは各自、ちゃんと自覚を持って行動するように」


 逸見の言葉で皆の緊張が解け、ざわざわと動き出す。中には早速、逸見に近付き色々と話しかけているやつもいた。速人はチラリと後ろの方の席を見て同室の男を捜した。仁科はまだ席に座っていて、書類を見ている。速人は声を掛け一緒に部屋に帰る事にした。


 部屋まで戻る間、歩きながらさっきの意見を思い出す。俺たちが地獄から帰ってきてからこの国では銃による犯罪が増えました、か。確かに事実だったが、果たしてそれだけなのだろうか。速人は漠然とだが思った。あのカニが現れたせいで、今まで想像や物語の中でしか存在しなかった怪物が現実にいるかもしれないということにみんな気付いたのだ。あの、いつも部屋にこもってる隣の青白い男は、もしかして吸血鬼かもしれないと思ったら銃の一つも欲しくなるだろう。そういう意味であのカニは世界を変えたのかもしれない。



 夕食の時間になって、速人と仁科は食堂に向かうことにした。研修のガイドには午後六時から八時までなら自由に食事ができるらしい。ちなみに食堂があるのは女性専用の第三棟の隣にある建物の二階部分にあたる場所にある。速人らは自分達の棟の二階の出口から外に出て大きな連絡通路を通って、そこへ向かう。かなり広いその通路には同じように食事に向かう者や、歓談している数人のグループで溢れていた。


 入口へ辿り着くと二本の行列ができているのに気付く。AコースとBコース。毎回、食事には二つのコースがありそれを選ぶ形になっていた。さて、どうしたものかと速人はメニューを見るが、結局は行列の少ない方を選ぶ。今日の場合はそれはAコースだった。


 食事を取りながらあたりを見回すと、皆、それなりにリラックスしてきたようであちらこちらで笑い声が聞こえていた。速人ら二人も食べながら適当に話をしていた。


「ここに来る前は、俺、電話の営業の仕事してたんですよ。まあろくなことやってなかったんですが。よくあるやつ。おたくのインターネット回線が安くなりますよとか」


 仁科が自分の前職についての話をする。


「それは大変そうだ。俺なんか何も言わずに切るもん」


「そうなんですよ。精神的にもかなり辛い仕事でした。まあ、それですぐに転職考えて、ここを受けたら受かっちゃったって感じでして。特にどこでもよかったんですけどね、あそこから抜け出せれば」


「まあ、俺も同じようなものさ。友達に誘われて受けてみただけだからね。運良く受かったけど。だから、さっきの研修の質問、あれはやばかったわ。俺、聞かれてたら適当にごまかすしかなかったもの」


「そうですね。俺も自分にまわってきた時のために適当なこと考えてました」


 会話はいわゆる微妙な無言状態もなく淀みなく進んで、食事が終わる頃には速人は仁科がそんなに暑苦しい人間ではないとわかって安心していた。やる気がないわけではないが、こういう場所でやる気を前面に押し出す様な人間は、悪いとは思わないが、苦手だった。もちろん自分の悪い意味での適当さは理解した上でだが。


 食事を終えて、一度、部屋に帰り浴室へ向かう。大浴場は食堂のある棟の地下一階の部分にあった。


 ちなみにその棟の一階部分には売店などがあり、広間にはソファーなどが置かれていて研修生の歓談の場となっているようだった。そこもたくさんの人間で溢れていた。


 二人ははすぐに脱衣所に入り、服を脱いだ。


 速人が服を脱ぐのを見て仁科は驚いたようだった。服を着ている時は隠されているが、速人はかなりいい身体をしているからである。いわゆるボディビルダーのように筋肉ムキムキではなく、腹筋も完璧に割れているといった類いではない。多少の贅肉が付いているが、それでも鍛えた体特有の強さを感じさせるものがあった。それと左の上腕部に縦十センチ、横幅が一センチほどの大きな切り傷が、前から見て斜めに横切っていた。その少し上に何やら文字と絵が見える。何かのタトゥー。何かの絵。あまりジロジロみるのも趣味を疑われると思ったのか、仁科は凝視することはなかった。


 仁科の視線に気付いた速人が何気なく声をかけた。


「ああ、これ? やっぱ気になるよね」


 そう言って、どこから持ってきたのか肌色のテーピングを取り出し、それを腕に巻き付ける。傷ではなくタトゥーの文字と絵を隠すように巻いていく。


「これでよし」と呟き、スタスタと浴室へ歩いて行った。


 仁科は速人の後に続き浴室へ入った。彼は気になっている様子だったが、何も質問はしなかった。速人はそれを好ましく思った。速人はあまり軍にいたことは話したくない性質だ。これ見よがしに〝歴戦の勇士〟を気取るのは大嫌いだ。


 大浴場という名にふさわしく風呂はホテル並みに広く立派だった。仁科はゆっくり風呂につかっていた。身体を洗うのもゆっくりと時間掛けるタイプのようである。対照的に速人は、職業病と言うべきか、いわゆるカラスの行水で、速人は仁科を残し早々と浴室から出た。


 風呂でさっぱりした後、速人はすぐ近くにある売店に入って買い物をした。脱衣所を出たところで速人は売店で買ってきた缶ビールとコーラを持ち、仁科を待つ。


 やがてタオルを首に巻いた仁科の姿が見えた。お待たせしました、と言いながら速人に向かって近付いてくる。缶ビールを手首だけを使い仁科に向かって投げた。


「多分、これでしょ」


 コーラを開けながら速人が微笑しながら言う。


「八尋さん、飲まないんですか? 持ってるのコーラじゃないですか」


「俺はいいんだよ、これで。君は、まあ、顔見ればビールしかないなと」


「何ですか、それ。まあ、当たりですけどね。いただきます」


 実際、ビールが欲しかった仁科も同じように笑って言う。この二人が同室になるというささやかな偶然はお互いにとって幸運のようだった。


 自室に辿り着くと、二人とも色々と話し始めた。二人ともスポーツが好きで、特に仁科はサッカーについてはかなりの知識があった。ちなみに浦和レッズのファン。速人は野球が好きでタイガースファン。NBAについて熱く語りあい、いかにクリス・マリンのスリーポイントシュートが美しいかで意気投合した。


 気付けば夜も更け、十時過ぎになろうとしていた。一応、就寝時間として廊下の電気が消されるのは午後十時三十分だと研修ガイドにはあったのだが、二人とも宵っ張りなうえ、次の日の朝、遅刻しなければいいんだろという信念を、そんなものが信念と言っていいのであればだが、同じように持っていた。そのため当然、まだまだ寝る気にはならず新しくできた友人との会話を楽しむ気でいたのである。


 馬が合うとはこういうことなのだろう。話はかなり盛り上がっていたので、ドアをノックする音になかなか二人とも気付かなかったが、コンコンという音の断片を速人の耳が拾った。


 ドアを見ると、ガラスになっている部分に福永達也の顔が見えた。後ろにもう一人いるようなのでニコと一緒なのだろうと見当をつける。


「開いてるから入れよ」


 速人は言いながら、手招きする。


 達也は「よう、速人」と言いながら部屋に入る。後ろから相変わらずの無表情でニコも続いた。


 達也はすぐに仁科に向けて会釈し、「どうも」と軽く挨拶する。ニコは仁科を見て軽く頷いた。仁科はニコに対しては反射的に頭を下げたように見えた。達也の方に関しては昼間に速人と話していた男だと気が付いたようである。


「やっぱり知ってる人じゃないですか、いきなりメリットのない嘘はやめましょうよ」


 速人に向かって笑いながら言った。


 速人は笑っただけでそれには特に何も答えなかった。


 速人が二人を仁科に紹介すると、もともと社交的でコミュニケーション能力抜群の達也と、同じような仁科はすぐに打ち解けたようである。ニコは静かに速人の側に座った。


「速人と一緒なんて、お気の毒。こいつ寝る前にサンバを踊る習慣があるから、気をつけてね」


 いきなり根も葉もないことを達也は言い出した。


「そんなこと言っていいのか? そう言えば仁科君、僕らのクラスには女性がたくさんいたよね。結構、可愛い子もいたみたいだったけど」


「そういう話ですか。それなら俺、さらに盛り上がっちゃいますよ。うちのクラス、正直、当たりですよ。レベル高いっす」


 前に乗り出すように仁科が答える。


「そうなのか?」とニコも興味があるようで口を開いた。


「はい、間違いないです」


 仁科が生真面目にニコに対して背筋を伸ばして返事をする。達也と速人はその様子を見て笑いがこみ上げてくるのを感じていた。


「仁科君、そんなにニコに怯えなくていいよ。こいつそんなに怖いやつじゃないから」


 速人が助け船を出すように言った。


「まあ、無理もないけどね。この見た目じゃ。大体、その坊主がよくないんじゃない?」


 達也もニコの頭を見ながら言う。ニコは何か言い返そうとしたが、面倒だと思ったのかそのまま黙っていた。


 仁科は速人と達也の言葉で幾分かはホッとしたようである。


「でも実際、うちのクラスは美人多そうですよ」


「仁科さんと速人さん、何か飲みたいものでもありますか?」


 達也がそれを聞いて、殊更ふざけた様子で言った。


「ジントニックと、ピザかなんかつまみに欲しいかも。仁科君も何か欲しいものあったら遠慮せず言った方が良いよ。この人、俺に女の子を紹介するパイプになれなんて言うんだぜ。自分のクラスにだって女の子いるだろうに。と言うわけで、それをちらつかせれば思いのままよ」


「そういうことですか。福永さん、自分のとこに可愛い子とかいないんですか?」


「いやさ、いるにはいるよ。女は。なんと男が四十三人しかいなくて、女が五人もいるんだ。凄いでしょ。しかもお世辞にも……以下省略でいいですかね。それより、俺には敬語いらないよ」


 どうやら達也は本当に外れくじを引いたらしいが、速人は特に同情しなかった。そうならそうで達也は色々企む人間だとわかっていたからである。


「でも皆さん、全然タメ語じゃないですか。なんか微妙な感じになりそうで。気にしない方がいいですかね?」


「だったら速人にもタメ語にしちゃえばいいんだよ。そんなん、こいつ気にしないから」


「俺は何だっていいよ。適当にやっておくれ。特に気にしない」


 手を振りながら答える速人。


「じゃあ、それは適当にと言うことで。ちょっと待ってくださいね……うちのクラスは女が三十五人で男が十二人ですね。なんだ、この差は。やっぱり配属先とか、ある程度決まってるんですかね」


 席順の書かれた紙を見て、律儀に人数を数えたらしく正確な数字を仁科が出した。これが日頃の行いの差というものなのか、あまりに違う男女比率が浮き彫りになる。


「ああ、善と悪の区別はもうすでに無くなったか」


 大したことない問題を、ことさら大袈裟に言う達也に思わず速人も仁科も笑い出す。ニコでさえも少しだけ口を歪めて笑った。


 その時、廊下の明かりが消えた。時計を見ると午後十一時を指している。


 速人はガイドに書かれていたことを思い出し、達也に向かって言った。


「お前ら、ヤバくない? 確か棟ごとの入口って十一時で鍵が掛かるって書いてあるぜ」


「大丈夫。それは解決済み。でも今日のところはとりあえず寝ておくか。じゃあまた明日」


 ゆっくりとドアに向かいながら達也は自分の部屋に戻った。ニコも手を挙げてそれに続く。


「面白いやつらだろ」


「でもあのニコって人って……」


「あいつはね、無愛想なだけ。いいやつだよ。確かに見た目怖いけど」


 苦笑とともに速人が言うと、仁科はまだ納得出来ない様子だったがとりあえず頷いた。


 少し経って、ふと気になった速人はベランダに出て、隣の棟を見てみる。最上階にあるので隣の棟はよく見える。見ると二人が鍵の掛かったドアではなく、そこから少しずれたところにある窓ガラスを開けて入っていくのが見えた。なるほど、ご丁寧に開けといた訳か。流石に準備のいいやつらだ。


「それじゃあ俺たちも寝ようか」


「そうですね。サンバはいいんですか?」


「おやすみ」


 はい、無視無視。なかなかこういうのもいいものだ。そう思いながら速人は眠りについた。


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