ただのゲーム
久しぶりに書きました。ありふれた内容かとは思いますが、良かったら見てください。
「ねぇ、このアプリ知ってる?」と同期のサキが、俺に自分のスマートフォンを見せてきた。
「飲み会でゲームかよ」
「別に良いでしょ? パーティーゲームみたいなもんだもん。だから見てよ」とサキは自分のスマートフォンを俺に押し付けた。その画面に映っているのはポップな字体の音なしピエロという言葉と大笑いしたピエロの顔であった。
「音なしピエロ?」
「うん! ここと違うサークルで流行ってるんだけど、ピエロを探すゲームなの!」
「なんでそう熱くなるんだよ? ピエロを探すだけだろ?」
「まあ、そうなんだけど、自分のスマホで撮った写真の中に入り込んだピエロを探すの」
「へー、なんか面白そうじゃん」
「でしょ? だから、アキラも入れようよ。面白いから」
「別にサキので良いじゃん。そうだ、皆で写真撮ってそれでやれば良くない? 皆さ〜ん、写真撮りましょ! 写真!」と飲み会参加者に呼びかけると了承の声があがり、ぞろぞろと俺の座っているテーブルに人が集まってきた。
「ダメなの!」とサキが叫ぶと空気が一瞬止まる。
「な、なんだよ? いきなり大声出して」と代表が桜に問いかける。
「い、いや、何でもないです! アキラのスマホで撮りましょう」と大きく両手を振った。
「え? なんで、俺の? サキのしかアプリ入ってないし、出来ないじゃん」と俺はサキに言ったが、良いから良いからと濁された。
それから、飲み会はお開きになり、二次会組と帰宅組に分かれた。
俺は、バイトさえ無ければ二次会に参加したが、朝一にバイトが待っていた為、恨みながらもおとなしく電車に揺られて帰ることにした。
車内でウトウト眠ろうと目を閉じた時に、そういえばとサキの言ってたアプリを思い出し、アプリストアで検索することにした。
音なしピエロと入力し検索を押すと無関係のアプリがズラリと並んでいたが、一件だけ同名のアプリがあった。
そのアプリをクリックすると、先ほどサキのスマホの画面で見たポップな字体とピエロの顔が乗っているだけで詳細もレビューも書かれていなかった。
取るだけ取って、面白くなかったら消せば良いかと軽い気持ちで、俺はそのアプリを取った。
しかし、そのアプリは容量が大きく最寄り駅ギリギリでようやくインストールし終えた。
早速、アプリを起動すると、ポップな字体とピエロの顔と赤く光るスタートの文字が出ていた。大音量で音楽が流れてしまい慌ててサイレントモードに切り替えた。
スタートを押すと、注意事項が書かれていた。
1、1人で写っている写真を使用しないで下さい。
2、1人でこのアプリで遊んでください。決して誰かと一緒に遊ばないで下さい
3、決して1人しかいない時に遊ばないで下さい
以上の注意事項が守れる人のみ下の次へを押して下さい。
と書かれていた。
なんだこれ? 変なのと思いながら、一応その注意事項を守っている為、赤く光る次へのアイコンを押した。
写真を選択して下さいと写真を撮るの2つのアイコンがあり、とりあえず、写真を撮るを選択したところで最寄り駅に着いた。
電車から降りて、適当に車内の写真を1枚撮った。
人数的には、十数人といったところだ。発車する際にそれに気付いた乗客に睨まれたが、気にせずに加工のアイコンを押した。
加工は30秒で終了し、スタートのアイコンを押した。
すると、先ほど撮った写真が出てきた。精巧に作っているのか、写真の変化が全く分からない。スマホに目を近付けたり遠ざけたりするが、さっぱり分からず、5分ほど見ていると人を消すというアイコンが浮かび上がってきた。
続く