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エピローグ

 クロウによる衝撃的な事実(実はクロウと小梅ちゃんが年上だったという告白)から一夜明け、次の日。

 週末に遊んでしまうと休息が十分にとれず、次の日にくたびれることはよくある。いっそのこと体調が崩れてしまえば学校を休むこともできるものの、まあそう都合よくは出来ていないし、密かに皆勤賞を狙っている身としては、出来るだけその事態も避けたい。

 昨日は一日屋内プールで夏の暑さも忘れて楽しんだけれど、またいつもの毎日に戻れば、燦々と輝く太陽がじりじりと肌を焼き、露わになった部分の人肌に焦げ目をつけられる。学校には帽子の着用は禁止となっているので、この日差しの熱を、黒ではないが黒に限りなく近い茶色の俺の頭は、ちゃくちゃくと貯蓄しつつある。もういっそソーラーパネルでいいから着用を認めてくれないだろうか。何もないよりはその方がずっとましなんだけど・・・

 だらだらと流れる汗もとめどなく、ハンカチは午前中のうちにリタイアした。おかげで今はカバンからタオルを出して汗をぬぐっている状態だ。清涼スプレーの効果ももう無くなっただろう。ミントのスーッとしたあの感じは、日の元に出て五分も経たずに消え去った。きっと開発側も想定していなかったところまで、温度が上がっているに違いない。もう異常気象だ。


「あ、あの・・・」

「ん?」


 呼びかけられて振り向くと、そこには小梅ちゃんが立っていた。神鷹の白い制服は、本当にいつ見ても可愛いと思う。スカートは黒いって言うのもまたいいかな。

 おっとそうじゃない。暑さで頭が参ってるみたいだ。


「昨日ぶりだね。これから?」

「はい」

「そっか。じゃあ、一緒に行こうか」

「はい!」


 今日は、小梅ちゃんの歓迎会をする予定になっていた。


 残念ながら、やはり一日では小梅ちゃんの体質改善は出来なかった。しかし、一つ解ったことがあった。


「あ、玄生くろう君、は、その・・・日直で遅れるそうです」

「ああ、了解」


 あの後、俺は小梅ちゃんにある質問をした。それは結構些細なことだったんだけど、「小梅ちゃんはクロウのことが『嫌い』か?」ってことだ。小梅ちゃんは慌てて首を振って答えた。


「ま、まさかっ!恩人ですし、嫌いだなんてことは全くないですよ!!」


 小梅ちゃんの口から泡は出ず、それをクロウに伝えるとほっとした様子だった。まあ、確かにひどい質問だったのは百も承知だけど。しかし、その次である。


「・・・あれ?玄生君の顔が、解る気がする」

「「え?!」」


 俺とソラちゃんが同時に声を出し、同時に身を乗り出した。


「く、クロウの髪の色は?!」

「黒、ですよね」

「サングラスの形とかも解るの?!」

「星型・・・ですよね?」


 つまり、だ。小梅ちゃんの能力は「小梅ちゃんが相手に抱いている不安」じゃなくて、「見た相手が抱いている不安感」を映し出すもので、やっぱり間違いないらしい。けどそうなると、新たな問題が浮上した。

 もやだと、サングラスじゃ消えないみたいなのだ。実際俺のサングラスをかけてもらったんだけど、やっぱりクロウの赤い靄は見えてしまった。だから、また新しい方法を探さなきゃいけないんだ。


 ってことで決まったのが、ソラちゃんのニジイロレンジャー入りだ。まあ、別に入れなくてもいいんじゃないとは言ってたんだけど、本人がずっと依頼人をやってるのは気がひけるって言うんで皆が折れたわけだ。ちなみにクロウは初めの方は反対してたんだけど、夜になってソラちゃんから承諾をもらったとの連絡があった。


 自分の能力で全てが解ると舐め切ってた俺だけど、今回の件を通して、ほんと、世の中解らないことだらけなんだってことを思い知らされたよ。

 ま、そう知った今の方が、ずっと楽しいんだけどね。

この話で「甲賀小梅救出作戦」は終わりとなります。読んで下さった皆様ありがとうございました。

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