その15
クレープを買って元の場所に戻ると、ソラちゃんが走ってきた。水辺がないとはいえ、プールサイド・・・じゃないかもしれないけど、そこを走るのは危ないって。
「わあ!ありがとう!」
「礼ならクロウに言ってよ。あいつが全額出したからさ」
元々おごってもらうつもりなんてなかったし、正直俺がソラちゃんのを買って、クロウが小梅ちゃんの分を買えばいいと思ってた。でもクレープ屋で金を払う時、クロウが全額を出してきた。
「たまにはお兄さんがおごってあげよう」
「数か月の違いでお兄さん面するなよ」
そう言って財布から代金を取り出そうとしたら、今度は財布を取り上げやがった。
「おい、返せ!」
「パープルってほんと、そういうところ可愛くないよね」
可愛いとか可愛くないとかの問題じゃない。俺の中じゃおごるって行為はイケメンがやるべき行為なんだ。クロウがイケメンじゃないかどうかってところは個人の価値観の問題だから明言しないでおくけども、少なくともイケメンの俺はおごられてはいけない。
なのに、クロウが俺の財布を持って、クレープ屋から離れていく。慌てて追いかけようとするけれど、クレープは着々と出来上がっていて、今ここを離れるわけにはいかないだろう。
「おい!」
「じゃあ、クレープは任せた!」
「任せたじゃねぇ!!」
そう叫んだんだけど、あの馬鹿はそのまま人込みに紛れて消えていった。本当に躊躇わずに消えていくんだから妬ましいったらないな。
すると、後ろから声がかかった。
「はい、クレープ四つとお釣りね」
「あ、ありがとうございます」
おい、お釣りまであんじゃねぇかよ!なんで先帰りやがった!
・・・ってか、四つってどうやって持っていけばいいんだ・・・?




