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その13

「で、ここからは少し主観が強くなるんだけど・・・」


 クロウは何も言わない。ただ淡々と俺を見ている。前を向かないでも誰にもぶつからないところが凄いところだ。


「昼飯のときさ、向かい席に座っただろ?あの時凄い疑問だったんだ。四角テーブルだったら対角線上って言うけど、やっぱり丸だったら隣じゃね?くっつく距離でもねぇし、話し合うわけでもないのに向かい合せって言うのが凄い疑問だった。でも、ふと思ったんだよな。もしお前が小梅ちゃんを好きだった場合」


 もうここからは感性の話だ。しかも、結城だったか吉野だったかどっちかが言ってたことだから、俺もよく解らないことになりかねない。でも、ここまできたら続けてやろうじゃんか。


「隣同士だった場合、お前の隣に小梅ちゃんが座る確率は普通に考えれば50%。小梅ちゃんはミーハーな方じゃないと思うけど、相手がイケメンの場合はそっちの隣に座る可能性の方が高いらしい。だとしたら、俺の隣に座る可能性の方が幾分か高い」

「・・・パープルってたまに素で凄いこと言うよね」

「え、何が?」

「いや?ボクはそういうとこ好きだよ」

「きもいこと言うだけなら話続けんぞ」


 クロウはけらけらと笑うとそのまま俺に続きを促してきた。なんか、そうされると俺が間違っているような感じがしてくる。自信が揺らいできたな・・・


「向かい席でもいいかもしれないけど、好きな女の子が他の男を見てる姿を見なくちゃいけない環境になるのはつらい。だから、それが起きないように向かい席に座った。向かい席に座ればもしそうなっても視線に逃げ道はあるし、好きな子がどっちに座ろうが絶対に自分の隣に来てくれる」

「打算的だね」

「打算的だろ?お前は」


 オウム返しに言うと、クロウはまたけらけらと笑った。それはきっと肯定だろう。ただ、実際のところ打算的と言うよりは、快楽主義な傾向も強いと感じるけどな。


「最後に、話せたのかって聞いたけど、あれはナンパ避けだな。プールでは皆が解放的になることは俺を実験体にして解っただろう。だからその場に残ることにした。さすがに嫌いな奴とずっといるのは嫌だろうし、更衣室のテンションやソラちゃんの話を聞いたところだと、絶叫マシンが苦手ってのは嘘だな。俺がサングラスをかけてるタイミングを見計らって、そういう断定発言をしているところもかなり怪しいんだよ、個人的には」


 すると、クロウはひゃははははっといつも通りの笑い声をかげた。その見かけでその笑い方をするとマジで不審者だからやめてくれ。他人のふりをしたくなる。

 いつの間にか着いていたゴミ箱に、彼は手に持っていた物を突っ込んだ。


「じゃあ、頑張って考えたご褒美として教えてあげようか」

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