その11
「やあ、ウォータースライダーはどうだった?」
胡散臭い笑顔で迎えられ、もう色々な苛立ちとか切なさとかが入り混じってたのもあって、これ以上ないほど殴り飛ばしたい気分になった。意外とアグレッシブな性格だって?確かにそういう路線もいいかもしれないな・・・
そんな試行錯誤が進んでいることは知られるわけもなくて、クロウは俺にかき氷を差し出してきた。
「食べる?」
「いらん」
「頭キーンッてなるよ」
「なりたくないから」
「ほら、キーンって」
なんだろう。言っていることは凄く無邪気なんだ。凄く無邪気なのにこう・・・ソラちゃんとは確実に違う。何でこんなに殴り飛ばしたくなるんだよ不思議過ぎる。
「で、小梅ちゃんと何か話出来たのかよ」
「え?」
あれ?今俺なんて言った?
そこで思い出した。いや、思い出せた。この推測が合っているのか、クロウに確認しないとと思ってたんだよ。でもどうやって彼にだけ質問するべきか・・・と考えていると、クロウが席を立った。逃げられるかと思いきや、むしろ逆だ。
「ゴミ、棄ててくるよー!ほらほらっ、パープルも持って持って」
「なんだよ、一人で行って来いよ」あ、つい本音が・・・
「酷い!こんなひ弱なボクにこんなに沢山のごみを持てだなんて!!」
一応言っておくけど、ゴミは焼きそばのゴミとお好み焼きのゴミと、かき氷のゴミとそれぞれのスプーンやお箸くらいだ。全然重たくなんてないし、むしろ男二人で行く方がおかしい。
けれどもそれを打ち消すように、クロウは話を続ける。
「まあ、ゴミ捨てはひとりでできるんだけどさ、そろそろお菓子ほしいじゃん?」
もうこれで皆解った。奥の方にはクレープ屋さんがあった。プールサイドでクレープを買うのもどうかと思うし、たこ焼きお好み焼きの後のクレープというのもあまりイメージがない。でもこの言葉の威力は女の子にはてきめんで、特にソラちゃんは立ちあがって手を上げた。
「あたしっ、キャラメルと生クリームとイチゴとアーモンド入ってるやつ!」
「え、あの、私は・・・」と困ったように小梅ちゃんが動くので、俺も腹をくくった。
「何にする?おごるよ」
「あの・・・チョコシナモンで」
一番安いやつだ。こういう些細な気遣いが、とてもかわいいと思うんだなぁ・・・




