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その4

 言い返すこともできずに黙りこんでいると、いきなりクロウがサングラスを外した。


「おま・・・」

「大丈夫だよ。ボクのは君のと違って、使おうと思わない限り大丈夫だから」


 それは確かに安心するけど、そうじゃない。能力の有無じゃなくて、単に外したくなかったんじゃないのか?クロウは星型のサングラスを、首にかけていたゴーグルに引っかけた。


「ま、後悔しても知らないよ?」

「え」


 一体どんな後悔をするのか、この時は想像もつかなかったのだが、十分後、盛大に後悔することになる。



 三十分後、やっとソラちゃん達が戻ってきた。とある事情から立ち上がっていた俺は、勢いよく席に座り、ぐったりと机に突っ伏した。


「あー・・・助かった」

「ね?後悔したでしょう?」

「した、すっごいした」

「・・・一体何がどうなってあんな状態になったの?」


 ソラちゃんが目を丸くして聞いてきたのも、もう仕方のないことだった。

 サングラスを外したクロウは、アロハシャツに多少の違和感は覚えるものの、まあ普通の男だった。パーツもいいし配置もいいはずなんだけど、ただ猫目であるということがネックになって、イケメン臭はない。あのソラちゃんのいとこなのに、本当に残念な男だ。

 ともかくこれで白い目を向けられることは無くなった。の、だが。

 じわじわと、視線を感じ始めた。なんだ?元々視線を感じてたは感じてたけど、なんか多くなってる気がする。あの変な格好ほど人の目を集めることは無かったと思うけど・・・


「あの、お隣いいですか?」

「え、ああ、どうぞ」


 なるほど。正午も近いし、そろそろ昼食をとりたい時間だろう。この辺はさっきまでクロウが変な格好をしていたおかげで周辺ががら空きだし、狙いどころかもしれない。

 けれどもそこから、怒涛のように周りが埋まり始めた。気付けば、周りの女の子率が異常だ。


・・・そうか。ここはプールなんだ。


 今更理解した。上裸のイケメンが友達とだべっていたら、そりゃ女の子たちも集まるよな。もしその友達がさっきみたいにあまりにも変な奴なら考えものだけど、アロハシャツを着た、少し変わってるな程度のやつなら、女の子も目を瞑れるのだろう。目の保養をしているのは、男だけじゃないってことだ。

 そして十分後。もう周りの席はほぼ埋まり、衆人環視の状況が生まれる。


「・・・・・・」

「・・・・・・」


 言ったでしょうとと言う顔で見てくるクロウを、無言で睨む。もっとはっきり言えよ。ってか、それなら外すなよ。


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