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その2

「パープル―?」


 いやに大きな声でとんでもなく恥ずかしい呼び名が聞こえてきた。思わず顔を真っ赤にして前を向くと、星型サングラスにアロハシャツの男がこちらを向いて立ち止まっていた。彼の周りには結界魔法でも使ったんじゃないかと思うくらい、円形に空間ができており、その円の中に入ってしまうと簡単に話すことができる。

 が、まず初めは拳から。


 ガツッ


「いった!なにするのさ!!」

「頼むからこういう公共の場所で変なあだ名で呼ばないでくれ!」

「だから別にボクのことグリーンって呼んでも・・・」

「普通は呼ぶ方も恥ずかしいんだよ、普通はな!!」


 大事なことだから二回言ってやったぞ、いい加減伝わっただろ!!

 が、それでもクロウはきょとんとした顔をしただけで、全力で打ったのに全然響いていない感じだった。なんなんだこの脱力感、なんなんだこの虚しさは・・・

 はぁ・・・とため息をついた後、用件を尋ねる。


「で?あったのか、空席は」

「いや?」

「じゃあなんで呼んだんだよ!」

「パープルが・・・」

「紫合か祥平かユウって呼べ」

「・・・・・・」

 ・・・なんだその目は。なんでそんな不満そうな目で俺を見るんだ。

「『君』が、はぐれないようにって考えたんじゃないか」


 こいつ意外とものすっごく強情だぞ・・・。紫合か祥平かユウって選択肢与えたのに、君とか言ってきたぞおい。そしてなぜ今ため息をついたんだよ・・・っ!!


 変な格好の男がシャチと浮き輪を持って歩いている、と言うのは教育上よくない光景の一つだろう。立ち止まってそんな言い合いをしていたら、小さい子連れの家族が何組もその場を去っていった。

 それを見て、もうため息すら出なかったけど、クロウは素直に喜ぶ。


「凄いよ、パープル!空席ができたよ!」

「だーかーらー・・・」


 そう言ってビーチボールを構えると、クロウは何故かシャチと浮き輪を近くのテーブルに置いて、トスの体勢を作った。


「ヘイ、カモン!」

「投げるかこんちくしょう!!」


 いつもと違うと思ったのは気のせいだよ、ソラちゃん!!

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