表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/51

その14

 流れるプールで人探し、と言うのは思いのほか簡単なことだった。流れに逆らって泳いでるわけでもないし、ましてや別れてからそれほど経っていないのだから、当然と言えば当然だろう。

 十分ほど周遊すると、すぐに浮き輪を取り合う二人の姿を確認できた。シャチが流されないように両手で押さえながら、二人に声をかける。


「おーい!ソラちゃーん、クロウー」


 ぶんぶんと手を振ると、二人はやりとりを中断してこっちを見た。途端にクロウはソラちゃんに浮き輪を返し、水の中にトプンと沈んだ。逃げたのかあいつ?と思っていると、いきなりざばぁっと水の中からクロウが現れる。待っていてくれれば結局そっちに行くのに、わざわざ来たのか。

 手を離していたシャチの紐を、クロウが掴んだ。ん?これは任せていいのか?ただ手持無沙汰で持っただけか?まあ、確率としては後者の方が断然濃いけど。


「お腹空かない?」


 突然過ぎる話題の振り方に、一瞬頭が付いていかなかった。ぽかんと間を置いていると、ソラちゃんもこちらに泳いでくる。


「あのね、今屋台空いてるんだって!今のうちに食べちゃおうよ」


 どうやら二人でその話をしていたらしい。プールの中央に置かれた時計を見てみると、短針は十一時を指しており、なるほど確かに手ごろな時間かもしれない。そういうこともあるかもしれないと思って、朝食を軽めにしておいたのは正解だった。が。


「俺はいいけど・・・小梅ちゃんはどう?」


 尋ねられた小梅ちゃんが身を持ち上げた瞬間、シャチがぐるりと横転した。


「きゃあっ!」

「小梅ちゃん!」「こうちゃん?!」


 俺とソラちゃんは相当慌てたが、抱きしめていたビーチボールが功を奏した。彼女は沈むこともなく、必死の顔でぷかぷかと浮いている。


「あ、焦りました・・・」

「ぷ・・・ひゃはははははっ!!!」


 相当怖かったのだろう。ふるふると震えながらそう答える彼女に、クロウが噴き出した。小梅ちゃんの恐怖をなんだと思ってるんだ。とか思ってたら、なんとソラちゃんまで一緒に笑い出した。

 ん?これって笑う流れなのか?

 ショックじゃないのかなと小梅ちゃんを見てみると、彼女はぽかんとしているが、不満な顔はしていなかった。どころか、今までより大分柔らかい表情をしている。こういうので笑われることに抵抗はないようだ。内気な子ってそういうのを嫌がるイメージがあったから、かなり意外だなぁ・・・

 あれ?てかじゃあこれって、クロウの嫌がらせだったのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ