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その11

「お、おい!クロウ」

「何?」


 振り返った顔は平然としていた。俺が呼びかけた理由に本気で気付いていないようだ。


「お前、ウォータースライダーに乗りたいんじゃなかったのかよ?」

「え、パープル乗りたいの?」

「ちげ・・・ってかここでパープル言うな!!」


 子供たちの視線が勝手に集まるんだよ勘弁してくれよ!!

 でもそれ以降何を言ってもクロウはとぼけるばかりで、全くウォータースライダーに乗ろうとはしなかった。あそこまではしゃいでいたんだから、乗りたかったんだろうに、一体何なんだ・・・?


「ユーウ!」


 借り物のビーチボールに捕まったまま流れるプールを流れていると、ソラちゃんが水の中から現れた。吃驚してボールを手放してしまい、ボールがふよふよと流れて行ってしまう。


「あ」

「任せて!」


 ソラちゃんがいきなり水に潜ったかと思うと、ざぱぁっとボールの下から現れた。彼女に跳ね上げられたボールは、俺の手元に綺麗に戻ってくる。まるで水族館のイルカみたいだ。でもどこでこんな技術を磨いたのか・・・

 でも、流されなかったのは助かった。


「ありがとう」

「・・・・・・」


 じーっと、ソラちゃんの大きな目が俺を見つめてくる。ん?俺何か変なことしたっけ??

 気まずくなって視線だけ下に向けると、濡れたおかげでシルエットのくっきりと見える胸元が視界に入った。どうやらビキニの色は白で、水色の模様が入っているようだ。キャミソールのデザインがそんな感じだから、きっとおそろいの柄になっているのだろう。そして、その途中から肌色が透けている。

 しまった。こう言うのを視界に入れたら、男はなかなか視線をそらせるものではない。

 何とか逸らそうとすると、ソラちゃんが俺の頬を両手で挟んだ。


「ユウ、楽しくないの?」

「・・・は?」


 その質問のおかげで一気に思考が現実に戻る。おかげで視線も彼女の顔に戻すことができたのも助かった。でも、言葉の意味は解らない。

 バラバラとはいえ流れるプールで思い思いに遊んでいるわけだし、ソラちゃんが来る少し前まではクロウがビーチボールを奪って消えようとしたのを、何とか阻止できたってくらい楽しんでる。たまに綺麗だったり可愛い女の子たちが話しかけてくれるし、プール最高だなーくらいにはもうエンジョイしてるつもりだった。

 ・・・あれ?これって楽しみ方違うのか、もしかして。

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