表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/51

その9

 クロウに引っ張られるようにして、プールサイドに出る。とはいえ、広過ぎる上に何種類ものプールを抱えるその空間は、プールサイドと言うには少しイメージとは違った。

 女性陣はまだ来ていないようで、俺とクロウは二人で先にシャワーやら腰水・・・でいいのかな?ともかく色々手順を踏んで、泳げる状態になる。


「プールって、入る前にこんなにいろいろやるんだな」

「パープルって、小学校の時どうやって授業受けてたのさ?」

「水泳の授業は受けたことないな。いつも嘘が酷くて吐き気がしてた」

「・・・なかなか大変な幼少期だね」

「まあな」


 そう言われるとそれが普通だったわけで、「大変」という言葉に違和感すら覚える。今になれば大変だったんだとは感じるんだけど、やっぱり当時の印象に上塗りは出来ないんだろう。不思議なもんだな。


「あ!」といきなりクロウが大声を出すので、思わずびくりとした。ソラちゃん達が来たのかとそっちを見ると、ぶんぶんと一緒にいるこっちが恥ずかしいくらい腕を振ってウォータースライダーを指差している。


「パープル!すごいよ、あれだよ、本当にあるんだね」

「本当になきゃ問題だろうよ」


 あれだけ宣伝してて期間外とかだったら、クレーム処理がもう大変だろうに。こいつって、ホント・・・あれだな、人を信用してないんだな。だから本心も見せないし、飄々としてるんだろう。そうなるとこいつが・・・あー、何だっけ?ニジイロレンジャー?まあいいや。ともかく人助けを行うようには見えない。でもだからといって、「ソラちゃんに付き合っている」というようにもなかなか見えないのも事実だ。

 まったく・・・人間どうやったらここまでここまで掴まない性格になれるんだ?


「探るのはあきらめたら?」


 不意に言われて我に返る。クロウはこちらを見て、屈託のない顔で笑っていた。でも、その笑顔がそれ以上詮索するなと言っているように見えて、俺は無意識に思考を停止する。こいつは食えない。だから、刺激しない方がいい。本能的にそう感じた、というのが正しいんだろうな、これは・・・

 思わず深刻な顔になる。と、クロウがバンと俺の背中を思い切り、そう、思いっきり叩きやがった。


「いってぇな!!」

「そんな深刻な顔してるのが悪いんだって!スマイル、スマーイル」


 そう言って、彼は自分のつり上がった口角に両の人差し指を当てる。いいか?このポーズは女の子がやったらものすっごく可愛い。そりゃもうソラちゃんみたいな美少女がやったら破壊力は抜群だ。でも、16の男がやっても死んだって可愛いなんて言えない。クロウは自分の年齢と性別をもっと自覚する必要があると思うな・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ