その7
その件があってから、すぐにソラちゃんと小梅ちゃんが来た。どうやら改札前で会ったらしく、揃って走ってくる。
「お待たせっ!」
そう笑いかけてくるソラちゃんが本当に天使だった。今からこの美少女の水着姿が拝めるかと思うと、男としてはドキドキせざるを得ないよな、うん。
先ほどお姉さんに案内したバス停でバスに乗る。ちなみにもう一本は出発しているので、お姉さんたちはそっちに乗ったようだ。よかったよかった。
またこの間と同じ組み合わせの席順になるのかと思いきや、ソラちゃんが俺の腕をぎゅっと引っ張ってきた。いきなりすぎて体勢を崩しかけたけど、何とか根性で踏み留まった。
「ど、どうしたのソラちゃん」
「最近クロウばっかりユウと話しててずるい!あたしだって話したいもん!」
ソラちゃんはきっと、クロウと小梅ちゃんで座らせてみたいんだと思う。でもだからと言って、その発言はアウトだよソラちゃん!そんなの可愛すぎるって、俺の心臓が・・・!!
そんなソラちゃんの思惑が解ってしまったのか、クロウはすぐには返事をしなかった。しかし結局彼は何の抵抗もしなかった。あんなに「嫌い」を強調していたのに、だ。もともとクロウの性格が掴めるような代物だなんて思ってないけど。最近はそれがどうにも強まってる。
大きなエンジン音がして、バスが揺れ出す。男女のペアで座席に着いた。俺の前にクロウ達が座っているという状態だ。が、座ったのにソラちゃんが未だに手を放してくれない。少し体勢的にきついんだけど・・・
「ねえ、クロウの事どう思う?」
唐突に聞かれて、初めは何て言ったのか解らなかった。けれどもすぐに判明した。他人の俺が一目見て解ったんだ。いとこ同士なんて関係じゃ、ソラちゃんもすぐに気付くに違いなかった。
「変・・・だよな」
「やっぱり、他人から見てもそうなんだ」
とても珍しそうに、ソラちゃんはクロウを見た。
「そ、そんなに珍しいの?動揺してるのが」
「ううん。クロウが動揺するのは珍しいことじゃないよ。ただ、他人から見てもそう見えるっていうのは貴重かなぁ」
表情豊かに見えても、クロウの真意はなかなか測れない。お面を外してもお面を付けているような男だ。とてもじゃないけど、目に見えて動揺するなんて珍しい。
とはいえ、俺に関して言えば「動揺している」と解ったわけではなく、「なんか違う気が・・・」くらいの認識で、今の今まで断定もできなかったけど。




