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その4

 家に帰ってからも、違和感が取れなかった。


 あの時俺は、何を言おうとしたんだ?


 何て言おうとしたのか、というのは少し違うかもしれない。どんな違和感を抱いたのか、はっきりさせようとしたっていうのがふさわしいのかもな。


 元々、小梅ちゃんとクロウの関係には違和感があった。


 まず、あのクロウが他人に興味を示していたところだ。嫌っている、それも「大っ嫌い」と豪語するレベルまで彼女を意識していたわけである。それって実はすごい話で、本当に興味がなければ嫌いという感情すら生まれないのが普通なんだ。大っ嫌いというからには、その「大っ」の分彼女をよく見ていたということになる。彼女が遅刻常習犯だと言う話は聞いたが、それだけで嫌うほど、あの不真面目なクロウは真面目ではないだろう。

 そして、彼女に何らかの能力があると解った上で放置していたと言うのも気になる。俺みたいな他校生を助ける前に、目の前の女の子を助けるべきなんじゃないのか?ソラちゃんに話せばすぐに協力してくれただろう。

 あ、書き忘れていたけど、眼鏡をかけると言う対処法は今回もやって見た。けれど赤い霧が隙間から入り込むようで、今回は効果がなかった。水中ゴーグルで持つければ平気かもしれないけど、それで外を歩かせるわけにはいかない。次回のプールの時に、小梅ちゃんはクロウの顔をやっと見れる可能性があるわけだけど、男女で遊びに行く時に水中ゴーグルなんて、女の子は付けないだろうな・・・。


 ふと、今日のカフェテリアでの一件を思い出した。そう言えばあの時、クロウは何で小梅ちゃんに紅茶を買っていたのか?

 あそこはコーヒーがメインだ。俺は「女の子の中にはコーヒーが飲めない子がいる」という、ウソかホントか解らない知識に惑わされて、彼女に紅茶を買った。もし俺が女の子とは言え嫌いな子にものを買ってあげるとしたら、気を遣うだろうか?多分、使わない。選ぶのが面倒くさいから、自分と同じものを買って済ますか、一番安いコーヒーを買って終わりだろう。

 そこで出てくるのが、さっきも話した「初日の飲み物」だ。思い返せば、クロウは一人だけ遅れて入ってきた。もし遅れてきた時に各人が飲み物を持っていたら、どう思うだろうか?答えは簡単だ。


 それぞれが、飲みたい飲み物を購入した。


 クロウが本当にそう思うのかは解らないが、少なくとも普通はそう思うだろう。だとしたら、紅茶は一目で解る。紅茶だけがティーパックなので、紐がカップからはみ出していればそれ以外ないからだ。これに気付いていれば、小梅ちゃんのためにクロウが紅茶を買ってきたのも解る。彼は、彼女に気を遣ったんだ。


 でも、彼は彼女のことが嫌いだと言った。


 これだ。これが違和感の正体だ。彼は嫌いと言いつつ、彼女に対して様々な面で気を遣っている。初日も、顔が割れていないなら黙っていれば解らないし、いざとなればしらばっくれたって解らなかった。俺たちだって二人が知り合いだという確証がないから、何とも言えない。まあ、しらばっくれた時点で俺にばれて終わりだけど、彼女のことが嫌いだとわざわざ後から告げるなら、別に問題はないはずだ。


 つまり。


「・・・クロウは、俺たちに何か隠してる・・・?」


 答えが解るのは土曜日。絶対に問い詰めてやる・・・!

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