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その3

 今週の土曜日に、近くのプールの入り口に集まる、ということになった。


 帰り際、四人で歩いていると、自然と女子同士、男同士で並ぶ形になった。まあそうだろうな。クロウと小梅ちゃんが並んで歩くことはないし、イトコ同士でわざわざ並ぶのもあまりない。だったら俺と並んで歩くのが自然ってやつだろう。


「週末、ちゃんと来いよ」

「えーどうしようかなぁ」

「選択肢なんてあるかよ」

「横暴ー」


 そういって、けらけらとクロウは笑う。全く持って食えない、いつも通りのクロウだ。


「なあ」

「んー?」

「何でお前って、そんなに小梅ちゃんの事嫌いなんだ?」


 すると、不思議そうな顔でこちらを見てきた。危ないから前見て歩け。


「前言ったじゃん。『見ない』からだよ。罪悪感とか、ほどほどじゃないと面倒くさいだけでしょ」

「・・・なんか、納得いかないだよな」

「納得いかない?」


 思わず漏らした一言を、クロウが拾いあげた。耳が良いなこいつ・・・

 でかい猫目で、じっとこっちを見てくる。少し怖くて、真正面を向いたまま、仕方なく続けた。


「お前がさ、そんなお安い理由で人を嫌うかなーっと思って」

「お安くないよ。それはただの個人差で、ボクにとっては・・・」


「そうじゃなくて」と区切ったものの、それ以上解り易く説明するのは無理だった。「あー」と無意味に声を出しながら、首に手を当てて少し考える。でも、この時はそれ以上良い言葉がどうしても見つからない。

 すると、クロウがひゃははと声を出して笑った。


「パープルはさ、いつも一生懸命だよね」


 それは違う。俺のは一生懸命とは言わない。ただ、必死なだけだ。

 俺は自分のことをイケメンだと思ってる。まあ、実際そうだし、その認識に誤りはないと思う。でも、だからこそみんなとは違うハードルって言うのが存在するって思ってる。イケメンならイケメンとして、あるべき姿ってのがやっぱりあると思うわけだ。だから、その期待を裏切ることのないように、必死に生きている。ただそれだけなんだ。

 でも正直、こいつよりは一生懸命だとは思う。どこかつねに脱力していて、のらりくらりと過ごしているこいつは、たぶん一生懸命とは対極にいる存在だ。もちろんそれを悪いことだとは言わない。個人的には、その余裕がほしいって思うこともある。というか、凄く思う。余裕のある男って言うのは、男から見てもかなりカッコ良く聞こえるし、こいつほど肩の力を抜かなければ、それなりに器の広いイメージができる。


 そんなふうに考えていると、すぐに駅に着いた。クロウとソラちゃんは反対方向なので、ここで別れることになる。


「じゃあ、また土曜日にね!ユウはまた学校で合おう!」

「うん、じゃあね」

「バイバーイ」


 最後の最後まで、この日もクロウと小梅ちゃんの二人は全く会話をしなかった。

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