その19
「何考えてんだよ、お前・・・!」
怒りに震えてそう言ったけれど、クロウはまるで聞こえていないかのように飄々とこっちを見てきた。いつものように茶化しもしない。ただ、彼の瞳がじっと俺のことを見つめてくる。
たったそれだけが、とんでもなく怖かった。今こいつは何もかぶっていない。素顔をさらしているはずだ。それなのに、何かをかぶっていた時の方が表情が豊かだったようにさえ思えた。
この顔はなんだ?何を考えているのか、本気で解らない。解らないことがとても怖い。
「落ち着いて二人とも!」
そう言って、ソラちゃんが間に割り込んできた。助かった、という感情がイの一番に湧きあがる。
彼女はクロウの顔を下から見上げ、むっとした顔をした。
「クロウ、だめでしょ!活動するって言ったらみんなで活動!グリーンは単独行動するキャラじゃないでしょ?」
やっぱりだめだよな、うん、こいつだって・・・って、え、何だそれ、それでいいの?クロウがグリーンってとこにも驚いたけど、それ以前に単独行動するキャラか否かで決めるとこなのそれ?もしブラックだったら抜けること出来たの?なんだそのひいき制度。
攻撃的なクロウの目を真正面から受け止めるソラちゃんは、クロウの右手を両手で掴んだ。そのままにっこりと、そりゃもう天使のように笑う。
「ね?一緒にやろう?」
「・・・ソラが、そう言うなら・・・」
とぼそぼそと言うと、次に顔を上げた時にはいつも通りの顔になっていた。
「折角パープルが依頼人連れてきてくれたんだもんね!」
「そうだよ!ユウに失礼だよ!」
なんなんだこの家系・・・。ソラちゃんは過度に純粋で異常に鈍いし、クロウは嫌いな奴をとことん嫌うタイプなのは解ったけど、まだまだついてはいけない。俺ですらこうなんだから、小梅ちゃんなんて当然で、ぽかんとした顔のまま二人を見ていた。幸いなところはそのおかげで、ショックの度合いが低かったと言うところだけだ。ソラちゃんがそれを計算でやってたら凄いけど、それはたぶんないだろうな・・・
それと、一番失礼働いてんのは小梅ちゃんにだから、二人揃って謝罪はちゃんとしておこうか。




