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その18

「ともかく、僕は今回降りるよ」

「は?」


 クロウの思わぬ宣言に、俺は思わず目を丸くした。今何て言った?降りる?そんな制度あったのこの団体。俺の時は散々、ほんとさんっざん振り回してきたくせに、今になってこれ?

 納得できるわけがない。彼の腕を思いっきりひっつかんで、引きとめた。


「ちょお待てって!降りるって何だよ」

「そのままの意味だけど」

「そうじゃなくて!なんで降りるとか言っちゃってるの?」

「僕の自由でしょ?」

「俺には自由はなかった!」


 つい声を荒げてしまった。周りにいた客の視線が一時的に集まり、何事もなかったかのように解散する。取り乱した姿が注目させると言うのは非常に恥ずかしいもので、俺の顔は小梅ちゃんフィルターを通さなくても真っ赤になっているに違いない。

 と、クロウがひゃっひゃっと笑い出した。変な笑い方だ。


「いっやあ!参ったよ!パープルには敵わないね」


 そうか俺は今ものすごく不快だがな。掴んでるお前の腕を許されるならへし折りたいくらい不快だがな。

 ふぅとため息をつくと、クロウが小梅ちゃんを見た。本人には見えていないとはいえ、あまりにも剣呑で、悪意に満ちた視線だ。女の子に向けていい視線じゃない。


「僕はね、努力しないやつが嫌いなんだよ」


 そういって俺の腕を振りほどくと、逃げるどころか彼女の前に手をドンと音を立てて付く。


「被害妄想にまみれて人様に迷惑をかけるなんて、クズの所業だね。最低だ」


 見えなくても、もう彼女は気付いただろう。彼が放っている巨大な悪意に。


「クロウ、やめろ」


 耐えられず、静止を入れた。が、クロウは止まらなかった。


「そんなのいくらでも治せるじゃないか。いくらでも、責任転嫁すればいい。感謝で昇華すればいい。出来ないのは全部、『君のせい』だ」

「やめろって!!」


 そんなことしたこともないのに、思わず彼の胸ぐらをつかんでいた。いきなりつかんだのに、彼が驚くことは一切なく、何故か掴んだ俺が泣きそうになっている。でも、構わない。

 こいつは今、とてもひどいことを言った。それだけがただ許せなかったんだ。

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