その17
「僕は何もしてないよ?ただ・・・」
楽しげだった表情が、一瞬でニヤリと不敵な笑みに変わった。
「ただ、彼女を助けただけさ」
「・・・助けた?」
嫌いな子を助けると言う了見が解らないけど、きっと嫌いになる前なんだろう。しかしそうなると、俺とクロウの共通点は彼女を助けた、ということになる。
ソラちゃんはむっとした顔のまま、クロウをじっと見る。怒ってるんだけど、もう何だかただ可愛くなってきた。
「助けたって、何したの?」
「簡単さ。階段を踏み外した彼女が降ってきて、その下敷きになった」
訂正しろ。それは助けたとは言わん。受け止めるくらいの甲斐性を見せろよ、運動神経いいんだから。
「で、そのまま保健室に連れて行ってもらって別れた。それだけさ」
まあ、何も良いことはしてないけど、何も悪いこともしてない。至って普通だ。まあ、下敷きにしたって点で少し罪悪感はあるかもしれないけど・・・ん?
「もしかして、罪悪感?」
「へ?」
「いや、推測なんだけどさ。小梅ちゃんの中にある罪悪感が、具現化しちゃってるんじゃないかなぁって」
すると、残りの二人が目を丸くした。あれ、なんか可笑しい事言ったか?
少し間を置いて、ソラちゃんがキラキラさせた目を向けてきた。
「すごいね、ユウ!そうだよ、きっとそうだよ!」
「え、あ、そうかな?」
「うん、絶対そう!クロウもそう思うでしょ?」
「まぁ、そうだね」
「少し綺麗過ぎる言葉な気もするけど」とぼそっとクロウが零したが、ソラちゃんには聞こえなかったらしい。「罪悪感」が「綺麗過ぎる」って、どういうことなんだ?相変わらず解りにくいことばっかり言うな・・・




