プロローグ2 魔王とダンジョン生まれました。
はい、プロローグ2です。
「えーと、ここはどこですか?」
いつの間にか眠っていたらしく真っ黒な部屋にいます。
そこでぽつりと思った事を呟いただけだったのですが、返事が返ってきました。
「……」
とても不思議な声で男か女か分かりませんが、雰囲気的には男の方でしょうか?
「はあ、ここは貴方の中なのですかー。私は食べられてしまったのですか?」
「……」
「違う?え?知ってるはず?……思い出してみますね」
どうやら私が何故ここにいるかは私自身が知っているようです。
なので思い出してみることにします。
確か……
確か私は駅にいました。
そこで電車を待っていたのですが……そうです、確か電車が来たと思った瞬間、背中を押されたのですよ。
すっごく痛いんだろうなと思っていましたが一瞬で気を失って痛さを感じませんでした。
多分、即死だったのでしょうね。まあ、痛みを感じなかった分良かったのかも知れません。
あれ?
という事は、私は死んだはずですよね?
え?思い出せって?
まだ先があるのですか。
じゃあ、思い出してみましょう。
……ああ!そうですよ!こことは違う感じの黒い部屋にいつの間にか移動させられていたのですよ!
そこで確か……そうです、魔神さんって人に会ったんですよ。
なんだかおいしいお酒をもらって一緒に飲みながら魔神さんの世界の話を聞いたのでした。
なんでも剣と魔法のファンタジーな世界だとかで、魔物はいるけど魔王はいない平和な世界だと言っていました。
魔神さんの長い話をまとめると、魔神の自分が作った世界なのに魔王がいないのはおかしいと思って他の神が作った世界を見てダンジョンっていいなと思ったとかで、先にダンジョンの核を作って、核から生まれるダンジョンに魔王を住ませようと計画を始めたようです。
ダンジョンは合計6個作ったので6人の魔王を用意しなければいけなかったのですが、そのうちの5人はすぐに決まったようです。
ですが、最後の1個。このダンジョンの核は他のと違って意思を持っていたようなのです。
ダンジョンの核が気に入るような人物じゃないと魔王に出来なかったんだとか。
そこで選ばれたのが私だったようです。
それで魔神さんは私に魔王になってくれと頼んだのです。
私には魔王なんて勤まりませんよと言ったのですが、君、すごい素質あるから大丈夫などと言われ、結局酔っていたのもあり引き受けてしまいました。
魔王になる際に人から魔王へと転生するだとかで、前世の名前を使えなくなるから新しい名前を考えてくれと言われて確か……苗字から名前をとってクロマと言う名前を使う事になったのでした。
名前を決めた後は前世の記憶をほぼ全て消されて……ほんとに死ぬ間際の事しか思い出せませんね。
で、私は魔王に転生したと。
あ、そういえば魔王として生まれるのと共に、ダンジョンの核からダンジョンが生まれると言っていましたね。
魔王と共にダンジョンは育つとも言っていた気がします。
「なるほどー、貴方はダンジョンなのですね」
「……!」
不思議な声の正体はダンジョンだったようです。
「それにしても名前ないのは不便ではないですか?」
「……」
「はあ、ダンジョンが名前なのですか。ならダンジョンさんですね」
「……」
「それでは改めてよろしくお願いしますね。ダンジョンさん」
「……!」
こうして私とダンジョンさんは生まれ、出会いました。
そういえば、魔神さんはダンジョンと魔王は繋がっているとも言っていた気が……
どういう意味でしょうね?
まあ、そのうちわかるでしょう。
これからどうしましょうかねー。
ちなみにダンジョンさんの声はクロマさんにしか分かりません。