三話。後輩、御堂鈴音
「おーい!伊吹ー!」
「ん?」
俺が校舎から出ると、遊作に呼び止められた。
「何だ?似非関西弁が来るかも知れないから手短に頼む」
「手短に頼むって...何でそんなに急いでんのさ?」
「『Different-Dimension World』のキャラを作らなきゃ行けねーから」
「あぁ〜。歓崎先生とやってたやつでしょ。CMとか沢山やってるよね」
「お前の妹もやってるぞ」
「そうなの?そういえば朝、正式サービス前日って言ってたよね。その正式サービスって何?」
「正式サービスは正式サービスだろ」
「じゃあ、それ以外に何があるの?」
「βテストっていうお試しプレイ的なやつがある」
「体験版みたいな?」
「ちょっと違うな。」
「じゃあ、どんなやつなの?」
「クローズドβとオープンβがあって、クローズドβは一応完成した物を前作のユーザーとか公募で集めた人に遊んでもらって、不具合が無いか、難易度はちょうど良いかとかを調べるものだ。オープンβはクローズドβで調整したものを一般に向けて公開して、さらに調整を加えるもの」
「伊吹がやったのは?」
「俺は両方やってるぞ。お前の妹も歓崎も両方」
「ふーん。で、そのβテストで修正して完成した正式版が明日始まるってこと?」
「そゆこと」
「Different-Dimension Worldってどんなゲームなの?」
「エルフとか獣人とかがいて、剣と魔法と巨大ロボットでモンスターを倒すゲーム」
「へー!僕もやってみようかな!あれ?VRの機械って結構高いよね?何でうちの妹が持ってるの?」
「俺があげた」
「えっ!初耳だよ!ちょっ、いくら?お金払うよ!」
「要らねーよ。沢山あるから」
「何で沢山あるのさ!?」
「DDWは俺の母さんが作ったからな。VR器機も母さんが設計してるし」
「えぇっ!」
「カスタマイズした高性能機とか余ってるから一個や二個どうってことない」
「そうなんだ」
「何か用があったんじゃねーの?」
「そうだった。妹が家に来てくれって言ってた」
「は?嫌だ」
「電閃鉱石1ダースとか言ってたよ」
「よし!行くか!!」
こうして俺は遊作の妹、鈴音に呼び出され御堂家に向かった。
「あっ!母さんに連絡しとかねーと。......母さん?今日遊作の家に寄って行くから遅くなる」
母さんの携帯電話を呼び出し、遅くなるとつたえる。
『おっ!兼宮先輩ッスか?お久しぶりッス!あなたの鈴音は元気ッスよ。』
「あっ!間違えました!」
母さんに電話したのはずなのに変なのが出た。どうやら電話帳の登録データがまちがっていたようだ。
携帯電話を仕舞おうとしたところで電話が掛かってきた。
-愛しの最高美人母-
母さんの電話のようだ。登録名がアレなのは、母さんが勝手に変更してしまうからだ。
「もしもし?」
『先輩!何で切ったんスか!?鈴音ッスよ!!あなたの鈴音ッスよ!』
「アナタ・ノ・スズネさんですか。はじめまして」
『うぅ〜(・ε・` )』
「それは置いといて。鈴音。母さんは?」
『今お風呂入ってるッス!!』
「何で母さんが御堂家にいんだよ!」
『え?いないッスよ?ウチが先輩の家にいるッス』
「は?でも、お前、電閃鉱石1ダースで家に来いって...」
『そうッス。ウチのVRギアを設置して貰おうと思って。電閃鉱石上げるッスからやっといて欲しいッス』
「面倒な!まぁ、それはいい。何でお前が家にいるんだ?」
『お義母さんに挨拶に来たッス!!』
「お義母さん?」
『息子さんをウチに下さいって言いに来たんス。そしたら結婚はしても良いけどイブくんは皆のものよっ!って言われました。』
......もぉ、ぃぃや。どぅにでもなれぇ!ァハハハハ...