みっつめのはなし
むかしむかし あるところに
まっくらな まっくらな
やみ が ありました
そこには あかい めを した
くろい くろい けものが すんでいました
そこには ある ときから
にんげん が
けもの の そばに いました
そして けもの も
にんげんの そばに いたのです
あるひ にんげんは いいました
きみに いろを とってきて あげるよ
このひ から にんげんは
とおい とおい たびに でたのです
けもの は ひとり
やみの なかに いました
にんげんは ぽつり ぽつり と
けもの の ところに きては
もってきた もの を
けもの に さしだしました
「この いろが わかる かい」
といいながら
がらすの たま
いろの ついている えんぴつ
みず の はいった びん
むかしの はなし が かいてある ほん
ほんとうに いろいろな ものを
けもの の もとへ もってきては
いろ が みえないと わかると
そうか と わらいながら
べつの ものを さがしに
あかるい ところに でかけて いきました
けもの は ひとり まっていました
ひとりで まっていました
にんげんが かえって くるのを
にんげんが かえって くるのを
にんげんが かえって くるのを
にんげんが かえって くるのを
ひとり ひとり まっていました
にんげんが おいて いった ものを ながめ
かえってくるのを まっていました
あるひ にんげんが
けもの の そばに いるときに
いいました
「このまえ ある おんなのこ から
いろ を すべて とじこめた
まほうの え が あるんだって
こんどは それを もってくるよ」
けもの は ただ ひとこと
「ソウカ」
と へんじを しました
そして にんげんは
「いってきます」
と あかるい ところに でかけて いきました
けものは ひとり
にんげんが かえって くるのを まちます
かえってくるのを まちます
かえってくるのを まちます
かえってくるのを まちます
かえってくるのを まちます
かえってくるのを まちます
かえってくるのを まちます
かえってくるのを まちます
ひとり きり で まちます
かえってくるのを まちます
かえってくるのを まちます
ひとり まちます
ひとり まっていました
いつものように にんげんは かえってきました
しかし いつもと ちがう ところが あったのです
けもの が わかる ゆいいつの いろで
からだ が そまって いたのです
にんげん の むねには
ひとつの えが にぎられて いました
けもの の すがた を みつけると
にんげんは にっこりと わらって
いつものように いいました
「この いろは みえるかい」
けもの は こたえました
「ミエル」
それに にんげんは
「そうか よかった」
と わらい うごかなく なりました
けもの は にんげんの もっていた
え を みました
その え には
にんげん が
あか と いっていた いろ
あお と いっていた いろ
それと しろ と くろ で
いろ が ぬられて いました
けもの は え を
ふかい ふかい ねむりに ついた
にんげん の よこ に
おきました
「コレ ガ ココロ ガ イタイ ト イウ コトカ」
けもの は また
くらい くらい やみのなかで
ひとり に なりました
くらく まっくらな やみの なかで
それは
まっくら な まっくら な
やみ の なか での おはなし
おしまい