表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/44

第15話 未曾有の恐怖

誤って第14話を昨日連投してしまい、焦って予約変更したら予約解除してしまいました。

復旧に時間がかかってしまい申し訳ありません。

引き続き第15話をお楽しみ下さい!

 大陸は、未曾有の恐怖に包まれていた。


 ミレニアム共和国、ドラン帝国、そしてリレトス聖教法国、シェード公国、アーク王国。国境を越え、歴史を影から操ってきた闇の巨大ネットワークが、わずか四日間で『蒸発』したのである。


 各国の捜査機関が目にしたのは、あまりに異常な光景だった。


 血の海ではない。死体の山でもない。あるのは、かつてそこに存在したはずの建物や人間が、何も無かったかのように存在しない「空間」だけだった。


【サイド:ミレニアム共和国】


 共和制を敷くこの国では、ダルメッシュ子爵家を含む有力貴族十二家が、当主から使用人に至るまで一夜にして消失した。


 唯一の生存者は、子爵邸で下働きをしていた数名の平民だけだった。彼らは一様に虚空を見つめ、震える声でこう繰り返した。


「裁きの炎が……白銀の炎が、旦那様たちの『中』から溢れ出したんです。あの方たちは、自分が犯した罪の名前を叫びながら、光の中に消えていきました」


「女神様の声は聞きました。鈴を転がした様な神秘的な声でした」


「そこにいるはずなのに、ぽっかりと記憶から抜け落ちてるんです!」


 共和国議会は緊急招集されたが、犯人を特定する手がかりは皆無だった。


 現場に争った形跡はなく、魔法の残留波形すら、エリスの『存在隠蔽術式』によって完全に洗浄されていた。


「これは、国家間の工作ではない。……神罰だ」


 議長が漏らしたその言葉は、瞬く間に市民の間へ広まり、汚職に手を染めていた貴族たちは自らの『魂』が焼かれる幻影に怯え、次々と隠居を宣言した。


【サイド:ドラン帝国】


 皇帝直属の軍警察が派遣されたが、彼らもまた立ち尽くすしかなかった。


 帝国全土に根を張っていた闇ギルド『黒い蛇』のアジト百か所が、同時に壊滅。


 残されていたのは、略奪された金貨の代わりに置かれた『救われなかった命の数』と同じ数の、泥で作られた粗末な人形だけだった。


「犯人は、転移魔法の使い手である可能性が高い。だが、百か所を同時に、これほど完璧に消し去るなど、一個師団の魔導師団でも不可能だ」


 帝国の情報部は、隣国ミレニアムの関与を疑ったが、数日後には同様に組織と関係した貴族家が消滅したことで否定された。


 そのため、サリウス領などという新興の、かつ小規模な伯爵領に視線が向くことはなかった。


 なぜなら、その地は『魔獣氾濫の地』として、中央からは完全に軽視されていたからだ。


 しかし、ミユラー宰相代理は怪しく微笑む…


【サイド:リレトス聖教法国】


 最も混乱に陥ったのは聖教会であった。


 違法奴隷を買い取り、裏で人体実験や非人道的な儀式を行っていた高官たちの屋敷が、聖都の目と鼻の先で消失たのである。


 そして、黒髪の『忌みカレン』を買った聖教会も、支援していた組織と共に貴族家の消滅により、『忌み子』の行方が分からなくなったのである。


「女神オフィリアの御前で、このような不浄が起きるとは! 異端だ、これは邪神の仕業に違いない!」


 聖教国の枢機卿たちは叫んだが、その心底は恐怖で凍りついていた。


 白銀の炎――それは、彼らが経典の中で語り継いできた『女神の浄化』の一節の描写に酷似していたからだ。


 もしこれが神の怒りであるならば、裁かれているのは違法奴隷を匿う者ではなく、自分たち自身ではないのか?


 彼らはこの事件を『邪神による神隠し』と断じ、情報の隠蔽を図ったが、全国の現場から救い出された五百名以上の違法奴隷となった犠牲者が一人も国内外で見つからないという事実に、底知れぬ無力感を感じていた。


 しかし、諦めきれない者が一人いた。バロウ大司教だ。この決断が運命の分岐点と気付かぬままに…。


【サイド:アーク王国】

 他国に比べれば、消された貴族家は数家に留まったものの、不可思議な闇の組織の殲滅劇は十中八九、元妻と元娘が関わっていると確信を抱く者と、同じく、元妻と元娘と元孫娘が関わっていると確信を持つ者がいた。


「……おい、侯爵。たったの四日間で大陸の闇組織を壊滅したぞ……何をしてアイツらはあ奴らの逆鱗に触れたのだ…」


「わからんが…逆鱗に触れれば、同じく浄化の炎に焼かれるのは理解した。もう、ミモラに求婚しないことにする……。」


「そ、そ、そうだな……私もテティアに求婚しないでおこう……。」


 二人の男がこの一件で完全に折れたのだった。


【サイド:シェード公国】

 ミテラン公王とスバル宰相とクラウザード公爵の三人が、突然消えた貴族数家と公都と国内の街で発生した屋敷と人の『神隠し』について、話し合っていた。


「他国では、新たな神が降臨して、心に澱みのある者を、人の業(罪のカルマ)に従って、白銀のに炎に焼かれて消滅したと言われておる…」


「それは、事実なのですか?」


「わからぬ…しかし、我が国の被害箇所は、我々が把握していた、『ダークスネーク(黒の蛇)』のアジトとその組織に加担していると思われた貴族家達だ…まったく関係無いとも言い切れん。」


 こうして、シェード公国は、神の逆鱗に触れぬように、一層閉鎖的な国となっていった。


「闇の蛇が壊滅したか!なら、今から俺が、この大陸の覇者となろうぞ!神がなんぞ!欺き通してやるわ!クッハハハハ〜!」


 その瞬間、男は白銀の炎にに包まれ、罪を叫びながら消滅した。エリスが未来の巨悪の目を摘むための楔の効果だった。


 ミモラとテティアが残してしまった汚点も神の眼から逃れられない…


【サイド:サリウス領】


 世界が『神隠し』の犯人を探して血眼になっている頃、当のサリウス領は、驚くほど静かな熱気に満ちていた。


「さあ、カレン。今日はスープに野菜をたくさん入れたわよ。ゆっくり食べてね」


 テティアは、別邸を改装した施設で、カレンの細い肩を抱き寄せた。


 カレンはまだ言葉を多くは発さない。


 だが、彼女の瞳には微かな光が戻り、テティアがそばにいる時だけは、安らかな寝息を立てるようになっていた。


 エリスは、そんな二人をテラスから眺めていた。


 彼女はすでに、大陸すべての重要拠点に『因果の楔』を打ち込み、自分たちへの追跡を魔法的に偏向させていた。そして、同じ過ちを侵さないように悪意の芽を監視するための楔も五国に打ち込んだ。


『母上、五国とも右往左往しておる。……犯人は「神の怒り」ということで決着しそうじゃ』


 テティアは微笑みながら、エリスの分のお菓子を皿に乗せた。


「でも、お母様ミモラが言っていたわ。この『神隠し』で救われた五百人の人たちとそれを一緒に介助した領民が、いずれ私たちの最大の味方になるって」


『そうじゃな』


 エリスの黄金の瞳が、沈みゆく夕日に光る。不穏分子が未だ大陸に存在するように。


 五国が『犯人』を空の向こう側に探している間に、サリウスの地では、決して裏切ることのない新たな領民が静かに癒やし、育ちつつあった。


 世界を敵に回してでも愛を貫く親子と、その愛を全肯定する家族。


 二人を祝うように、サリウスの風は優しく、そしてどこまでも清らかだった。

いつも読んでくれてありがとうなのじゃ!


何をそんなに慌てる必要があるのかのぅ?悪は必ず滅びるのじゃ!魂も浄化されて冥王も喜んでおるのじゃ!


「冥王様ーー大変です!現世から溢れんばかりの魂が殺到してきています」

「な?何だと!?魔王がまた天使共に煽られたのか!?」

「いいえ!魔王様は既に復活され、魔界に籠もったままです!」

「な、なら一体何が……」

 冥界は突然降って湧いた魂の処理に大慌てとなり、騒然となりつつ処理に追われたのだった。


応援してくれる読者の為に妾は頑張るからのう!

いよいよ次は新章が始まるでのぅ、楽しんでくれたら嬉しいのじゃ!


(*´ω`*)/応援これからも頼むのじゃ⭐

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ