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第7妾 力の秘密

 魔赤竜討伐の熱狂が冷めやらぬ中、騎士たちは手際よく巨躯を解体し、素材の回収に当たっていた。


 ミモラの専属侍女に返り咲いたシルビアの指揮のもと、メイドたちは手早く『竜肉』の処理を進め、野営地には食欲をそそる香りが漂い始める。


 誰もが笑顔で、各々の役割を全うしていた。その背景には『信仰』に近い新たな領主一家への信頼と忠義だった


 だが、その喧騒から離れた場所で、楽しげに家臣と笑い合うテティアとメアリーをミモラは後ろ姿を凝視していた。


(今の魔法……宮廷魔術師を遥かに凌ぐ練度。しかも、すべてが無詠唱だったわ)


 ミモラは意を決し、エリスをあやすテティアに歩み寄った。


「テティア……さっきの魔法について、説明してもらえるかしら?」


 母の射貫くような眼差しに、テティアは身体を強張らせた。


 隠し通すには、先ほど見せた『神業』はあまりに巨大すぎたのだ。


 テティアは覚悟を決め、ミモラとシルビア、そしてメアリーを連れて森の奥へと移動した。


「……お母様、シルビア、メアリー、大事なお話があります。誰にも、決して漏らさぬと誓って下さい。」


「ええ、分かったわ」

「「はい、誓って」」


 テティアが軽く手を振ると、無詠唱で『遮音結界』が展開され、周囲の音を遮断する。


 さらに土創造術式によって、四脚の石の椅子と円卓が瞬時に出現した。


「少々時間がかかるので、立ち話ではなんですので、この椅子に座ってお話しましょうか」


「「「…………」」」


 その光景だけで、ミモラたちは息を呑む。もはや、既存の魔法体系を無視した所業だった。


──テティアは語り始めた。


「……信じがたいことですが。この子こそが、闇の女神の化身なのです」


「「「………」」」


 夢に現れた闇の女神、この世界の真なる創造主のこと。


 自身に授けられた『聖母』の称号と加護の紋章。


 山賊を灰にした一撃も、聖教国の上空で起きた未曾有の爆発も、すべてはこの腕に抱かれたエリスディーテが成したことであると。


 静寂が、森を支配した。


 三人は半信半疑のまま、テティアと赤子を交互に見つめる。


 沈黙を破ったのはミモラだった。


「…私は、娘を信じるわ。実は……」


 彼女は、元夫たちが密談していた『山賊撃退の真実』について語り、いかにエリスの力が人間離れしていたかを裏付けた。


 アーレス公爵家からの出奔……それは、人としてではなく「神の怒り」から逃れるための必然だったのだと、メアリーは戦慄しながら理解した。


 もしも、テティア様があのまま虐げられていたら…


 もしも、エリスお嬢様の命が狙われ続けていたら…


 そんなもしもを考えたら、メアリーは想像するだけで身震いが止まらなかった。


──亡命前の宿屋での静寂の意味を理解した


 テティアは、クーファンからエリスを抱き上げ、愛おしそうに頬を寄せた。


(……エリス。この三人は私たちの家族よ。信頼できる、味方なの)


 母の想いを受け取り、エリスディーテはゆっくりと目を開けた。


 その瞳は赤子の無垢なものではなく、星々の運行を知り尽くした『神』の理知を宿していた。


 エリスは三人の意識に、直接その『声』を響かせた。


『ミモラおばあちゃま。シルビア。そしてメアリー。……今、お母様が語ったことは、すべて真実じゃ』


「「「っ!!!???」」」


「妾が、この世界の創造主である。闇の女神──今は母テティアの娘のエリスディーテじゃ」


 驚愕のあまり、三人は声を失い、口をあんぐりと開けて固まった。


 赤子の小さな唇は動いていない。だが、頭の中に響く威厳に満ちた、それでいてどこか幼さを残したその声。


 三人の視線が、一斉にエリスディーテという名の『幼き神』に釘付けになった。

いつも読んでくれて難有いのじゃ!


とうとう、妾とお母様の秘密がバレたのじゃ!?これは、腹を括るしかないのぅ。

次は、妾の謎が少しずつ明らかになるかものう。


応援してくれる読者の為に…妾は…

妾は…張り切って頑張るからのう!


(*´ω`*)/応援これからも頼むのじゃ⭐

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