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勇者2号  作者: ドネルケバブ佐藤


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9/13

勇者1号

真実へと

荒野は、想像以上に酷かった。


地面は焼け焦げ、木は一本も生えていない。


所々に死体が転がっていた。


兵士の死体、民間人の死体。


腐敗して、悪臭を放っている。


俺は吐き気を堪えながら歩き続けた。


これが、戦争の真実だ。


これが、勇者が作り出した世界だ。


やがて、遠くに城が見えてきた。


黒い城。尖塔が天を突き、周囲には高い壁が聳えている。


魔王城。


いや、違う。


あれは、ただの城だ。


人間が住む、普通の城。


俺は城に向かって歩き続けた。


### 7


城の門の前に、兵士たちが立っていた。


彼らは俺を見ると、剣を構えた。


「勇者が来たぞ!」


「迎撃しろ!」


だが、俺は剣を鞘に収めたまま、前に進んだ。


「戦わない。話がしたい」


「何?」


兵士たちは戸惑った。


「魔王に会わせてくれ」


「馬鹿な……お前は勇者だぞ。魔王を殺しに来たんだろう」


「違う。真実を知りに来た」


兵士たちは顔を見合わせた。


やがて、一人の兵士が城の中へ走っていった。


しばらくして、戻ってきた。


「魔王様が、お前に会うと仰っている」


「本当か?」


「ああ。武器を置いて、ついて来い」


俺は聖剣を地面に置いた。


もう、必要ない。


兵士に導かれ、俺は城の中へ入った。


### 8


城の内部は、予想外に普通だった。


豪華な装飾も、不気味な雰囲気もない。


ただの、城だった。


廊下を歩きながら、兵士に聞いた。


「なあ、魔王ってどんな人なんだ?」


兵士は苦笑した。


「魔王なんていないよ」


「え?」


「あそこにいるのは、ただの老人だ。この国の象徴みたいなものさ」


「じゃあ、なんで魔王と呼ばれてるんだ?」


「あんたたちがそう呼んでるからだよ」


兵士は肩をすくめた。


「戦争ってのは、敵に名前をつけないと成立しないからね」


俺は言葉を失った。


やがて、大きな扉の前にたどり着いた。


「ここだ。入れ」


兵士は扉を開けた。


俺は深呼吸をして、中へ入った。


### 9


部屋の奥に、一人の老人がいた。


いや、老人というより、病人といったほうが正しいかもしれない。


彼はベッドに横たわり、無数の管に繋がれていた。


機械が規則的な音を立てている。


生命維持装置だ。


「よく来たな、勇者」


老人が言った。その声は弱々しかった。


「お前は……」


俺は老人の顔を見て、凍りついた。


その顔は、俺の顔だった。


いや、違う。


俺が年を取ったら、こんな顔になるのかもしれない。


「驚いたか?無理もない。私とお前は、同じ存在だからな」


「同じ……?」


「ああ。私は勇者1号。お前の前任者だ」


勇者1号


「座れ。話をしよう」


老人は隣の椅子を指した。


俺は座った。


「お前は、真実を知りたいのだろう?」


「ああ」


「なら、全て話してやる。この茶番の全てを」


老人は咳き込んだ。


機械の音が一瞬乱れた。


「まず、お前が知るべきことは……この戦争は、茶番だということだ」


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