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勇者2号  作者: ドネルケバブ佐藤


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2/13

疑念

最終回まで読んだら最悪な気分になる可能性があります。

### 6


翌日、俺たちは東の村に到着した。


村は小さく、のどかな場所だった。畑が広がり、家々が並び、人々が穏やかに暮らしている。


「勇者様がいらっしゃった!」


村人たちが俺たちを囲んだ。みんな笑顔で、歓迎してくれる。


「ようこそ、勇者様」


村長らしき老人が前に出てきた。


「この村は先日、魔物の襲撃を受けましてね。多くの者が傷つき、家も焼かれました。勇者様が来てくださって、本当に心強いです」


「魔物の襲撃?」


「ええ、オークの群れです。夜中に突然現れて、村を荒らしていきました」


オーク。ゴブリンより大きく、凶暴な魔物だ。


「今はどこに?」


「北の森に潜んでいるようです。このままでは、また襲ってくるかもしれません」


「わかりました。俺たちが討伐します」


俺は力強く頷いた。村人たちを守る。それが勇者の役目だ。


「ありがとうございます、勇者様」


村長は深々と頭を下げた。


### 7


北の森は薄暗く、不気味な雰囲気が漂っていた。木々が密集し、太陽の光がほとんど届かない。


「気をつけろ、みんな。オークは知能が高い。罠を仕掛けてくるかもしれない」


リオンが警戒しながら言った。


俺たちは慎重に森を進んだ。足元に注意し、周囲を警戒する。


やがて、開けた場所に出た。そこには、数体のオークがいた。


巨大な体、筋肉質の腕、鋭い牙。恐ろしい姿だ。


「いたぞ」


ガルドが盾を構えた。


オークたちは俺たちに気づき、雄叫びを上げた。


「グオオオオオ!」


その声は、まるで人間の雄たけびのようにも聞こえた。


「行くぞ、みんな」


俺は聖剣を構えて突撃した。


オークが斧を振り下ろしてきた。俺はそれを剣で受け止め、弾き返す。そして、反撃。剣がオークの腹に突き刺さった。


「グアアアア!」


オークが倒れた。だが、その顔を見た瞬間、俺は凍りついた。


オークの顔が、一瞬、人間の顔に見えたのだ。


苦痛に歪んだ、中年男性の顔。


「ルーク、後ろ!」


リオンの声で我に返った。振り向くと、別のオークが襲いかかってきた。


俺は反射的に剣を振るった。オークの首が飛んだ。


血が飛び散る。その血は、赤かった。


いや、魔物の血は黒いはずだ。なぜ赤い?


「ルーク、しっかりしろ!」


リオンが俺の腕を掴んだ。


「あ、ああ……」


俺は頭を振った。何を考えているんだ。魔物は魔物。人間じゃない。


戦闘は続いた。エレナの矢、セリアの魔法、ガルドの盾、マルコの回復。みんなの連携で、次々とオークが倒れていく。


そして最後の一体。


俺は聖剣を振り上げた。


だが、その瞬間、オークが叫んだ。


「たすけ……て……」


その声は、確かに人間の言葉だった。


俺は動けなくなった。


「ルーク!」


リオンが俺を突き飛ばした。オークの斧が、俺がいた場所を通過する。


リオンは素早くナイフを抜き、オークの喉を切り裂いた。


オークは倒れ、動かなくなった。


「大丈夫か、ルーク」


リオンが心配そうに俺を見た。


「ああ、ごめん。ちょっとボーッとしてた」


「疲れてるんだ。無理するな」


リオンは優しく言った。


だが、その目は恐怖に満ちていた。


### 8


村に戻ると、村人たちは大喜びだった。


「やりましたね、勇者様!」


「これで安心して暮らせます!」


みんなが俺を讃える。俺は笑顔を作ったが、心は重かった。


その夜、俺は一人で考え込んでいた。


あの声は何だったのか。オークが「助けて」と言った気がした。そして、あの顔。人間の顔。


いや、幻覚だ。疲れているんだ。


「ルーク」


リオンが部屋に入ってきた。


「ああ、リオン」


「今日の戦い、お疲れ様」


リオンは俺の隣に座った。


「なあ、リオン」


「ん?」


「俺、さっき変なもの見た気がするんだ」


「変なもの?」


「オークが、人間の顔をしてた気がして……」


リオンの表情が強張った。


「気のせいだよ」


「でも……」


「ルーク、お前は疲れてるんだ。魔物は魔物。人間じゃない。そんなこと、あるわけないだろ」


リオンは強い口調で言った。


「そう、だよな」


「ああ。今日はもう寝ろ。明日も旅は続くんだから」


リオンは立ち上がった。


「リオン」


「なに?」


「お前、何か隠してないか?」


リオンは背を向けたまま、動かなかった。


「隠してることなんて、ないよ」


その声は震えていた。


「本当に?」


「ああ、本当だ。おやすみ、ルーク」


リオンは部屋を出ていった。


俺は一人、暗闇の中で考え続けた。


何かがおかしい。世界が、仲間が、そして自分自身が。


だが、それが何なのか、まだわからない。



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