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勇者2号  作者: ドネルケバブ佐藤


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13/13

最終回

終わり

### 11


数日後、俺は王都を出た。


民衆は俺を引き止めようとしたが、俺は断った。


「俺には、やるべきことがある」


「どこへ行かれるのですか?」


「旅に出る。俺が殺した人々の墓を、一つ一つ訪れる」


「そんな……」


「これが、俺の贖罪だ」


俺は王都を後にした。


一人で、旅に出た。


リオンの遺書と、聖剣を持って。


剣はもう、人を斬るためじゃない。


墓標を作るために使う。


### 12


旅の途中、俺は様々な場所を訪れた。


かつて俺が襲った村、町、集落。


そこで死者の名を聞き、墓を作った。


時には罵られ、石を投げられた。


だが、俺は受け入れた。


それが、俺の罪だから。


そして、ある日、俺は一つの墓の前に立った。


「リオン」


墓標に刻まれた名前。


「お前の墓、やっと見つけたよ」


俺は墓の前に座った。


「なあ、リオン。俺、頑張ってるよ」


風が吹いた。


「人間として、生きてる。まだ、完璧じゃないけど」


木々が揺れた。


「でも、お前のおかげだ。お前が教えてくれたから」


涙が流れた。


「ありがとう、リオン。俺の親友」


俺は長い時間、そこに座っていた。


### 13


それから、さらに数ヶ月が経った。


俺は相変わらず旅を続けていた。


ある日、俺は北の砦の跡地を訪れた。


あの、激戦があった場所。


リオンが死んだ場所。


そこには、もう何も残っていなかった。


ただ、荒れ果てた大地があるだけ。


俺はそこに立ち、周りを見渡した。


かつて、ここで何百人も死んだ。


俺が殺した人々。


「全部、茶番だったんだな」


俺は呟いた。


「俺の戦いも、俺の正義も、全部嘘だった」


そして、俺は笑い出した。


最初は小さく、やがて大きく。


「あはは……あはははは……」


止まらなかった。


涙を流しながら、笑い続けた。


「なんて、馬鹿らしい……」


「なんて、滑稽な……」


全てが、あまりにも馬鹿らしかった。


国家の陰謀。


武器の消費。


勇者という名の兵器。


魔王という名の囚人。


友の死。


全部、全部、茶番だった。


「あははははは!」


俺は地面に座り込んで、笑い続けた。


怒りでもない。


悲しみでもない。


ただ、この世界の滑稽さに、俺は笑うしかなかった。


### 14


どれくらい笑っていたのか、わからない。


やがて、笑い声は止まった。


俺はそこに座り込んだまま、空を見上げた。


夕日が沈んでいく。


赤く、美しい夕日。


「なあ、リオン」


俺は呟いた。


「俺、これからどうすればいいんだろうな」


答えは返ってこない。


「でも、まあ、とりあえず生きるよ」


俺は立ち上がった。


「人間として、な」


そして、再び歩き始めた。


どこへ行くのかわからない。


でも、歩き続ける。


それが、生きるということだから。


空から、通信機の音が聞こえた気がした。


いや、幻聴だ。


もう、司令部なんて存在しない。


だが、脳裏に言葉が浮かんだ。


『任務完了。よくやった、勇者よ』


「ふざけるな」


俺は呟いた。


「俺は、もう勇者じゃない」


そして、笑った。


また、笑い出した。


「あはは……あははははは……」


狂ったような笑い声が、荒野に木霊した。


夕日が沈み、闇が訪れる。


だが、俺は笑い続けた。


この狂った世界に。


この滑稽な人生に。


そして、それでも生きていく自分に。


「あはははははは……」


笑い声だけが、夜の闇に響き続けた。


---



---


**【勇者2号 完】**

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