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勇者2号  作者: ドネルケバブ佐藤


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12/13

終焉

### 7


部屋の奥に、王が座っていた。


だが、王は一人ではなかった。


周りには大臣たち、そして軍の上層部がいた。


「よく来たな、勇者2号」


王が言った。


「いや、ルークと言ったか」


王は冷たく笑った。


「この戦争が茶番だということも、勇者が生体兵器だということも」


俺は拳を握りしめた。


「なら、なぜこんなことを」


「必要だからだ」


一人の大臣が言った。


「我が国は武器産業で成り立っている。だが、平和な時代に武器は売れない」


「だから、戦争を作った」


別の大臣が続けた。


「敵国と協定を結び、定期的に戦争を行う。そうすれば、武器は消費され、経済は回る」


「狂ってる……」


「狂ってなどいない。合理的な判断だ」


軍の将軍が言った。


「戦死者は必要経費だ。彼らの犠牲の上に、国家の繁栄がある」


「ふざけるな!」


俺は叫んだ。


「人の命を何だと思っている!」


「資源だよ」


王が冷たく言った。


「国家を維持するための、資源だ」


「くそっ……」


俺は剣を抜いた。


「この真実を、世界に伝える」


「無駄だ」


王は笑った。


「誰が信じる?お前は薬で狂った殺人鬼だ。お前の言葉など、誰も信じない」


「そんな……」


「それに、お前を生かしておくわけにもいかない」


王が合図をすると、部屋の周りから兵士たちが現れた。


数十人。全員が武器を構えている。


「さあ、死ね。そして、次の勇者3号が生まれる」


「勇者3号……」


「ああ。このシステムは永遠に続く。勇者は作られ、利用され、使い捨てられる」


王は勝ち誇ったように笑った。


「それが、我々の世界だ」


### 8


俺は包囲されていた。


逃げ場はない。


剣一本で、数十人の兵士には勝てない。


「くそ……くそ……」


これで、終わりか。


リオンの願いも、勇者1号の遺志も、全て無駄だったのか。


いや、違う。


まだ、できることがある。


俺はポケットからリオンの遺書を取り出した。


破れて、血で汚れた遺書。


「リオン……お前は言ったな。人間として生きろと」


俺は遺書を握りしめた。


「なら、俺は人間として死ぬ」


俺は剣を地面に突き立てた。


「殺せ。だが、俺は抵抗しない」


「何?」


王が戸惑った。


「俺はもう、誰も殺さない。殺すのも、殺されるのも拒否する」


俺は目を閉じた。


「これが、俺の答えだ」


静寂が流れた。


やがて、王が言った。


「撃て」


銃声が響いた。


### 9


だが、弾は俺に当たらなかった。


目を開けると、兵士たちが銃を下ろしていた。


「なぜ撃たない!」


王が叫んだ。


「撃てと言っている!」


だが、兵士たちは動かなかった。


「俺たちは……もう嫌なんです」


一人の兵士が言った。


「人を殺すのも、命令に従うのも」


「黙れ!お前たちは兵士だ!命令に従え!」


「いいえ」


別の兵士が言った。


「俺たちは人間です」


次々と、兵士たちが武器を地面に置き始めた。


「何をしている!反逆か!」


王が叫んだ。


だが、兵士たちは俺の周りに集まってきた。


「勇者様……いや、ルーク」


一人の兵士が俺に言った。


「あなたが教えてくれました。人間として生きることを」


「俺が……?」


「ええ。あなたが武器を捨て、殺すことを拒否した姿を見て、俺たちも気づいたんです」


「もう、誰かの道具として生きたくない」


「俺たちは、人間だ」


兵士たちの目には、決意が宿っていた。


「くそ……くそ……」


王は玉座から立ち上がった。


「貴様ら、全員処刑だ!」


だが、その時、謁見の間の扉が開いた。


そこには、大勢の民衆がいた。


「民衆まで……何故ここに……」


「あなたたちの会話、全部聞こえていましたよ」


一人の老人が前に出てきた。


「この城の壁は薄い。王の声も、大臣の声も、全部外に漏れていた」


「嘘だ……」


「戦争が茶番だったこと、私たちの家族が無駄に死んでいたこと、全部わかりました」


老人は王を睨んだ。


「もう、終わりです。この狂った支配は」


民衆がどっと押し寄せてきた。


王と大臣たちは、兵士たちに取り押さえられた。


### 10


全てが終わった。


王は退位し、大臣たちは逮捕された。


戦争は終結した。


敵国にも真実が伝わり、向こうの指導者たちも追放された。


平和が訪れた。


だが、俺の心は晴れなかった。


俺は王城のバルコニーに立っていた。


下には、歓喜する民衆がいる。


「ルーク様!」


「勇者様!」


彼らは俺を称えている。


だが、俺は勇者なんかじゃない。


ただの殺人鬼だ。


何百人も殺した、罪人だ。


「なあ、リオン」


俺は空を見上げた。


「俺は、人間として生きられたか?」


答えは返ってこない。


「俺は……これからどうすればいい?」


そんなことを考えていると、背後から声がした。


「ルーク」


振り返ると、あの老婆がいた。


息子を俺に殺された、あの老婆。


「あなたは、よくやったよ」


老婆は優しく笑った。


「世界を救った」


「救ってなんか……俺は、ただ……」


「わかってる。あんたは苦しんでる」


老婆は俺の手を握った。


「でもね、苦しむことが大切なんだよ。それが、人間ってことだから」


「人間……」


「あんたは、もう兵器じゃない。ちゃんと、人間だよ」


老婆の言葉が、心に染みた。


「ありがとう……ございます」


俺は涙を流した。


老婆は俺の頭を撫でてくれた。


まるで、母親のように。


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