朝の一幕
カーテンの僅かな隙間から差し込む光で目が覚める。こういう自然に起きる朝は心地良い―――
「!?」
俺は目の前にある美少女の寝顔に驚くが、何とか
声を堪える。そいえば昨日同じベッドで寝たな。
少しずつ冷静になってくると、俺は右腕の痺れに悶えそうになった。そりゃ寝てる間ずっと腕枕だったから当然ではあるが、あまりの痺れに俺はそっと
メルの頭を枕に載せる。
《スキル 麻痺耐性を獲得しました》
「それで良いのかそれで」
俺は自身のスキルに小声でツッコミを入れる。するとベッドの方から毛布の擦れる音が聞こえてきた。
「おはよう。悪い、起こしたか?」
「おはよう。ううん、寧ろ起こしてくれてありがとう。こんなにぐっすり眠れたのは本当に久しぶり」
「そっか、なら良かった。取り敢えず食堂に行きたいが...」
「?」
俺はメルを下から上から下まで見渡す。
「昨日は特に思わなかったが、その服で外に出る
のは...」
そう、メルはボロい大人用のシャツを1枚纏って
いるだけなのだ。しかも所々破れている。スラム
とかでは普通だったが、街の往来を歩くなら少し、いやかなり浮くだろう。俺は一先ず自分の寝巻き...
特に柄の無い白いの大きいシャツを渡して、自分は
いつもの服を着ることにした。
「ゆーたの匂いがする...」
「すまん、臭かったか?」
「嫌、凄く良い匂い」
朝から攻撃力が高過ぎる....
「よ、よし。食堂に行くか」
「ん」
◇
「いただきます」
「い、いただきます」
メルは俺の真似をするように辿々しく手を合わせる
。ちなみに今日の朝食はキャベツたっぷりのサラダとコッペパン、コーンスープだ。
「美味しい、美味しい、熱っ!」
メルは手でサラダを鷲掴みにして口に運び、パンを
齧り、コーンスープを1口、冷ましもせず
口に入れて悶える。
「はい、お水」
「ごくっごくっ..はぁ...ありがと」
俺はテーブルに置いてあった冷水をメルに渡し、
メルはそれを一気に飲み干す。
「大丈夫か?」
「ま、まだ少しベロが痛い」
そんなちょっとした事故がありながらも、俺たちは
朝食を食べ終える。
「ご馳走様でした」
「ご、ご馳走様でした」
「この後はギルドに行くつもりだけど、何か用事はあるか?」
「特に無い。私も付いてく」
「そうだ、メルも冒険者登録してみないか?」
「私が?」
「あぁ。そうすれば一緒に依頼を出来ると思うんだが、どうだ?」
「そーたと一緒....うん、私も登録する!」
「よし決まりだ!けど、その前に服を買いに行こうか」
大雑把な予定を決め、街へとくり出す。
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