信頼とデレ
「何で助けたか?」
「うん。今日会ったばっかで、特に見返りがある
訳でもない。なのに、碧は私を助けに来てくれた」
....成程、何故助けたか、か。確かにメルは今日
会ったばかりだし、助ければ金が貰えるわけでも
無い。だがしかし、それでも俺の体は動いた。
「理由.....そうだな、今日会ったばかりでも、俺はメルと生きたいって、そう思ったから。好きな奴を守る事に、大層な理由なんて要るかな?」
「すっ!?..いや、そういう意味じゃ無いもんな
...うん。でもそっか...好き..か。好きとか、そういうのはよく分からないけど、そーたに好きって言われると...凄く嬉しい」
メルははにかみながら、嬉しそうに言った。
「そーた....か」
名前久しぶりに呼ばれたな。俺はつい頬を緩めてしまう。
「名前、嫌だった?」
「嫌、久しぶりに呼ばれて驚いただけだ。嬉しかったよ」
「そっか、嬉しかったんだ。....そーた....んっ!」
俺は感極まってメルの頭を撫で回した。
「そーた...ふへへへ」
メルはとても心地良さそうに目を細め、声を漏らしながら頭を俺の手に擦り付ける。本当に可愛いな!
「なぁメル、もしも良ければ俺の泊まってる宿に
来ないか?今日あったばかりの奴...それも男に
付いていくのは不安だと思うが...」
「良いの....!?私は、そーたと一緒なら、嬉しい」
「よし、じゃあ行こうか」
俺は宿に向けて歩き出す。その時、メルが俺の横に
駆け寄ってきて、俺の手を握った。
「!?メ、メル?」
「そーたの手、暖かい」
メルはそう言うと、俺の腕に抱きついた。
やばい...全身が抱きしめたい衝動に駆られる。
俺は何とか理性を保ちながら、宿まで歩いていく。
....メルのデレが可愛過ぎる!!!




