表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鳥籠  作者: 望月翔華
記憶の中の少女
1/5

プロローグ

──小さい頃、よく遊びに行っていた館があった。


そこは蔦が絡み合う洋館で、不思議な雰囲気が大好きだった。


そこには、ある少女が一人いた。


「……──!」


私が名前を呼ぶと、少女は振り向いて……。

少し、寂しげな顔をする。


「……こんにちは。また、来てくれたのね」


これが、彼女の口癖だった。


☆─☆─☆


「……鳥さん」


館の主である少女は、窓枠に佇む小鳥に目を向ける。

そして小鳥をそっと両手で包む。


「……こんな所まで、どうしたの?」


小鳥は答えない。当たり前だ。小鳥が喋るわけないのだから。


「あなたは綺麗な翼を持っているのね」


少女は優しく翼を撫でる。

自由に飛び回れる翼。あぁ、なんで自分には綺麗で、自由に飛び回れる翼がないのだろう。


「その翼でここまで来たのでしょうけれど……もう、来てはだめよ。あなたにはもっと自由にこの世界を飛び回って欲しいもの。それに……」


両手で優しく包んでいた小鳥を少女は外に放す。

小鳥は遥か遠い空めがけて羽ばたいた。

そして、少女は窓を締めながらこう呟く。


「……この場所は、─────……鳥籠なのだから」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ