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「魔の子」ニュクスと「魔王の子」リアン

20歳になったばかりのニュクスは「魔の子」として多くの種族から命を狙われていた。

世界を滅ぼす存在として――


本人はだったら、同じようなのが生まれた時殺してる度になんで世界が悪くなるんだと思いながら家族と逃亡真っ最中。


囲まれ窮地に陥った時に、何者かが現れる――





 俺の名前はニュクス。

 20歳になったばかりだ。

 絶賛家族と逃亡中だ。

 何故かって?


 俺は殆どの国じゃ世界を滅ぼす「魔の子」で、生かしておけないんだとよ!!


 知らんわそんな事!!

 だったら「魔の子」を殺す度に何で世界がどんどん悪くなってんだよおかしいだろ!!


 と思うし、家族もそれに同意してくれるものの。

 俺の実の親父「聖王レオン」と聖王庁とかはそんなの考える脳みそなんてもっていないから世界が悪くなるのは全部俺の所為だと決めつけて俺を未だに殺そうとしている。


 正直、俺の為に追われる身になってる家族に心底申し訳ない。





「道は封じたぞ!! さぁ、自害すればお前以外は助けてやろう!!」

 先回りされたらしく、追手の一人が俺に向かって言うが、そんなの嘘だってわかってるので俺の言う言葉は――


「バーカ!! そんな嘘で騙されるかボケ!! 義父(とう)さん、母さんたちの守りは任せた」

「分かった頼んだぞ!!」

 俺の義理の父親であるパリスさん――義父さんはそう言って、剣を取った。

「無駄な真似――を゛?!」

 ぐちゃぐちゃしゃべる奴の顔面に拳のめり込めせて昏倒させると、何度も急所をミスリル製のナックルをつけた手で殴りつけ、色んな意味で戦えなくすると、次の相手を見る。

「ひっ!!」

 相手は逃げ出そうとしたが、逃げられると応援を呼ばれる、俺は即座に、ソイツにタックルをくらわし、ドカバキと殴りつけて気絶させる。

「見目に反してなんて野蛮なの!! 魔の子なだけあるわね!!」

「うるせぇ!! 見た目と種族でしか判断できない馬鹿に言われる筋合いはないわ!!」

 弓矢で俺を狙ったエルフの女の矢と掴んでへし折ると、ナックルを鉄製に変えて放たれる矢を、叩き落しながらエルフに近づき――

「おらぁ!!」

 顔面を容赦なく殴ってやる。

「やめて!! 顔は止めて!!」

 懇願するエルフに、俺は怒りにそまった顔と声で言う。

「俺だけでなく、家族を殺そうとしてる奴の願いなんざ誰が効くか」

 そう言って顔を重点的に殴ってやる。

 泡を吹いて動かなくなるころには、お綺麗な顔は見るも無残な状態に。


 余程の治癒魔法じゃないと治らないだろう。


 追手をぶちのめしてもぶちのめしても、この日は追手が次々とやってくる。

 このままでは埒が明かない。


「義父さん!! 母さんたちを連れて逃げろ!! 今なら馬車で逃げれるだろう!!」

「馬鹿言うな!! お前を置いていけるか!! そんな事したら親失格だ!!」

 困ったことに義父さんは俺の頼みをきいてくれなかった。


 だが、このままだと家族全員が危ないのは義父さんも分かっている。

 ではどうすればいいのか――



「たった二人に、よってたかって襲い掛かるとは、聖王庁と他の種族も落ちぶれたものだな」



 頭上から、澄んだ声が聞こえた。

 というかなんかあたりが暗くなった。

 上を見上げれば――


「は?」

「な、なんだ?!」

 噂で聞いたことのある、魔王の国のワイバーン軍が空を埋め尽くしていた。

 その様を見た追手たちは我先にと悲鳴を上げて逃げていった。


 追手が一人も居なくなると、一匹のワイバーンが降りてきてその背なかに乗っている存在が降りてきたー―


 人間じゃあり得ない程綺麗な男だった。


 白に近い金色の長い髪に、金色の目、雪のように白い肌。

 顔立ちなんかは其処らを歩くだけで女達がこぞって群がるような美しさ――女を蕩けさせるような美しさだった。


 それを見た俺の頭は、なんかすこしずきんと痛くなった。


――あれ、俺美形恐怖症だっけ?――


 なんてアホな事を考えているとソイツは俺に近づいてきた。

 酷く嬉しそうな顔で。


「祝福の子とそのご家族、貴方方が無事でよかったです」

「は?」

 ソイツの「祝福の子」なんて単語に俺は分からず周囲を見渡す。

「えっと、聖女って呼ばれた母さんのことか?」

「いいえ」

「じゃあ、俺の弟と妹か?」

「いいえ」

 ソイツは困ったように笑って俺の手を握った。

「貴方の事です」

「は?」


「はああああああああ?!?!」



「落ち着きましたか?」

「イチオウ……」

 ソイツが周囲をワイバーンに見張らせながら、俺達家族に言った事はこうだった。



 魔王の国と呼ばれる彼らの国も、創造神へスペリアを信仰している。

 そしてその国では他の国で「魔の子」と呼ばれる俺は「祝福の子」と呼ばれている。

 また、魔族と呼ばれる彼らはへスペリアからは「観察者」とも「裁定者」とも呼ばれる役目にあり、何度も他国に苦言を呈した結果、魔王の国、魔族だと呼ばれるようになったと。


 で、今回のこいつらの目的は――


 俺と、俺の家族を国で保護するために来たと。



 正直信じられない。

 だって、魔王って呼ばれている連中が言うんだから本当か――いや、本当なのは分かった。

 何となくだけども、俺に説明をしてくれた美丈夫の事が何故か信用できた。

 俺は。



「……うん、分かった。アンタ達の国へ行けばもう逃亡する必要はないんだろ?」

「ええ、国で貴方方を保護します、他の国から守り通しましょう」

「……それならいいか」

「ニュクス、大丈夫なのか?」

 困惑する義父さんに俺はこう答える。

「わかんないけど、この人……? いや、人なのか……とりあえずこの人……は信用できるんだ、なんでか分からないけど……」

「パリス、ニュクスがこういっているのだから信用しましょう?」

 軽く咳き込みながら母さんが言う。

「母さん」

 俺は母さんに駆け寄り背中をさする。


 母さんは色々あっていま体が病んでいる。



 妹が生まれて少し大きくなるまで、何とか隠れて過ごせた俺達は、ある日妹の跡をつけてきた奴に見つかって追われるようになった。

 いや、弟が生まれる少し前までも追われてたけど。


 平穏が壊され、追手を怖がる妹の世話をしつつ、俺達の怪我の手当をしているうちに心労がたたって体を壊してしまったのだ。


「……ニュクス(にぃ)、そいつら、本当に信用できるのか?」

「パリス!」

「うっせ、親父は黙ってろ」

「おい、ゼロス、父親にそれはないだろう。謝れ」

「……ゴメンナサイ」

 絶賛実父である義父さんに反抗期になっている俺の異父兄弟の弟であるゼロスは不貞腐れたようにいった。

 俺と母さんのいう事は聞いてくれるのに、どうして義父さんのいう事だけは聞いてくれないのか未だわからない。


 俺反抗期とかなかったからなぁ。


――いや、反抗期してる暇がなかったな……――


 そんなことを考えていると、俺の事をじっと見ているあの美丈夫が気になり声をかけてしまった。


「ところでアンタは?」

 そうたずねると、美丈夫は一瞬悲しげな顔をしてから、微笑んで口を開いた。

「リアンと申します。他の国からは魔王の子リアンと呼ばれています」


――え?――


「えええええええええええええ?!?!」


 まさか、王子様だとは、予想外だった俺は素っ頓狂な声を上げてしまった。


 そんな俺をを見てほほ笑む彼の表情が、どこか懐かしい気がしたのが酷く気になった。







ムーンライトノベルズで連載している「両性具有な祝福者と魔王の息子~壊れた二人~」の少しだけ違うお話です。

そちらを読んでいなくてもさくっと読める話になっているので読んでいただけると幸いです。


ただ、合わせて読むとちょっと悲しいかもしれません。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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