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49 意識の狭間

閉じた瞼に光を感じ手を眼前に持っていく。


私は確か...宴会が終わってすぐ藁のベッドで寝ていた筈...


そう、ベッドなのだ...ベッドとは寝そべって寝る寝具であり、今みたいに座って寝るものじゃない。


....目開けたくないなあ...


と、思っていても現状を把握しないわけにもいかないので、意を決し瞼をゆっくりと開けると...


「あ、やっと起きたわこいつ。おはよう。」


「お、おはよう...ございます...」


銀髪できつそうな性格が滲み出ている顔をしたロリっこが目の前に居た。


回りを目だけで見渡すと一面平原で何処なのかも検討がつかない。


「どこだここ?私は...どうなって...」


「ここは貴方の潜在意識下...つまりは夢の中よ。...あとその身体で私は止めなさい?気持ち悪いから。」


「え?....あれ、変身解けてる...何で...ていうかこれって夢なんですか?」


「そうよ。夢よ...限りなく現実に近い...夢よ。」


これはあれか...ゲームとかアニメにある意識と意識の狭間みたいな。


ってことはこのロリ重要人物なのか?


「その目何が言いたいのかしら?もしかして見た目の事かしら?」


「いえ!滅相もございません!」


めちゃめちゃ怖いこの人...絶対ロリっこと言わないでおこう。


「あのー、ところで何か用ですか?」


「当然でしょう?頭使いなさい。猿の方がまだましね....いえ、虫でも弁えてるかしら....ああ貴方それ以下なのね...ごめんなさい?」


「ぐふうっ....すいませんでした...」


「分かれば良いのよ。じゃあいちいち聞かないで頂戴ね?...これから話す内容はくれぐれも他言しないこと。」



「どうしてです?...はっ!ぶべっ....」


首が吹き飛ぶかと思う程のビンタをされてしまった。


「質問するなと言ったでしょう?」


「はい...」


ーーー。


「ってことなのよ。」


「ってことはなのよ...じゃないですよ!とんでもない事じゃ無いですかっ!」


「分かってるわ。落ち着きなさい。クソガキ。」


「クソガキ!?」


このロリ...もといファウストさんは実は元転生者で錬金術師で賢者の石を作った張本人だそうな。


しかもあのローブの女。


ロニーゼは元助手らしく、賢者の石そのものがファウストさんの気付かない内にロニーゼの精神を侵食し、操り人形にしてしまったらしい。


「何でそれを俺に?」


「この100年の間唯一対抗出来たのが貴方だから。...それとラケルタ少年を導けるのが貴方だから。」


「ラケルタくん?何で彼が関係するんだ?」


それが何なのか全く分からない。

ラケルタが賢者の石と関係あるとは到底思えないが。


「それは当然でしょう?ラケルタの魂には私達セブンスの魂があるからよ。ロニーゼに破れ去ってきた各世界の転生者のね。」


「はあ?各世界ってなんぞ?」


「そこから説明させるわけね。分かったわ。」


ぶつくさ文句を言いながら指をならすと黒板が現れた。

何でもありか、夢世界ってのは。


「まず貴方は世界は幾つあると思う?」


「えー?2つかなあ...そんなホイホイあるわけ...」


「ホイホイあるわよ?それこそ何億とね。」


はい。すいませんでした。


黒板を刺し棒でカンカンと叩くと文字が浮き出てきた。

日本語なので安心して読める。


「その中の7つの星があるわ。これを見て....」


「ぶっ壊れてるじゃないですか!何が...」


「確かに限界が来て崩壊する世界もあるけれどこれは違う...ロニーゼ...いえ、賢者の石がもたらしたものよ。」


世界を破壊するだって?どうやって...


それにしても7つの世界か...7?何処かで...


「あっ!もしかしてセブンスってこの滅んだ世界の人達ですか!...でもそれが何なんですか?」


「貴方本当にバカね。...はあ...」


溜め息を吐かれてしまった。すいません...


「だ、か、ら!私達がラケルタの魂の中に居るのよ!私達の魂を受け継ぐのがっ!」


「あ?..ああ?...ああああ!...転生の継承者!」


「そうよ。だから彼を導いて欲しいの。私達の力を今は断片的にしか使えないけれどいずれは私達を越える存在になるわ...いえ、なってもらわないと困るわ。」


つまりはラケルタはその内竜の力だけでなく、最低でも錬金術は使えるということだ。


「ですけど、それってどうやってるんですか?転生ってそんな何回も出来るんですか?」


「そんな訳無いでしょうが。これを見なさい。」


そう言いながら手の甲を見せてくるとそこには、青色の輝石が嵌め込まれていた。


「これは魂の継承石。初代が嵌めることで七回まで生まれ変わる時に魂が結合されるのよ。」


「はあ...そうです...か!?」


今聞き逃せないワードが聞こえた。


「今転生は七回って聞こえたんですけど。」


「ええ、そうよ?これがラストチャンスなのよ。よろしくね。魔法少女。」


「マジすか。」


「マジよ。」


荷が重すぎて胃がキリキリしてきた。


今までバカスカ殴って解決してきただけの俺には無謀すぎるだろうと。


「あのー...辞退したりは...」


出会って初めて笑顔を見せたがこんなに恐ろしい笑顔を見たことがない。


「駄目に決まってるでしょう?もし逃げたり密告してみなさい?貴方の記憶野を破壊して本物のバカにするわよ。」


「なあっ!!ひ、酷い...」


悪魔か何かかな?


やるしかないのはよく分かった。


そして理解もした...やってもやらなくても色んな意味で死ぬ事になるんならまだ立ち向かった方がましだと。


「うぅ...分かりましたよ...やるよ。やりますよ!やりゃあ良いんでしょう!?」


「ええ、よろしく。応援してあげるわ。感謝しなさい?」


もうやだこのドS...そういえば肝心な事を聞き忘れていたのを思い出した。


「そういえばロニーゼはどうやって世界を破壊するんですか?どうしてロニーゼは世界の破壊を....あれ...眠気が...」


いきなり強烈な睡魔に襲われ瞼が閉じかけている。

身体に力も入らず椅子から崩れ落ち、草原に横たわってしまった。


「もう起きる時間ね。もう...てるか...ないけど...おくわね...ロニ...が...壊す方法は........よ。....止めるには輝石が....時に....するしかないわ。....それと目的......それ....」


もう殆ど聞き取れない...絶対に重要な情報なのに睡魔に勝てずにいると何とか最後だけ聞き取れた。


「あれはただ喰らうだけよ...それじゃあお休みなさい。」


そこで意識が途切れた。


ーーー。


「う、ううん....」


藁の隙間から光が射し込み今度こそ本当に起きたのだと実感したがそれ以上に気持ちに押し潰されそうだった。


「...無理ゲーだわ。」


今この世界に置かれた状況に神様を恨みたくなった。何てとこに送りやがったんだ。

適当に転生させやがって...




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