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3 戦闘系アイドル見参!!

ギガントゴーレムの暴れまわる坑道は狭くは無いが、このままだと崩壊の恐れがある。

だがあの巨体に掠めでもしたら死に至る事は間違いないがこのまま此処に居たところで落盤で潰される可能性を考慮し、冒険者の一人が提案をした。


「ここから逃げた方がいいかもしれない。」


「何バカな事言ってんだ!ここから出たら死んでまうどっ!?」


「でもここにいても落盤で死ぬだけだ...それなら一か八か...」


冒険者パーティーのリーダー格らしき軽装の冒険者がそう告げると、皆一様に黙り込んだが、鉱員の中でも若手の男が手を挙げた。


「なら俺が最初に行く。体力と足には自信あるぞ。」


彼の言葉に誰もが唾を飲み


「分かってるのか?死ぬかもしれないんだぞ?」


と、鉱長だと思われる一番年齢が高い男がそう示談するが、若い男は首を横に振った。


「どっちみち死んじまうんなら生き残れる方にかけるぜ?脱出出来たら応援だって呼べる...」


「分かった...」


鉱長が若者の言葉に頷くと冒険者の一人にも頷き、その若者を隠れていた岩壁の入り口に当たる裂け目に誘導する。


彼がそこに到達すると、見張っていた冒険者がゴーレムの動きを見計らって合図を出した。


「今だ!!行けっ!」


「おうっ!」


だが若者が岩壁から飛び出した瞬間、反対側に向いていたゴーレムが突然振り向き右腕を振り上げていた。


「ひっ!!」


その巨躯に恐れ戦いた若者は足を止めてしまい、皆逃げろと叫ぶも恐怖で足が岩のように固まって動けずにいると。


「があああっっ!!」


と、何処から出しているか分からない雄叫びを上げ、腕を振り下ろした。

若者は無駄だと分かっていても頭をガードするように踞るが...一向に攻撃が来ない...不思議に思いゴーレムを見ると動きが止まり、坑道の入り口に首を回していた。


すると、坑道入り口から小石がゴーレムに向かって投げつけられていた。

その未だに投げつけている金髪の少女と呼ぶには大人びている女性が大口を空けて「こっちです、ゴーレム!!こちらへ来なさいっ!」と叫び通していた。


だが青年も彼女に向かって歩いていくゴーレムに安堵しながらも「なにしてんだ、あんた!さっさと逃げろよ!」そう叫びながらも見ている事しか出来ない。恐怖心が彼の身体を襲っているからだ。


ゴーレムの歩幅は大きく直ぐに女性の前に到達するとまたしても右腕を振り上げている様を見てその女性が涙ながらに叫び始める。


「イオンさーん!イオンさーん!あれ?イオンさん!?何処に居るんですか!ひっ!いやああ!死ぬうううっ!」


既に縮こまってしまいながら涙をポロポロ溢している女性の背後からあり得ない光景をその坑道にいた人間全てが目撃した。

女性の背後の壁を駆け抜けながら此方に向かってきていたサイドポニーの赤毛の少女を見たからか唖然としている。


そしてその少女が壁を蹴り、空中に身を投げ出すと。


「チェストオーーーっ!」


その掛け声と共にギガントゴーレムに飛び蹴りを喰らわすとその岩と鉄鉱石で出来た巨体を蹴り飛ばし、少なくとも20メートルはぶっ飛ばし、坑道が地震に見舞われたかの如く揺れ、少女は着地すると同時に...


「皆のアイドル、魔法少女イオンちゃん見参!!キランッ!お待たせ皆!!」


彼女はいきなりそう告げるとくるっとターンし、まるでギャルの様にピースをしていた。

今この状況に最も似つかわしくないその発言に全員が固まっていたが次第にざわつき出し始め


「い、イオンちゃん!?イオンちゃんだぞ!イオンちゃーん!!」


「もうこれで助かるぞ!なんたってルーミアの女神が降臨したんだからなっ!」


「いやいやイオンちゃんはアイドルだろ?まあ女神級の可愛さだが。」


「あははー。どうもどうも。」


イオンがその声援にお辞儀をしていると、背後からズズンと重々しい音が響き渡り、大胆不敵に笑みを溢しながら、イオンが振り向くとギガントゴーレムが立ち上がっていた。

だが魔法少女は臆することも無く、それどころか余裕綽々といった感じで...


「おいたが過ぎたんじゃないかな?ゴーレム君?さあ、ここからはお仕置きタイムだよ。覚悟してね。じゃあイッツパフォーマンス!」


と綺麗な顔で戦闘意欲マシマシな表情で右こぶしをパンッと左手にあわせていた。

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