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0 プロローグ 転生特典は趣味全開の贈り物でした

「と、言うわけで死んでしまいましたのでさっさと向こうのゲートで異世界に行ってくださいよ。」


「説明が雑っ!」


目を覚ましたと思ったら自称神を名乗るアバズレがそんな事を言ってきたのでつっこんでやった。

いきなり死んだとか言われても実感等あるわけが無い。


「何で死んだんですか、俺...もうこの際死んだのは信じますから...」


「めんどくさいですねぇ。えーっと何だっけ...ああそうそう、あなたとすれ違ったじいさんが本来死ぬ予定だったんですけどぉ、照準ミスってあなたの寿命消し飛んだんですよ。」


「あんたのせいじゃねえかっ!」


何という事だ。まさかこの神様とかいう輩に殺されたらしい。


「なら今すぐ生き返らせて下さいよ?あんた神様何ですよね?」


「えー、めんどくさ....こほん。天界規定でそれは出来ないんですよ。」


「おい、あんた今めんどくさいって言わなかったか?」


慌てて言い直したその表情は焦っているのが分かる程冷や汗が流れている。

それをじとっとした目で見ていると突然。


「ああっ!もうめんどくさいですね!ってい!」


「めんどくさい!?めんどくさいって言いやがった、この女!...ん?なにこれ、なにこれ?何か浮いてるんですけど。どんどん上に参ります状態なんですけどぉっ!」


神様が突然立ち上がったと思ったら足元に魔法陣が浮かび上がり俺の身体を宙に浮かせた。

そしてそのままふわふわと無重力にでも囚われたのかの如く上方に移動を始めた。


「ちょっと待って!謝るからっ!」


「いいです、別に。怒ってないから。面白いチート付けといたんでそれで無双したら?ばいばーい。」


「投げやりにも程があるわっ!ああああ~!」


そして俺は異世界に無理やり飛ばされてしまった。


「.....んん....ここは?」


目を覚ましたのはどうやら林の中らしく木々が生い茂っているようで見張らしは良くない。

本当に異世界に来たのか甚だ疑問ではあるが、その場合更なる疑問が頭を駆け巡った。


「普通、村からスタートだろ。」


本当にあの神様イカれてると思います。

イライラを募らせていると明らかに此処では鳴らないであろう音に肩をびくつかせた。


〈てってててーん!〉


「ふおおっ!な、なに?...本当になんだこれ。」


軽妙な音が鳴ったと思ったら目の前にタッチパネルみたいなのが浮いている。

それに触れてみると異世界物に良くあるステータスパネルが表示された。


「マジで異世界来たのか。」


ようやく現実感が帯びてきてこうしては居られないとステータスを確認する。


チート能力が気になるがそれは後のお楽しみに取っておこうと思い、取り敢えず名前とレベルを確認する。


[名前 いおり レベル1 筋力5速度3魔法6]

と出ている。

比較対象が無いのでパラメーターがどの程度なのか全く分からないが取り敢えず名前は引き継げているらしく安堵した。


「変な名前になってなくて安心した。...えーと、これは...パッシブスキル?」


パッシブスキルとはゲーム用語で自動発動する能力な筈だ。

アクティブスキル欄には〈フレイムスレイ〉と出ており、MPが15いるらしい。

現在MPは5なのでまず使えませんね。


「使えねえじゃん...だけどパッシブスキルはいいかんじかも。」


〈恐怖抵抗 戦闘意欲 経験値10倍 レベル上限無し チート能力使用時MP使用無し MP自動回復 癒しの陣 魔法適正S 拳術特性SSS サーチ 聴き分け 自動修復〉


他にもあるみたいだがロックが掛かっており閲覧出来ないようだ。

だがこれだけの能力なら万が一は無いだろう...と、安堵すると急に何処かから。


「きゃあああああっ!」


「うわあああっ!誰か助けてくれぇっ!」


ものものしい叫び声が聞こえてきて身体が強張るが身の安全の為にも確認しようとするが木々のせいで音が反響してどこから聞こえたのか判別出来ないでいたのだが。


「ん?あっちか?」


どうやら聴き分けスキルが発動し雑音の中の聞き取りたい音だけ拾い、サーチスキルの効果でその地点がサーモグラフィの様に眼に写し出された。


どうやら男性と女性が大型の獣に襲われているらしく、化け物にバレないように静かに近づいていくと林を抜け崖になった場所から見下ろす。


「マジかよ。でけぇ...っつかやべえじゃん、あの人ら。」


どうやら護衛らしき人達は全員殺されたらしくバラバラしたいになっている。

こんな光景みた事も無かったので本来なら胃液が逆流してくる筈だが、恐怖抵抗スキルのお陰か全く動じなくなっていた。


「はああああっ!」


そして同時にそれを敵と認識したせいか戦闘意欲が沸きだし、いつの間にか崖から飛んでいた。


「あんた達伏せてろ!こんな時こそチート能力の出番だよなっ!」


「えっ!?」


右手で拳を作りそのまま垂直に落下しながら胸元に現れた魔方陣を見てみるとそれが身体全体を覆い、その瞬間身体が燃えるように熱くなるのを感じた。


だがそれ以上に倒したい欲求が勝り。


「くらえっ!!」


と、犬の様な大型の化け物の背骨にあたる部分に拳をぶち当てると、拳から衝撃波が飛び出し獣を粉々にした。


「は?マジかよ?すごくね?」


一撃の元に血液だけ残して爆散させたようで、驚きの余り右手を閉じたり開いたりしていると違和感を感じる。


(んん?俺の手ってこんな小さくてプニプニな感触だったっけ?)


と、疑問に思っていると馬車に隠れていた男女が話しかけてきた。


「ありがとうございます!何とお礼を言えばいいか!!本当にありがとうお嬢さん!」


「凄いですね!あの怪物を一撃でっ!しかも私と同い年くらいの女の子なのにっ!」


「はあっ?あんたらなに言って...」


俺はその意味不明の言動に顔をしかめながら怪物を倒した時に出来た血溜まりを覗き込むと、そこには紅い髪色で小さいポニーテールの女の子が映り込んでいた。


「なんじゃこりゃああああっ!!」


余りの衝撃に叫ぶと周りの地面がひび割れたが、気にも留めず、男女の後ろにある馬車の残骸の鏡を拾い上げ。


「これ、持って。」


「あ、ああ。分かった。」


男にそれを持たせた。

二人はきょとんとした顔をしているが今はそれどころではない。

勇気をだして目を開いて見てみると上半身は膨らんだ胸元に大きな紐状のリボンが結ばれており、肩からはそれよりも少し細目のリボンが袖まで延びている。

その下にある服は髪と同じ赤色でいかにも女の子みたいなフリフリだ。


更にその先ではスカートを履いているのを見て、端を摘みすすっと少し捲ると中からスパッツが姿を現した。

よいパツパツ具合で....

するといきなりスパーンと小気味良い音が聞こえ音のした方を見ると、どうやら男の方が俺のたくしあげに目を奪われていたらしく「兄さん!命の恩人相手に何不埒な事をしているのですかっ!」と叱責していた。


「ち、違うんだっ!ただ男としてはつい!」


(ごめん。俺が悪かった...その気持ち分かるよ、お兄さん。)


どうやら兄妹らしく、容赦なく妹が兄の頬ではなく鼻先から顔全体を容赦なくビンタしていた。

だが先程も言ったがそれどころではない。


「まさか...まさか...胸があるのも問題だけど、この下半身の虚無感は...」


むんずと何時もそこに鎮座している相棒のある場所を掴むと血の気が引いた。


「う、嘘だろ...相方が消えちまったあああ...」


その余りの衝撃に膝から崩れ落ち、よつんばいんになる。これ程までにショックな出来事がこの世にあるのだろうか...神様許すまじ...


「あ、あの大丈夫ですか?」


「うえ?...は、はは...だ、大丈夫だよ...うん、大丈夫さ...大事なあれは消えたけどね...」


「はあ....?」


何を言っているのか分からないという顔だ。俺だって何が何なのか分からないんだが。

ふらふらと立ち上がりながらこれから色々とどうしようかと悩んでいると身体から熱が引くのを感じると同時に下半身に重みを感じ、身体全体を見るとどうやら男に戻ったらしい。


「お?おおっ!あるっ!あるよっ!よっしゃあああっ!!」


「え!?き、君今女の子だったよね?」


「えぇっ!何がどうなってるんですか!?」


「ちょ、ちょっと待って...」


慌てふためく二人を制止しながらステータスを開き、チート能力を開き確認する。

だがそこに載っていたのはとんでもない代物で。


「やってくれやがったなああっ!あのアマーーっ!!」


俺はその画面を見ながら吠える。そこにはこう書かれていたのだ...〈チート能力名 TS魔法少女変身能力〉と。

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