スキル
三本目です! ちょっと短めです! どうぞ!
アリシアの家に来て、二日目の朝。俺はアリシアと朝食をとりながら、ふと思い出したように口を開いた。
「そういえば、アリシアはなんのスキルを持ってるんだ?」
「おおう……随分いきなりだね。まあいいけど。パートナーだし」
お前それ大好きかよ。よほど友達が少ないのか、アリシアはそういう友情的なつながりの話になると熱くなる節がある。
「はい、どうぞ」
そう言いながら、アリシアはステータスウィンドウを表示させてくる。というか、ステータスウィンドウって他人にも見えるんだな。
アリシア・ハードラント Lv31
スキル:疾風 短剣術 風魔法
称号:義賊
「風魔法?」
「あれ、魔法知らないの?」
「いや、知ってはいるんだが、見たことはなくてな」
「そう? じゃあ、ほれ」
言いながらアリシアは何かを操作するように指を動かす。すると室内にもかかわらずそよ風が吹き始めた。
「おお、これが魔法か。なんていうか……地味だな」
「せっかく見せてあげたのに感想がそれ……? ま、いいや。はい、次はカリンの番だよ。見せて見せて」
「ええ……」
自分のステータスを思い出す。確か随分と物騒な名前がちらほら見受けられたはずだが、大丈夫だろうか。
まあ、心優しいアリシアなら見せても大丈夫だろう。出会って間もないというのに、確証のない信用が俺の中にはあった。
「分かった。はいよ」
アキナシ カリン Lv17
スキル:大殺戮 覚醒 殴打
称号:同族殺し 無慈悲 殺戮者
「レベル17なのにスキル三つ!? もしかして、カリンって生まれつきスキル持ちなの!?」
「いや、そもそもスキルがどうやったら手に入るかすら知らないんだが」
「マジ?」
「うん、マジ」
「うーわー……カリンって常識ないね」
ひどい言われ様である。まあ確かに本当のことではあるのだが。異世界ライフは始まってから一週間もたっていないので、経験は実質赤ちゃんレベルだしな。仕方無い。
「いい? スキルはレベルが10個上がるごとに一つ授かるものなの。私がレベル30だからスキルを三つ持ってるようにね」
朝食を食べる手を止めず、アリシアは片手間に説明をしていく。
「でも、たまに生まれつきスキルを持ってる人がいて、そういう人は大体『天才』って呼ばれてるね」
「ほー……」
おっと、意外と俺は才能あるのでは? むしろあり余りすぎて使い物にならないまである。
アリシアは興味津々に俺のステータスウィンドウを眺めていたが、しばらくすると苦笑して俺の方を向いた。
「しかし、スキルと称号がすごい物騒だね……」
「特に最初の『大殺戮』ってスキルな。威力強すぎて使い物にならねえんだ」
「……カリン、もしかしてスキルについて何にも知らない?」
「うん、知らない」
「はぁ……」
呆れた顔でそうため息をつかれてしまった。
ひどい言われ様である。まあ確かに本当の(略)。
「強力なスキルは自分の体も滅ぼしかねないから、スキルを操る訓練をまずするんだよ。カリンは、まだスキルを制御できてないんだよね?」
「ああ。加減ができなくて森全体を焦土にするくらいの威力はある」
「流石にそれは冗談だよね?」
「え?」
「え?」
「……」
なぜか冷や汗を流し始めたアリシアは、右手の人差し指にはめていた指輪をはずし、俺に差し出してくる。
「こ、これ、スキル制御用の指輪! 対象スキルの威力が勝手に百分の一になるから、便利だと思うよ! さあ、早くつけて!」
「ありがたいんだけど、なんでそんなに必死そうなの?」
早速指にはめ、対象を『大殺戮』にしておく。これでもし仮に間違って使ってしまっても当たりが焦土にならなくて済むな。アリシアには感謝しかない。
「ごちそうさま」
そう告げて、俺は食器を片づける。俺は自分の武器を腰に提げて、玄関の扉を開ける。街にまだ慣れていないので、今のうちに異世界にも街にも慣れておこうと思ったのだ。
それに、朱音に関する情報も集めないといけないしな。
「じゃあ行ってきます」
「いってらっしゃーい」
キッチンの方から声がした。恐らく、食器を洗ってくれているのだろう。昼飯と夕飯はの分は俺がやらなくてはな。
ということで、俺は街へ繰り出したのだった。
スキル説明回でした。どうでしたでしょうか?
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